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毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~  作者: ケ・セラ・セラ
第四章「世界はヒーローを待っている」
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10-50 マリッジ・ブルー

 救国の英雄ヒョウエ王子と、現王第二王女カレン、第四王女カーラの華燭の典。加えてエルフの王女セーナ、黒箱(トップパーティ)「毎日戦隊エブリンガー」の仲間達、第二レスタラ戦役の英雄にしてメットーのヒーロー「翼の騎士」サフィア・ヴァーサイルと言ったそうそうたる面々との婚姻発表。

 そのニュースは瞬く間に大陸中を駆け巡った。




「んふふふふふ・・・」


 銀の護符に指を這わせ、執務室で含み笑いをするのはカレン。

 机の前で"狩人"が溜息をついている。


「カレン様。お願いですから仕事をしてください。カレン様しか決済できない案件が溜まってるんです」

「ああ、ごめんなさい。でもついついね・・・そう言えばあなたは身を固めないのかしら? いい人とかいないの?」

「私は王国にこの身を捧げておりますので」


 ことさら無表情で振られた話題を斬り捨てる"狩人"。

 この手の話だけは"白の翼"とつるんでいたときも、"狩人"になってからも苦手だ。

 鉄面皮の上からそれを察したか、またしても含み笑い。


「んふふふ、そうかあ、照れてるわけね。あなたの意外な弱点をみつけちゃったかもしれないわぁ」


 それに対する返事は更に大きな溜息だった。

 彼が信頼していた有能な上司は当分帰ってきそうにない。




 婚姻の発表と共にヒョウエと王女二人の、セーナや三人娘、サフィアたちの似姿が飛ぶように売れ、ヒョウエのこれまでの表向きの活躍を集めたかわら版も多数出版された。


 前に街道で助けられた隊商の長ジブダッド、ヒョウエとモリィに花輪を渡したファール村の村人、巨大怪人ムラマサの現れたルダイン村、タム・リス社のトラル支社長ベアード、トラルの料理屋の冒険者族の女将、黒等級冒険者リーダー、スラムの炊き出しに協力している「白司教」ことナルド男爵ピアース、どのように調べ上げたのか、イサミとアンドロメダ、「悪魔のバイオリン」弾きのハーディや、サフィアとサナの友人ニカなどのインタビュー?もあった。


「スラムの人たちの話も随分調べてますねえ・・・ナヴィさんはまだしもナパティさんもハッシャさんもまーぺらぺらと」


 セーナの兄がプロポーズの時の事をあれこれしゃべくっているかわら版を手にして頭痛を覚えたヒョウエである。それを握りつぶして怒り心頭なのはセーナ。


「あの馬鹿兄貴め・・・! ティカーリ! あれのお目付はお前の担当だろう!」

「いやそうだけどさあ! 私セーナのお目付も兼ねてるんだからね? セーナが問題起こさなかったら私だってナパティ様のほうに注力できるんだよ!」

「なんだとぉ!?」

「本当のことじゃねーか」


 言い争うのはセーナとティカーリ。

 きししし、と笑うのはミトリカだ。


「大体あんな汚いところに行きたくないよ!」

「・・・それはまあわかるが・・・」


 兄とその相方の住処の惨状を思い起こして声が小さくなるセーナ。


「あれは・・・ひどかったなあ・・・」

「ひどうございましたね・・・」

「でしょ? でしょ!?」


 口々に頷くモリィたちに、我が意を得たりと頷くティカーリ。

 セーナへのプロポーズとその許諾を受けて、改めて二人のお目付役に任命されてしまったティカーリである。「まぁそのうち馬鹿兄貴とくっつくだろう」とはセーナの言であるが、少なくとも短期的には苦労しか見えない立場であった。

 まあ長期的にも苦労の絶えない立場になるのだろうが・・・合掌。


 マデレイラは婚姻に関するあれこれでメットーのゲマイ大使館に詰めっぱなし。

 ゲマイでクリス――魔導君主ダー・シが起こした争乱の余波がまだ収まっていないうえ、マデレイラの家も魔導君主家の一族、ディテクで言えば少なくとも侯爵に相当する名家だ。国元との調整は欠かせない。


 なおダー・シの支配していたクレモント家はそれまでの伝統もあって、ファーレン家とリムジー家の後見の元に存続を許された。

 ただし、あらゆる意味で彼のワンマン体制だったためその勢力は大きく減じるだろう、あるいはお飾りのようになるのではないかというのがゲマイでのもっぱらの評判だ。

 閑話休題(それはさておき)


 マデレイラ同様に調整であちこちかけずり回っているのはリアスとカスミ。

 リアスはまがりなりにも伯爵家当主であり、家人としてはそろそろ落ち着いてくれるかと思ったところにこの仰天のニュースだ。


「無論それ自体はめでたいんだけどさあ・・・あいつこのままウチのこと放っておく気かねえ・・・」

「まあワシもそろそろ年だしのう。後のことはお前(ローレンス)息子(その父)に任せて楽隠居するかのう」

「ジジイ!? こいつ逃げる気だ!」

「実際隠居する年じゃろうが! いつまで老人を働かせる気だ! 当主代行にしてやるから死ぬ気で働け! 当主になりたかったんじゃろうが!」

「俺が憧れたのは白の甲冑を着ることであって当主の仕事をする事じゃねえよ!?」


 伯爵家ではリアスの従兄ローレンスと祖父シンゲンのそんな会話が交わされていたとか。

 まあこの機にお家乗っ取りとかそう言う話が出てこないだけ有情であろう。

 なおカスミの方も影の一族の将来の当主が内定していたため一悶着あったようだが、いずれカスミの子に後を継がせると言う事で大体は決着したようである。


 サフィアもやはりここにはいない。

 本人は婚儀の日まで普通に自警団活動を続けるつもりだったが、QBが首根っこをひっつかんでどこぞの貴族のお屋敷に行儀見習いとして放り込んだらしい。

 ヒョウエが実家の武術道場に挨拶に行ったときは先方が大変に恐縮していた。


 そして、全く変わりないのがアルテナとミトリカだ。

 共に常人から浮きがちな二人ではあるが、そのせいか不思議とウマが合うようだ。ヒョウエという共通の話題があるせいかもしれない。


「でさー、前にケッコンしたとき一緒の布団で寝たり一緒に風呂入ったりしてさー」

「わらわも奴とは一緒のベッドで寝ておったぞ。風呂は今度一緒に入らせよう」

「あ、じゃあオレもオレも!」

「ふむ、まあミトリカなら許してやろう」


 彼女たちなりのノロケであるのだが、この会話に羞恥心を感じないあたり精神年齢の近さが原因かも知れない。


「あ、ずるい! 私も!」


 そして羞恥心を感じないのがもう一人。

 プロポーズを受けてから、将来の勉強と称してカーラはここに入り浸っている。

 もちろん末娘にダダ甘い親馬鹿(国王)の許可のもとにだ。

 ミトリカたちと三人で盛上がってる主君に、お付きの侍女が苦笑しつつも暖かい視線を向けていた。

 なおヒョウエの膝はアルテナとの共有と言う事で話が付いたらしい。


 サナは一見変わりないように見えるが、数日おきにジュリス宮殿に赴くようになった。

 侍女頭のカニアから「妻の心得」なるものをあれこれ吹き込まれているようであるが、ヒョウエが聞いても顔を真っ赤にして教えてくれない。


(まあ・・・悪い事じゃないでしょう、多分)


 一抹の不安を覚えるが、あえて見ない振りをするヒョウエである。

 そう言う事をしているからこんな結果になったのであるが。


 モリィも余り変わらないが、時々一人で出かけるようになった。

 先の戦いの褒賞もあり、念願かなって生家の屋敷を買い戻したからだ。

 修理費と維持費の見積もりを見て目を剥いていたのを思い出す。


「なんなら僕が出しますよ? スラムの土地は下賜を受けましたから税もかからなくなりましたし」

「いやあ・・・これはあたしが稼ぐよ。そうしたいんだ」

「そうですか。しばらくは冒険者稼業継続ですね」

「だな」


 そう言って二人は照れたように笑っていた。


 そしてリーザである。

 彼女も表向きにはほとんど変わらない。ヒョウエの乳母である母と一緒にドレスを手縫いしていたりするくらいだ。

 ただ、たまに体をそっと寄せてくるようになった。

 そんな時にはヒョウエもそっと肩を抱いてやる。

 それだけでも気持ちは通じ合っていた。


「・・・でも、これでいいなら別に今までのままでも・・・」

「ヒ・ョ・ウ・エ・く・ん・?」

「イエナンデモアリマセンりーざサマ」


 幸せだからいいのだろう、たぶん。

マリッジ・ブルー・・・青い鎧だけにな!(ぉ


しかしモリィ、リアス、カスミ、リーザ、サナ、カレン、カーラ、マデレイラ、セーナ、ミトリカ、サフィア、アルテナ・・・いつの間にこんなに増えたんだろう(他人事のような感想)

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