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毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~  作者: ケ・セラ・セラ
第四章「世界はヒーローを待っている」
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エピローグ「ヒーローは異世界の空に舞う」

「鳥だ!」

「飛行機だ!」

「いいや、スーパーマンだ!」


     ――TVドラマ「スーパーマン」――




 ヒョウエと12人の花嫁の婚儀は王家肝いりで華々しく行われた。

 ディテク国内からでも王族やフィル宰相をはじめとする主立った貴族は残らず参列し、国外からも各国の大使や近隣の王族を始め、ライタイムの星の騎士と黒等級冒険者モニカ・シルヴェストル、アグナムのシロウ、ダルクのカイヤン、ゲマイからはファーレン、リムジー両魔導君主家の当主とマデレイラの実家であるビシク家の当主一家。サヌバヌールの名代として来たミロヴァの姿もあった。


 それに加えて目を引いたのはズールーフの森のエルフたち。族長トゥラーナ、跡継ぎであるナタラとその妻サティ。書庫の長サーワ。術師の長シャンドラと術師アディーシャ。ナパティとティカーリも今日はこちらだ。

 リーザの母やリアスの祖父シンゲンと従兄ローレンス、カスミの母アサギ、ウォー・シスターズ商会の会頭ハリエット、お菓子の好きな貴族バーバンク子爵夫妻、アケドクフ公爵やタム・リス社の会長、ヒゲの支社長ベアード、イサミとアンドロメダにアンドロメダの母シャダルなどの姿もある。霊猿ヴァーリーも今日ばかりは似合わぬ礼服に身を包んでアンドロメダたちと同じ長椅子に着いていた。


 スラムの娼婦ナヴィや楽士ハーディとその妹たち、ドワーフの細工師ハッシャ、サフィアの家族やマネージャーであるQB、サフィアのかつての冒険者仲間と言った平民の面々も、式場の一角に席を与えられている。

 サナの母親代わりと言う事で、侍女頭のカニアもここにいた。幼い頃から面倒を見てきた二人の結婚に、先ほどから涙を隠し切れていない。

 典礼官の声が式場に響く。


「それでは皆様ご注目ください。新郎新婦の方々のご入場です!」


 視線が一斉に正面大扉に集中する。

 ファンファーレ、青い鎧の勇ましいそれとは違う、幸せを鳴らす音色。

 それと共に扉が開き、今日一番幸せな人々が拍手に出迎えられて入って来た。


 式次第について詳しくは書かない。ただ多くの人々が語り伝えたことと、王宮から屋敷までのパレードがメットーのほとんど全ての群衆に見送られたこと、「色々な意味でディテクで一番賑やかな結婚式だった」というフィル宰相の言葉を書き記すに止める。




「さて、それじゃ行ってくるわね」

「おつとめご苦労様です」


 言いつつ目を閉じて唇を突き出してくるカレンにキス。

 見上げてくるカーラを抱き上げて、その唇にもキス。


「行ってらっしゃいお姉様!」


 手を振って姉を見送るカーラ。その胸元には心で会話するための銀の護符。

 馬車の窓から手を振り返して王宮に「出勤」するカレンを見送ると、カーラと手を繋いで一度屋敷の中に戻る。


「それじゃ僕も行ってくるから」

「うん、気を付けてねヒョウエくん」


 カーラをリーザに預けて彼女ともキス。

 彼女の連れていたミトリカとアルテナとも口づけをかわす。


(イヤではないけど面倒くさいなあ)


 ちらっと頭の片隅で考えた途端、リーザの冷たい声。


「ヒョウエくん?」

「何も言ってませんよ何も!?」

「貴様は顔に出過ぎるのじゃ。余人は知らず、リーザやカレンの前でそんなことを考えれば察知されるに決まっておろうが」

「あははは、ヒョウエばかだー」

「?」


 例によって身も蓋も無い正論を叩き付けてくるアルテナに、けらけら笑って宙返りするミトリカ。首をかしげるカーラだけが癒しだ。


「はあ」


 そんな内心がまたしても溜息に出ていたのだろう、リーザが今度はくすくすと笑う。


「はいはい、三人とも。今日は九九のお勉強ですよ。これができるかどうかで計算ができるかどうかが決まりますからね。終わったらサナ姉さんのスフレケーキが待ってますから」

「はーい」

「別に数勘定などできぬでも死にはせんじゃろうが」

「だよなー」

「計算と読み書きが出来ない人はだまされるってお姉様が言ってたよ」

「そういうものかのう・・・」


 素直についていくカーラと、ぶーたれながらついていくアルテナとミトリカ。

 リーザもそうだが、カーラも意外にこの二人からは重きを置かれている。料理とお菓子で胃袋を掴んでしまったサナはもっと重きを置かれている。

 くすりと笑って身を翻すと、サナとサフィアが話し込んでいた。

 気付いたサナが頭を下げる。


「御出立ですか。お気をつけて」

「うん、行ってくる」


 上げた顔の顎に手をやると、少し身をこわばらせる気配。

 12人の妻の中でも、未だにサナだけは人前での接吻を恥ずかしがる。

 それがかわいくて、ことさらに人前で口づけしているのは否定しない。


「・・・」


 唇を合わせて顔を真っ赤にしたサナをおいてサフィアに向き直ると、こちらは向こうから近づいて来た。

 抱きすくめられて唇を奪われる。さっとしたそよ風のようなキス。


「それじゃお先に」

「今度は繁華街でのスリでしたっけ」

「大規模なスリ集団がいるらしくてね。他のクライムファイターとも協力しての大捕物さ」

「正義の味方に寧日無しですね」

「暇な方がいいんだけどね。じゃ」


 身を翻してさっそうと歩み去るサフィア。

 サナもスフレケーキの用意があるのか、もう一礼して去っていく。

 さて、とあたりを見渡すと待っていたモリィと目が合った。

 リアスとカスミも一緒だ。

 モリィの雷光銃もリアスの白の甲冑も新品同様にぴかぴかになっている。姿を消す前にメルボージャが修復してくれていた。


「お待ちどうさま」

「おう。それじゃそろそろ行くか。毎日戦隊エブリンガー、久々の出撃だ」

「その辺の冒険者ギルドの依頼を直接受けていていいのでしょうか・・・仮にも現役の王族で、今や金等級冒険者なのに」

「現役の伯爵閣下が言うと説得力があるねえ。戻ってこいとか言われねぇの?」

「うっ」


 ちょっと怯んだリアスに従者からの追い打ち。


「この前ローレンス様が死んだ魚のような目をしてらっしゃいましたが、多分あれはもう諦められてます」

「か、カスミ!」


 当人も諦めた目のカスミ。慌てるリアス。

 モリィと二人で笑って、ふとその横顔を見る。


「・・・んだよ?」

「いえ、生家は買い戻したわけでしょう? 『モリィ』じゃなくて『コバヤシ・モリエ』に戻る気はないんですか?」

「あ・・・」


 そいつを忘れてた、という風に口をぽかんと開け、次いで頭をわしゃわしゃとかきむしる。

 リアスとカスミの主従漫才を聞きながら、しばしの沈黙。

 やがて頭から手を離してモリィが溜息をついた。


「いや・・・いいわ。おめぇたちの中じゃあたしはモリィだ。それでいいよ。

 『モリエ』は家族に会いに行くときのために取っておく」

「ですか」


 微笑みと共に頷いて、その瞬間居間の扉が開いた。


「ヒョウエくん! メットー東の街道10キロくらいで山崩れが起きたみたい! 隊商の人たちが生き埋めになってるって!」

「「「「!」」」」


 リーザの言葉に四人の顔が一瞬で引き締まった。

 不敵な笑みのヒョウエが一同の顔を見渡す。


「エブリンガーの再出発はちょっとお預けですね――どうやら僕の出番です」




 メットーの東の街道、12kmほどの場所。

 この頃の雨で地盤がゆるくなっていたか、山に挟まれた隘路で大規模な地崩れが起きていた。


「親父ぃ!」

「荷物の中にシャベルがあるだろう! 持ってこい!」


 幸いにも巻き込まれずに済んだ人々が土砂をかき分けて犠牲者を助け出そうとするが、恐らく数万トンを超える量の土砂だ。人力ではどうしようもない。


「ちくしょう・・・え?」

「あ?」


 あるものは目をぱちくりとさせ、あるものはぽかんとした顔になり、またあるものは歓喜の表情を浮かべ。

 だがその全員が揃って空を見上げる。


 ファンファーレが鳴った。

 少なくとも彼らは確かにそれを聞いた。


 奏でるものなどいなくとも。

 そこがたとえ荒野のただ中であっても。

 ヒーローは、ファンファーレと共に現れるのだ。






《center》毎日戦隊エブリンガー 完《/center》


はい、毎日戦隊エブリンガー一巻の終わりにございます。

これまでお付き合いくださった皆様、ありがとうございました。


なろう系のオリジナルは初めてなので、取りあえず好きなものをブチ込んで書いてみようと思いました。

当人は書いてて非常に、ひっじょぉぉぉぉぉに楽しかったのですが、見事なくらい結果には繋がりませんでしたw

まあどこぞの光子帆船Sターライトやサ▲八じゃないけど、好きなものだけ書いてても読者は面白がってくれないという当たり前の事ですな。


この後は取りあえず別路線で、世界設定だけ流用して別作品を書いてみようと思います。

エブリンガーの百五十年から三百年くらい前の話になるかな?

よろしければそちらもご覧下さるともっけの幸い。ではでは。

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