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紅楼夢  作者: 翡翠
翻案意図(第一回~第十三回)
253/260

第四回

 第四回は馮淵ふうえん英蓮えいれん薛蟠せつばんどもえとなり、話がすすんでいく。一見三角関係いっけんさんかくかんけいに思われるが、それぞれの思惑おもわくかならずしも純粋じゅんすいなものではない。

 馮淵ふうえん英蓮えいれん見初みそめ、愛情あいじょうのようにも思えるが、もともと彼には寵童ちょうどうがあって、それを裏切うらぎったとも見えなくない。一方、英蓮えいれん馮淵ふうえんたいして愛情あいじょうはなく、苦境くきょうだっするための手段しゅだんでしかない。

 章題しょうだいの「薄命はくめいおとこ」はむろん馮淵ふうえんのことで、それは彼自身かれじしんいのちおよび英蓮との関係に向けられているが、薄命はくめいおんなはひとえに英蓮自身えいれんじしんの境遇にたいしてのものであり、ここでもずれが生じている。薛蟠せつばんについてはただの自然物しぜんぶつのようにさえ見え、そもそもじょう非情ひじょう俎上そじょうにすら乗らない。本文中ほんぶんちゅうでも言及げんきゅうしているが、彼は「紅楼夢」のなかでも特殊とくしゅであり、しんとも、とも、じょうにもにもつかない。やはり前漢ぜんかん高祖こうそを思わせる得体えたいのしれなさがある。


 第四回における翻案上ほんあんじょう処理しょりとしては、原文げんぶんらして彼自身かれじしんが馮淵をころさせるだろうかという疑問ぎもんがわいたため、手下が忖度そんたくし、殺したということにした。

 さらに、原文げんぶんでは死んだということで沙汰さたやみになったが薛蟠せつばんはその後も商人しょうにんとしてみやこ活躍かつやくしており、さすがに無理むりがあると思われた。

そこで雨村に「これから何があっても」沙汰さたやみにするという筋書すじがきにして平仄ひょうそくを合わせた次第しだいだ。

また、薛宝釵せつほうさ初登場場面はつとうじょうばめんが原文ではほとんどないにひとしかったため、黛玉との囲碁いご描写びょうしゃを入れることとした。


 さて、紅楼夢では唐突とうとつに死んだり、ころされることはない。今回の馮淵にしてもまったくつみがないわけでなく、見ようによっては寵童ちょうどう裏切うらぎって女色にょしょくはしったといえなくもない。何かしらの因業いんごう脂評しひょうではげつと言われるものがあって、そのげつによって破滅はめつへとまれていく。

 第四回は、第三回のことなるじょうじょうとの対峙たいじという構造こうぞうを、徹底的てっていてきにずらしている。前回では種類しゅるいちがえど宝玉と黛玉のじりけのないじょうえがいて見せ、この第四回では訴人そにんじょうせながら、非情ひじょう決断けつだんをする雨村、英蓮をあわれみながらあくどいたくらみをする門子ドアマン本翻案ほんほんあんでは鯫生そうせい)という「ふつうの」人々をえがくことでかえって宝玉と黛玉をかび上がらせる作者のふでえがひかる。


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