表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
繰り返しの元聖女は聖騎士改め暗黒騎士を守りたいのに溺愛される  作者: 氷雨そら
第3章 理は崩れていく
53/63

勇者が女神を殺すなら

かなり暗めな展開ですので、大丈夫な方のみ見てください。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


「なんのために、戦っているのだろう」


 勇者はいつも思っていた。確かに、平和な世界で幸せに生きていたはずなのに。それでも、横を見ればいつもこの存在が大切だから戦っているのだと思い出す。


「ミナト」


 世界を忘れて全てを滅ぼすことだけを、思考を塗りつぶしても、隣を見れば刹那、思い出すことができた。


 勇者がいつか魔王になり、お互いを殺すことで聖女と勇者は消える。その理は、すでに壊れかけている。


「ミナト!」


 でも、今は世界を救いたいとかそんな大きな夢を持ってはいない。ただ、あの笑顔に会いたい。あの笑顔だけ守れればそれでいい。


「シンジ」


 戦って、傷ついて、大切な記憶を奪われても。

 

「ああ……やっと捕まえた」


 王都に入ってすぐに、シンジはミナトを探し出した。長い長い時を経て、幼なじみは再び出会う。


「捕まえてくれてありがとう。シンジ」

「……ミナト」


「これから私たちがやることが正しいのかわからないけど、でもこの世界は歪だよ」

「ああ、でも大切なものが増えてしまったな」


「そ、だね」

「良いのか?」


 ミナトがシンジに抱きつく。


 理を壊すには、理に外れたことをすれば良い。それは2人がようやくたどり着いた真理。


「魔王が勇者に、女神は元の聖女に。これだけ理を壊しても、完全に理を破壊するのには足りなかったな」

「ん。いいよ、最後に会いたいという願いをこんなふうに叶えて貰えるとは思わなかった。予想以上だよ。ありがと、シンジ」


 勇者が女神を殺すなら、それは最高の禁忌。


 シンジとミナトが口づけを交わす。2人の体を金色の炎が包んでいく。


 アルフリートと目があった勇者が、最後に微笑んだ。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


「本当の意味でリディアーヌを救いたい?」

「もちろんです。リディアーヌ様を救うためならば、俺は全てをかけます」


 勇者は複雑な気持ちを隠すことなく微笑んだ。


「理外れと呼ばれる君たちが、その力を失っても魔獣との戦いが続くのだとしても?」

「理の力を失っても、俺たちは必ず勝ちますよ」


 戦いが始まる直前に、勇者はアルフリートに告げていた。


 理は確かに代償を求める。その代償の代わりに、ヒトは強力な力を得た。理に代償を払いヒトが力を得るという繰り返しを誰が一番初めに始めたのか、今はもうわからない。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 理に支配されない世界から来た2人は、ようやくその代償から完全に解放される。


 2人の姿が消えるとともに、世界から理も代償も、それによって与えられていた力も全てが消えてなくなった。

 

 


最後までご覧いただきありがとうございます。それでもハッピーエンドの予定です。


『☆☆☆☆☆』での評価やブクマいただけるととても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 金色の炎に包まれるシンジとミナト、美しくも哀しい姿ですT^T [気になる点] 理も代償も力も消えた世界。皆んなは無事ですか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ