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紅楼夢  作者: 翡翠
第十一回 寿辰(じゅしん)を慶(けい)し、寧府に家宴を排(しつ)らへ 熙鳳に見(まみ)え、賈瑞淫心(いんしん)を起こす
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第十一回 23

 尤氏の上房きょしつへ上がってこしを下ろすと尤氏が言った。

「あなたの目から見て、あの子の様子ようすはどう?」

 熙鳳はしばらくうつむいていたが、やがて口を開いた。

「あけすけに言えば、もう手の打ちようがないように思うの。あなたもそろそろ万一まんいちの時の支度したくをされた方がよいかもしれない」

 熙鳳は尤氏を見やりながらあわくちびるみ、

「これも縁起直えんぎなおしと思いましょうよ。わざわいがかえってさいわいいになるやもしれないし」

 尤氏は言った。

「そのことなら、もう人に言いつけて、ひそかに差配さはいしているわ。ただ“あのしな”だけはいい木がなくてね。とりあえずゆっくり手をかけてみるつもりよ」

 熙鳳は「ひつぎのことまで頭にかぶなんて、あなたに似合にあわず周到しゅうとうなことね」と皮肉ひにくをいいそうになったが、やっとのことでみこんだ。

 それから二人は茶をすすりながら、しばらく話をしていたが、うまこくが近づいてきたころ、熙鳳が言った。

「私はこれから老太太おばあさまにご様子ようすをおつたえしてくるわ」

 尤氏は心配しんぱいそうに言った。

「お話しするときはどうか穏便おんびんにね。老太太おばあさまおどろかせないように」

「ええ、分かっているわ」

 こうして熙鳳は帰って行った。


 熙鳳は家に戻り、賈母おばあさまに会うと、そのまま話し始めた。

「蓉ちゃんの媳婦おくがた老太太おばあさまにご機嫌きげんをうかがい、叩頭こうとうし、具合ぐあいもよくなったので老祖宗ろうそそうにはご心配しんぱいなきよう、と申しておりました。もう少しくなったら、みずからこちらにまいり、老祖宗ろうそそうにお目にかかってじか叩頭こうとうれいささげたいとも申していたほどです」

 賈母おばあさましずかに言った。

「おまえの目から見て、様子ようすはどうなんだい?」

 熙鳳は答えた。

「ひとまずせまった心配しんぱいはなさそうです。気力もしっかりしておりました」

 賈母おばあさまはそれを聞くとしばらくだまりこんだ。そしておもむろに口を開くと、熙鳳に言った。

「おまえは着替きがえて少し休みなさい」

 熙鳳は礼をして出て行った。

「まだあの子もわかいねえ」

 賈母おばあさまはためいきまじりにつぶやいた。

 熙鳳は賈母おばあさま上房きょしつを出ると、

老祖宗ろうそそうにはかなわないわ」

かたとした。そしてそのまま王夫人のところへ向かったのだった。


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