挑むプラチナの壁1
「ありゃまぁ。アンタのパーティーも随分と賑やかになったねぇ、クロス。」
「まぁな。それで、いい依頼は見つかったか?実力さえあれば早く終わって尚且つポイントが大きいやつ」
「あるけどねぇ、クロス。冒険者のランクってのはそんなに急いで上げるもんでもないんだよ。それこそ勇者でもない限りする必要はないんだよ?アンタに何があるのかは知らないけど、無理して死ぬんじゃないよ」
「ほう、この俺たちを心配してくれているのか。安心しろ。俺がいる限り仲間は傷つけさせないし、負けることなんて絶対にありえない。」
「それならいいんだがね。ところでクロス。アンタたちの誰かに長距離移動魔法<進軍>を覚えている子はいるかい?」
<新軍> 軍団での移動速度を超大幅に向上させ、本来の数倍の速度で移動できるようになる魔法
「ん?それなら俺とダイア、マリカが覚えてるが」
「!驚いたねぇ。その魔法、ダイアランクの冒険者パーティーでも使える人はそんな多くないのに、3人も覚えてるのかい?」
「そうだが、もしかして<進軍>を移動用の魔法として使ってるのか?それよりも<飛翔>とか<転移>を使った方が速いだろ」
「何言ってんだい。そんな超高位の魔法を使える人間が冒険者をやってるわけないだろ?それに、これは機密事項なんだけどね、<転移>に関しては金さえ払えばどこへでも転移させてくれるよう魔法省のトップとは契約を結んでるんだが、これが高い。それこそ勇者でもない限り使うことなんてないね」
そうなのか?<飛翔>も<転移>も俺たち三人使えるんだが
「それで、移動系の魔法の話をするってことは、依頼の場所がここから遠いってことだよな?」
「そうだね。西に40キロぐらい行ったところで」
「距離で言われても分かんねぇよ。<探知>使いながら移動してその魔物探すわ。なんてやつ?」
「アンタたちに相手してもらうのは、ブレードビースト。強さでいうとプラチナとダイアの間ぐらいだね」
ブレードビーストだと?
「ブレードビーストって確かいろんな動物のバージョンがあっただろ?今回はどのやつなんだ?」
「それが、この依頼書には書いてないんだよね」
「は?」
「魔物の種類だけ分かってるけど、詳細は分からない。どこで出現したのかも不透明。数も不明。そういう依頼は誰も受けたがらないからギルドはポイントを高く設定して受けてもらえるようにするんだよ。」
へー、そんな工夫してんだ
「アンタたちの中で一番ランクポイントが高いのは…ダイアだね。ランクポイントは4分割されるから…最低5匹倒せばアンタたちのパーティーはプラチナとして扱われるよ」
マジか。俺がマリカの依頼受けてる間に抜かれてたのか
「くれぐれも気をつけなよ。ブレードビーストは」
「個体差が大きい、だろ?」
「分かってるならいいんだかね」
ブレードビースト 獣の肉体、全身から金属の刃が生えており、獰猛。
個体によって強さが異なり、弱いものでゴールド、強くてもダイアぐらいらしい。
また、この魔物は模した獣の習性をいくらか引き継ぐという特徴もある
まぁ、俺たちなら大丈夫だろ。最悪、マリカがいればなんとかなるしな
数分後
ザワザワ ザワザワ
おい!なんだアレ!
は?なにがだよ
あれ見てみろよ!あれ!ほら、空の方
は?空に何が…えっ?何アレ…えっ?
おい、良くみてみると、アレってアイツらじゃないか?
遠くて良く見えねぇよ。おい!誰か<遠視>の魔法を使えるやつはいるか!
「さっきから騒がしいよアンタたち!なんだってんだい?」
そう言いながらイメルダは、カウンターから出て急に騒がしくなった冒険者たちの方へ向かった
「イメルダさん、アレ見てくださいよ!アレ!」
そう言って冒険者の一人が指を指す
なんだってんだい?全く
そう思いながらも<遠視>の魔法を使いながらその方角を見ると、
「あ、」
上空でクロスたちが浮いていた
何してんだいあの子たち!さっき移動系の魔法を使える人間は少ないって教えてあげたろうがい!あの子たちただでさえ顔が良くて目立ってるのに、しかもアレ<飛翔>じゃないか。確か個人にしか使えない魔法だろ?なのに3人も使ってるじゃないか!
※アッシュはクロスに抱えられています
おい!動き出したぞ!
速え!速すぎる!もうあんなとこまで行ってるぞ!
クロスはすげぇって思ってたけど、他の女の子二人は何者なんだ!
「はぁ、全く」
帰ってきたら説教が必要だね。クロスに
ビクッ!
「どうしたんですか?クロスさん」
突然ビクッとした俺の顔を、アッシュが不思議そうに覗き込んでくる
急に嫌な予感がしたが、もしかして向かう先に何かいるのか?まだ俺の感知能力には何も引っかかってすらないが
「クロス!もうじきつくよ!」
「あいよ!」
ちなみに、先頭を飛んでいるのはダイアだ
俺の数少ない友人達は俺が実は方向音痴であることを知っている。だから、いつも先導してくれる
ここで、何か言って不安がらせることもないか
「なんでもないよ」




