「上書き。」
「し、しつ、失礼しまーす。」
ガチャと扉を開き、アリス、魔女、紫電が山上の所長室に入ってきた。
「お疲れ様。どうぞ、席にかけて。」
山上が席に座るように促す。
「それじゃ、お言葉に甘えて。」
魔女がソファに腰をかける。
「ここが、警察署っていうところか、以外と普通の部屋って感じなんだな。」
紫電が辺りを見渡しながら座った。
「所長室に何を期待してるのかわからないけど・・・。まぁいいわ。」
山上がため息をついた。
「あはは、は。それじゃ、私も。」
アリスも苦笑いを浮かべながらソファに腰をかける。
「いきなり呼び出して申し訳ないわね。ゆっくり休んでたのに。」
山上が資料を持ってアリス達の向かいに座った。
「・・・そういえば、3人だけ?梨杏さんとローンは?それに須藤もいない。」
山上がアリス達の方に視線を向けて話す。
「須藤さん達なら、山上さんの家で待機してるわ。」
魔女が口を開く。
「あの野郎がまた暴走しないよーに見張りたいんだとよ。」
紫電が腕を頭の後ろに回しながら答える。
「・・・むしろ、あの子達だけに任せるってのも不安でしかないのだけども・・・」
山上が考え込む。
「多分大丈夫でしょうね。コインの魔人もいることだし。」
「その自信はどこからきてるから知りたいけど。まぁ。いいわ、今は話を始めましょう。」
山上が資料を机に置いた。
「・・・これは?」
アリスが資料をみて首を傾げる。
「これは、この世界の歴史をまとめたもの。」
「歴史?」
紫電が資料に手を伸ばす。
「ふぇー。色々とあったんだなぁー。」
パラパラと、紙をめくりぼやく。
「・・・どうして、今更こんなことを?」
魔女が山上に質問した。
「少し前に話した魔女の言葉がどうしても引っ掛かってね。」
「私の話?」
山上が頷く。
「アリス、梨杏、ローンのそれぞれの世界が違うこと。それに、歴史が上書きされてる可能性がある。そのことにどうしても納得いかなくてね。ちょっと、調べてたの。」
「歴史・・・」
アリスが考え込む。
「今の世界の住人は、私、アリス、それに須藤の3人。本当は、須藤もいればよかったのだけど。」
「なるほど、つまりこの資料に書いてある事件が本当にあったものなのか確かめたいってことか?」
紫電が山上を見た。山上が静かに頷く。
「・・・」
アリスがゆっくりと、資料に手を伸ばす。
「パラパラ」と紙をめくる音が無音の室内に響く。
「・・・・・」
山上が唾を飲む。
「・・・確かに幾つか覚えてない。・・・記憶が存在してない事件があります。」
アリスの手が止まり、ボソッと呟く。
「・・・ということは、やはり事件がいや、歴史が上書きされているといことか。」
暫く無言だったニカルが一言発した。
「ずっと黙ってるから眠ってるのかと思ったけど、聴いてたのねずっと。」
アリスがニカルを見据える。
「あぁ。ーーーそれより、」
「バン!!!」と大きな音を立てて所長室の扉が開かれた。アリス達がビクッと身体を震わせた。
「ぜぇー!はぁー。せ、せん。ブッハっ!!所長大変です!!」
息を切らして、男性警察官が所長室に走り込んできた。
「落ち着きなさい。一体何があったの?」
山上が立ち上がり、男性警察官に駆け寄った。
「っー!!・・・っ!!はい。たった今通報が入ったのですが、町の中心部分にて、女性2人が争っているという報告が入りました。」
男性警察官が息を整えて、敬礼をして話を始めた。
「現場の状況は?」
山上が冷静に確認した。
「はい。現場は、多くの人が集まる都心部。怪我人も複数人報告されてます。女性の特徴は、バラバラで、鎧をきていた。盾?のような鈍器を持っていた。鎧を着た影の様な女性と戦っている感じだった。・・・などなど、色々な通報内容がきています。」
「鎧?」
「盾?」
男性警察官の言葉に紫電と魔女がそれぞれ反応した。
「・・・・・」
山上が考え込む。
「所長?」
男性警察官が顔を覗き込む。
「・・・ごめんなさい。・・・先に行ってて貰えるかしら?直ぐに行くわ。」
「はい!!」
男性警察官が敬礼をして、所長室を退出して行った。
「・・・今の話聞いたわよね。」
山上が振り返りアリス達のほうを向く。アリス達が頷く。
「急いで向かいましょう。」
山上の一言でアリス達も事件の場所に向かった。
街中ー。
2人の女性が暴れていた。
「ぐっわ!!ぎゃあ!!」
1人の女性は盾をブンブンと振り回していた。
「あっはは!!楽しいじゃなぁーい!!全部ぜぇーーんぶ!!」
黒い影の様な女性?が盾の女性の攻撃をピョンピョン跳ねながら避けていた。
女性を囲む様に多くの警察官が立っていた。
「暴れるのはやめなさーい。抵抗をやめて、武器をおろしなさい。」
1人の女性警察官がスピーカーから呼びかけた。
「皆さんこちらに慌てないでください!!1人ずつゆっくり、焦らないで!!後ろの人押さないでください。」
避難誘導をしている警察官が声を荒げる。
「きゃー!!」「やめてぇー!」
逃げ惑う人々の声が色々な場所で上がる。
「これじゃ。全く近づけません。」
「くっ!あそこに多くの怪我人がいるのに。」
2人の女性よ近くには、複数人血を流して倒れていた。
「ぐっぎゃぁー!!」
盾の女性がどんどん暴走する。
「あはは、楽しい時間もそろそろおわっちゃうのねぇ。つまんなーーい。フッフッ。また会えるといいわねぇ。盾の女さん。シールズさん。」
黒の影の女性?が遠くを見た?
山上が運転する。警察車両がサイレンを鳴らしながら、現場についた。
「どこだ!!」
紫電が飛び降りた。
「所長!!」
先程報告にきた男性警察官が山上のもとに駆け寄ってきた。
「女性は?」
「はい。あちらに・・・ってあれ?」
男性警察官が指をさした。
「1人しかいない様に見えるけど?」
山上が首を傾げる。
「黒い影のような女性がいなくなってるわね。」
魔女が山上と男性警察官の近くに歩いてきた。
「あっ!アナタは先程は挨拶もなしに申し訳ありません。」
男性警察官が魔女に頭を下げる。
「そんな、些細なことをいちいちきにしないわよ。」
魔女が手で頭を上げる様なジェスチャーをした。
「盾を下ろしなさーい!!」
複数の警察官が声を荒げる。盾の女性に。向けて拳銃をかまえていた。
「発砲はやめなさい!不用意な発砲はダメよ!!」
山上が現場に指示をする。
「ところで、須藤は?見当たらないけど・・・」
山上が周囲を見渡す。
「須藤なら、まだついておりませんね。・・・一体なにをしてるのやら。」
男性警察官が考え込む。
「ぐっぎやぁ!!」
「うわぁ!!」
女性のうめき声と共に複数人の声と鈍い音が響く。
「きゃあ!」
「大丈夫かぁー!!」
警察官が慌ただしくなる。
「1人の警察官が攻撃されました。」
「くっ。」「所長!!」
何人かの警察官が山上に呼びかけた。
「ぐっ!ぐんぁ!!」
盾の女性がもう一度警察官に、向けて攻撃を仕掛けた。
「キィーーン。」盾とレイピアがぶつかる音がした。
「くっ。シールズ。目を・・・目を覚ましてよ!!私よ!!!」
盾の女性の攻撃をアリスがニカルをレイピアに、変形させて防いだ。
「ぐきゃあ?」
アリスとシールズが距離をあけた。
「・・・やっぱり私は、」
アリスがレイピアに力を込めた。
「魔女。俺らも加勢するぞ!!」
紫電が魔女に向かい叫んだ。
「だいぶ離れてるけど。・・・」
魔女と紫電がアリスの元に向かおうとした。
「・・・だめ。来ないで!!・・・危ない!!!」
アリスが紫電と魔女に向かい叫んだ。
「っ!!」
紫電と魔女が伏せた。魔女が山上と近くにいた男性警察官の身体を押さえた。
「え?」「うおっ!」
「スパン。」と山上達の乗ってきた警察車両が横に真っ二つに切り裂かれた。
「アララ。避けられちゃった。確実に狙いに行ったんだけどなぁー。」
魔女と紫電の前にエポカが現れた。
「お二人は早く安全な場所に。」
山上と男性警察官が起き上がり、避難した。
「盾の女性の近くにいる警察官に告げます。一刻も早く持ち場から避難しなさい!!」
山上がスピーカーを持ち声を荒げる。
「・・・総員ーー退避!」
シールズの近くにいた警察官達も避難を開始した。
「・・・大丈夫か?」「起き上がれるか?」
シールズに攻撃された警察官も肩を支えたながら起き上がった。
「うっ。。」
「ぐっ!!!ぐきやぁ!!!」
シールズの目は血走っていて、正気ではなかった。
「小娘。しっかりと握っておれ。」
「急になに?」
「・・・全てを救う為だ。」
「・・・よくわかんないけど、・・・この世界を救済させない為なら、なんだって受け入れてなやるわよ。」
アリスのニカルを持つ手にさらに力が加わった。
「その覚悟受け取った。」
その言葉の直後ニカルが姿を変形し始めた。
「ズシン。」と地面に剣先の様なものが刺さる音がした。
「・・・今回はお主の想いが形になった様なものか。今までこの姿になったことはなかったな。」
「これって、大剣って言われるもの?」
ニカルの姿はレイピアから剣先がかなり長く、アリスの身長の半分をしめるのうな大きさの大剣に変形した。
「あぁ。やっぱり、この核。この世界の抗い人は、一向に飽きないわ。貴方達が一向に抗えば抗うほど、私たちはぁーー!!!」
エポカがニカルの姿をみて激昂した。
「あのシャープペンシル?あんなに変形できるのかよ。」
紫電が声を出す。
「・・・これなら!なんとか。なるかも!!」
アリスが大剣を振り自分の身体の前に持ってきた。
「・・・一体。彼女の原動力はどこから湧いてくるのでしょうか。どれだけ、抗おうか。運命には、時に勝てないこともあるというのにー。・・・それでも、彼女はー。いや、彼女達はー。諦めることを知らない。・・・それとも知っていても、わかっていても、少しでも可能性があるもするならば、救済から目をそらすのでしょうか?・・・・・僕には、一向にわからない。」
アリス達を上空から見下ろすようにキュルアーが呟く。
「・・・須藤達は一体なにをしてるの?」




