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紅楼夢  作者: 翡翠
第十一回 寿辰(じゅしん)を慶(けい)し、寧府に家宴を排(しつ)らへ 熙鳳に見(まみ)え、賈瑞淫心(いんしん)を起こす
184/255

第十一回 13

 熙鳳は初秋しょしゅうのあたたかな日ざしのなかへびこんだ。

 ゆるやかな風はおのずから熙鳳のほほをほころばせる。

鳳哥ほうちゃん

 一人の婆子ばあや不意ふいに熙鳳をそう呼んだ。

 いた熙鳳の顔にあわてて婆子ばあやつくろう。

もうわけございません。つい昔のことを思い出してしまったものですから」

 熙鳳はその婆子ばあやの顔をまじまじと見た。幼いころ、金陵きんりょうにいたころから随行ずいこうしてきた、ふるなじみの婆子ばあやだった。

奶奶わかおくさまがまだおちいさいころをつい思い出してしまって。今日の奶奶わかおくさまのおかおがいつもとはちがってえたものですから」

 熙鳳は考えこむようにして、しばらくだまっていたが、

「そうね。そうかもしれない」

 と一言ひとことつぶやき、微笑ほほえんだ。そこで張りつめていた他の婆子ばあや丫頭むすめたちもほっといきらし、一行は寧府のおくへとすすみ、園の便門わきもんをくぐった。

 そのさまはいかにも、


小橋しょうきょう若耶じゃくやけいつうじ、

曲径きょっけい天台てんだいみちせっす。

石中せきちゅう清流せいりゅうたんげきし、

籬落りらくかおりをただよわす。

樹頭じゅとう紅葉こうよう翩翩へんぱんたり、

疏林そりんのごとし。


西風せいふうたちまちひきしまれば、

はじめておうくをめ、

暖日だんじつけんたれば、

またきょうふ。


はるかに東南とうなんのぞめば、

山にうてな幾処いくしょ

あまね西北せいほくれば、

三間さんげんの水にのぞのきむすぶ。


笙簧しょうこう耳にち すなわち幽情ゆうじょうあり、

羅綺らき りん穿うがち して韻致いんちう。


★   ★    ★


 熙鳳はそのあゆみをゆるめながら、まわりの風をはだかんじ、そのくちびるほどかれれば感嘆かんたんの声がけていった。

 すると築山つきやまの石のかげから一人の男があらわれ、前に出て熙鳳に言った。

ねえさま、ご機嫌きげんよう」


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