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第2竜騎兵連隊長


 「今日はどちらに向かわれるのですか」

 「東部方面軍司令部です。最近はほぼ毎日、伝令のような仕事しかしていません」

 「連隊長閣下としては物足りない感じですか」

 「与えられた任務をこなすのが私の仕事です。とはいえ最前線に送り込まれなくなったのは、うれしいようなさびしいような不思議な気分です。とはいえ、戦争は続いていますから、いつか必ず最前線には戻されますよ」

 「そうですか。今日もお気を付けて」


 竜が空に上がってから、その兵士は少しの間、青い空を見上げていた。


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 南部王国軍竜騎兵連隊といえば大陸でも屈指の強さを誇る部隊として有名だった。その中でも連隊長ともなれば、強さだけでなく美しさも兼ね備えた存在として、南部王国の象徴と持て囃されることも珍しくなかった。


 魔王軍との戦いでは、戦場最前線にいることももちろんあったが、それ以上に空を自由に駆けることができるという特性から、伝令や偵察の役目で大活躍していた。南部王国首都が包囲されてからは、北部王国軍との連携のため毎日どころか、日に何度も北部王国軍前線部隊司令部と南部王国領を往復することとなり、後半には連隊長だけでは足りず、一兵卒の竜騎兵が伝令として駆け回ることももはや当たり前の光景になっていた。


 南部王国首都陥落後は、南部王国女王の遺言に従い北部王国軍に編入され、北部王国軍の兵士として引き続き偵察や伝令を担っている。


 連隊長が今こうして東部方面軍司令部と参謀本部を行き来しているのも、その延長線上にある仕事だった。


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 東部方面軍司令部でその日の報告を終えてから、連隊長は帰り際に参謀の一人に声をかけられた。


 「前線への直接偵察を検討しています。お願いできますか」

 「内容によりますが」

 「魔王軍の支配地域の奥深くです。今まで近づかなかった方面です。今の状況なら行けるかもしれないという判断があって」

 「なるほど。要求事項を書面でいただければ、検討します」

 「ありがとうございます。急ぎますので、明日中にお持ちします」


 連隊長は外に出て、竜のそばに戻った。

 首を軽く撫でると、竜は目を細めた。


 「しばらく遠出になるかもしれない」


 竜は何も言わなかった。当然だが。

 連隊長は空を見上げた。今まで踏み込んだことのない方向に、何があるかはわからなかった。

 最前線に戻される、と兵士に話したことを思い出した。

 その「最前線」が、どうやら今まで見たことのない場所になりそうだった。


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