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紅楼夢  作者: 翡翠
翻案意図(第一回~第十三回)
252/260

第三回

 第三回は黛玉の栄府入りの回であると同時どうじに、じょうじょうじょう邂逅かいこうであるといえる。

 ここで黛玉、王熙鳳、宝玉の三名がそろうのは、この三名が紅楼夢の主人公格しゅじんこうかくであることの証左しょうさだろう。

 また黛玉が栄府ではじめて会うのは賈母おばあさまであり、これは母の代理だいりとしてのじょうである。いでうのは王熙鳳であって、これは栄府におけるあらわしている。これは黛玉にいずれ立ちはだかる制度せいど慣習かんしゅう象徴しょうちょうしたものであろう。また次に会うのは宝玉であって、黛玉は宝玉の“宝玉ほうぎょく”のこと、そしてそれを黛玉がたないことへの癇癪かんしゃくおどろく。宝玉と黛玉は同じじょうがわの人間であるが、宝玉のじょうが外に向かっているのに対して、黛玉のじょうはあくまで黛玉自身たいぎょくじしん感情かんじょうのためにしょうずる。

黛玉が「宝の二の叔父おじさま」と呼ぶのは少なくとも第十三回までではここだけである。そのほかはあなた統一とういつされている。しかし、宝玉はつね林妹妹りんメイメイである。黛玉のあなた唯一性ゆいいつせい、宝玉の林妹妹りんメイメイがあくまで親族関係しんぞくかんけい立脚りっきゃくした呼称こしょうであること、これはそのまま宝玉と黛玉の関係のずれを示す重要じゅうようなものであるとかんがえたため、原語げんごに近いまま訳出やくしゅつした。

 宝玉がことさらに通霊宝玉つうれいほうぎょく執着しゅうちゃくし、癇癪かんしゃくを起こしたのは、自分が「特別とくべつ存在そんざい」であることへの忌避きひであり、その延長えんちょうにある孤独こどくだろう。それは侍女じじょたちとの関係でも、劉ばあさんとの関係でもそうだし、秦鐘との関係もそうだ。彼は黛玉も宝玉を持っていたことを知り、機嫌きげんをなおすが、黛玉の宝玉は母親ははおやひつぎのなかにあって、ずれが生じている。かえって薛宝釵の金鎖きんさとはついになっているが、彼女の金鎖きんさはあくまでも紅塵うきよのものである。

 つづいて出てくるのは、花襲人かしゅうじん、鸚哥(紫鵑)の二名であって、この二人はあるじちゅうくす、がわの人々であるが、ここにも今はかしづらい対比構造たいひこうぞうがはたらいている。

 第一回、二回で「しん」の対比構造たいひこうぞうえがき、第三回でじょう対比たいひ、そしてそのじょうのなかにもさまざまな区分くわけがあることがえがかれた。それをまえたうえで、第四回では読者にあらたな問題提起もんだいていきがなされる。


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