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紅楼夢  作者: 翡翠
翻案意図(第一回~第十三回)
255/260

第六回

 第六回はせいからぞくへの変調へんちょうである。

 その入口いりぐちとして、宝玉と襲人の情事じょうじえがかれる。これほど直截ちょくさい性描写せいびょうしゃを持ってくるのは紅楼夢としてはめずらしい。ここは警幻仙姑けいげんせんこ警告けいこくされたいんひたるな、という物語上ものがたりじょう約束やくそくやぶっており、宝玉にも破滅はめつ新芽しんめ芽生めばえたことになる。一方、襲人もあるじ関係かんけいしたということで、侍女じじょとしてのたがを外した格好かっこうとなる。襲人はがわにいながら、都合つごうよく運用うんようするむきがあり、彼女がいわゆる理想りそう侍女じじょでないことが分かる。

 翻案ほんあんではこの場面ばめんで襲人に宝玉へのささやかな仕返しかえしをさせることにした。神仙しんせんとはいえ他の女を思いながらかれる彼女に同情どうじょうを感じたからである。

 さて、挿話そうわを一つはさんだのち舞台ぶたい貴族きぞくからたみへとうつわる。このあたり今までゆるやかに調子ちょうしととのえていた物語ものがたりながれを、作者は大きくうごかす。せいからぞくへ。警幻仙姑けいげんせんこから劉ばあさんへ。その落差らくさ違和いわ解消かいしょうするため、宝玉と襲人の挿話そうわをはさむ。このあたり作者の力量りきりょう感嘆かんたんきんじえない。

 ここから物語は先ほどとはべつ次元じげんぞくからせいへと変調へんちょうしてゆく。その入口となるのが精神的せいしんてきぞく象徴しょうちょうする周のおかみであることに注目ちゅうもくされたい。この周のおかみとの会話から、劉ばあさんは今栄府を仕切しきっているのは王熙鳳であり、かつての鳳児ほうじであることを知る。が、実際に対面した劉ばあさんは風格ふうかく美貌びぼうもかつてとは見違みちがえるように変わっている熙鳳におどろく。

 熙鳳から援助えんじょすため、王熙鳳におもねろうとする劉ばあさんだったが、熙鳳に喝破かっぱされてしまう。いつめられ劉ばあさんは、ここにいたって初めて真情しんじょうあらわし、王熙鳳も真情しんじょうをもってそれにむくいる。ここで初めて、周のおかみと劉ばあさんから始まったぞくじょうが、劉ばあさんと王熙鳳のあいだの真情しんじょうせいへとうつり変わる。

 すなわち第六回は立場としてのせいからぞくへとすすんでゆき、じょうとしてのぞくからせいへと閉じる美しい構造こうぞうをなしているといえる。


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