表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
繰り返しの元聖女は聖騎士改め暗黒騎士を守りたいのに溺愛される  作者: 氷雨そら
第3章 理は崩れていく
52/63

魔獣使い

ご覧いただきありがとうございます。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


「なんだかアルフリートの兄さん、強すぎて怖いな」


 キースが珍しくそんなことを呟いた。キースにもハイデの里の人間としてある程度の修羅場を潜ってきたという矜持がある。


 しかし、本気を出して魔獣を倒していくアルフリートの様子はそれほど鬼気迫っていた。


 そんなことを呟いたキースも、ヒラリと魔獣の攻撃を躱しては倒していく。


「キースも相当強いがなっ」


 一振り一振りが重い、ギュンターの剣は一度に複数の魔獣を屠っていく。


 常人が見たら、どの戦士も強すぎてその差ははっきり分からないだろう。


「リディアーヌ様……」


 だが、アルフリートの剣には幾分か焦りも見られる。リディアーヌは、アルフリートを残して敵のあふれる王都へと一足先に飛び込んでしまった。


 すでに王都に入ったであろうリディアーヌに追いつこうにも、少し遅れたアルフリート達の前には、魔獣の大群が立ちはだかっている。


 それでもすでに魔獣は彼らの敵ではない。それに、少し先に見えてきた勇者シンジはアルフリートより幾分か強く見える。経験値を含めれば、はるかに上をゆく存在が剣を振るっていた。


「あと少しお待ち下さい、リディアーヌ様」


 アルフリートとシンジは肩を並べ、少しだけ目線を合わせると、まるで2つの旋風のよう魔獣の群れの中を駆け抜けていった。


「おいおい、置いてかれちまったみたいだぞ?」

「ま、我々はここで魔獣を減らすのが役目のようだな?」

「げっ。もっと華々しく戦いたいなぁ」


 ギュンターとキースは、殿を務めることになった。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


「どこ?イリーネ」


 魔石の魔獣は、複数いるようで今回もリディアーヌを見るや真っ先に狙ってくる。コルタナと共に戦うリディアーヌも、1匹倒すのが精一杯の状態だ。


――――意思を持っているみたいだ。


 キースの言葉がリディアーヌの脳裏をよぎる。そんなことができる存在も、王都にいるに違いない。


(出来れば出会う前にイリーネと合流したい)


 しかし、その望みはリディアーヌの目の前に現れた姿に打ち消された。


「見つけましたの」

「フローリア……」


 リディアーヌは、コルタナを握り直す。もう少しだけ時間が欲しかったと、唇を噛み締めた。


「ふふっ。ひとりですのね。聖女が増えてしまって忌々しいですわ。まずは貴女から倒して差し上げますの」

「どうしてこんなこと」

「……理がなくなることは良いことですの?聖女と聖騎士よりも強い力を持てば、私の大切な人たちが焼かれることはありませんでしたわ」


 その声には、覇気が感じられない。ただ、哀しみだけが漂っていた。


 リディアーヌは、自分たちが正しいと思っているわけではない。ただ、大切な人たちを守りたいだけ。


「貴女にも正義があると」

「悪でも全く構いませんわ」


 2人は暫し見つめあった。


「……貴女と違う場面で会いたかった」

「ふふ、同感ですの。でも、もう引けないっ」


 しかし、2人の間に割って入る影があった。


「お嬢様、お引きください」

「エリーゼ!?」


 短剣を手にしたエリーゼは、黙ってフローリアを見つめる。


「貴女も私と似たような境遇ではありませんの?」

「ええ、でも私にはお嬢様がいる。これから守りたい未来も」

「そう、エリーゼは変わりましたのね」

「お嬢様は、先にお進みください。里の者の後始末は、里の者がつけるのが掟です」


 リディアーヌは、踵を返すと走り出す。エリーゼを信じると決めて。


 後ろに剣が交わる音と魔獣の叫びが聴こえたが、振り返らずリディアーヌは走り続けた。


 

最後までご覧いただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ