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最弱召喚者は這い上がる(凍結中)  作者: 多田野箱
地の底編
5/35

あの日から

ヤバい、震えが止まらない…

まさか初作品で50取れるとは思ってなかった。

ブクマ登録マジ感謝でございます。

 広成のカスっぷりが明らかになってから早3週間(・・・)、今はベルラーラ国立図書館に篭もり、広成はこの国の伝説やどんな種類の魔物がいるのかを調べている、もちろん何もしていなかったわけではなく、みっちり努力してきた広成だったが上がったステータスは


__________________________


花咲広成はなさかひろなり 16歳 ♂ level 3


レアスキル:「死霊術師」

コモンスキル:「植物操作」

派生能力:「死霊視認」「植物栽培速度8倍」「異世界言語理解」

体力:9

魔力:15

筋力:9

守備力:20

俊敏:30

耐性:50

__________________________


 これだけ。守備力に至っては防具や死霊のローブ等の魔法装備を一式をつけてこの程度だ。耐性はもはや上がってすらいない。(元々の魔法に対する耐性なので普通は上がるはずもない)

 魔法装備の一つであるローブの効果「死霊力向上」は生前のものに宿っている幽霊をうっすらと見えるようにしてくれるだけ。さらに言えばそれにも魔力を使用するのだ。

 当時は何かうっすらしたのが見えた凄ぇ!!となったがものの5秒も経たぬうちに見えなくなったため、国所属の術師である御年62歳になる死霊術師の先生にこれを着てその程度ならば死霊術の方は後30年は修行が必要ですなぁ」と言われてしまった。

 植物の方はまあまあ順調でこの前王国の植物研究機関で少々戴いた植物を改造して自分が思いついた兵器として使える植物を作成する研究中だ。ちゃんと植物を動かす練習もしている。現在のメインウェポンは「死霊術師」ではなく「植物操作」だ。

 それに対しほかのやつらのステータスはグングン上がり白石、古市、長谷川の3人はもう前線で充分戦えるレベルになったという。


 まず長谷川の場合はこう


__________________________


長谷川高人はせがわたかと 16歳 ♂ level 3


レアスキル:「ゴーレム作成」

派生能力:「土属性耐性上昇」「泥ゴーレム召喚」「異世界言語理解」

体力:70

魔力:90

筋力:50

守備力:70

俊敏:85

耐性:65

__________________________



 長谷川はこのクラスで6人しかいない古市と同じスキル所持数1の1人だった、その分スキルの成長速度が2個持ちよりも早いらしく最初は「異世界言語理解」しか派生能力が無かったがこの3週間で2つも習得している。

 これからが習得するのが難しいらしいのだがかなり順調なペースでできているらしく、中位の石のゴーレムをもうそろそろ召喚できるんじゃないか?と術師の先生に言われている。


 次に古市

__________________________


古市高生ふるいちこうせい16歳 ♂ level 4


レアスキル:「守護者ガーディアン

派生能力:「身代わり」「ガードアップ」「シールド展開」「異世界言語理解」

体力:160

魔力:40

筋力:35

守備力:260

俊敏:30

耐性:50

__________________________



 本格的にタンクと化した古市。新たな派生能力ガードアップはその名の通り守備力を1.3倍程に上げる能力だ。使用するには「我が仲間たちに硬化の恩恵を、ガードアップ」と言う。シールド展開は「古の雷をも防ぎ、仲間を守る壁となれ、シールド展開」だ。

 ちなみに派生能力は自動で発動するタイプのものと発動する際に特定の呪文を唱えるタイプの2種類ある。それもこの3週間で覚えた知識だった。と言うか異世界に関する授業があるので皆知ってることだった。


 続いて白石は


__________________________


白石高広しろいしたかひろ17歳 ♂ level 2


コモンスキル:「観察」「解析」

派生能力:「弱点視認」「発動時間5秒短縮」「異世界言語理解」

体力:45

魔力:60

筋力:45

守備力:70

俊敏:65

耐性:60

__________________________



 他と比べるとあまり伸びていないように感じるが、大事なのはスキルの所、派生能力に5秒短縮とあるが言葉のとおり30秒から25秒まで観察の時間を減らせるようになった。

 戦場では30秒も長く目を開けていられない。ただでさえ何もしない状態でやっとのこと弱点を視認できるのだ、この5秒の差は大きいことだろう。裸眼でなければ効果も出ないことが尚更このことを肯定している。

 たまに訓練でやるチーム戦では古市と組み、戦っていた。戦術としては古市が相手2人を塞ぐ壁となりその隙に白石が弱点を視認、そこを的確に突くことで、そこそこ高い勝率をはじき出していた。

 まぁ準チートの能力を持った2人だからこそできる芸当なので他の奴がそうそうできるものではないだろう。


 そしてお待ちかねの勇者小司は…

__________________________


小司行道しょうじゆきみち17歳 ♂ level 5


スペシャルスキル:「英雄」

レアスキル:「勇気あるもの」、「全属性適正」

コモンスキル:「魔力操作」

派生能力:「限界突破」「魔力回復量超アップ」「恐怖耐性」「異世界言語理解」

体力:210

魔力:140

筋力:185

守備力:200

俊敏:130

耐性:175

__________________________


 ざっと初期からの1,5倍程の成長をした。勇者は数が少ない故に皆特別な力を有していると言うが広成としては妬ましいことこの上ないことであった。しかしあいつが強すぎると駄々をこねてもこの状況は変わらない、なのでせめてこの世界の知識を授業以外でも身につけようとこの図書館に来て勉強に励んでいるのだ。

 だがそれに追い討ちをかけるように2日目に行なわれた水晶に手を当てて出た魔法適性では、広成は魔法の適性もほとんど無いことがわかったのである。

 一応闇係の魔法なら適性はあった、だがそれ以外の魔法は適性のない一般人でも使用できる超初級の魔法「ボール」の魔法でさえも使えない。


 ちなみにこの世界の『魔法』とは自分の体内にある魔力を呪文によって具現化させて発動する。基本的には超初級の魔法「ボール」は普通は1~5、適性がない人でも倍の10の魔力を出せば発現する。

 「適性」があるならば詠唱の短縮、注ぐ魔力の減少などが見込めるが大抵の人は持っている適性が広成にはむしろマイナスなのでRPGお馴染みの「火球ファイアボール」を使用するのさえ推定50もの魔力が必要だった。実に5倍の量である。

 申し訳程度の闇属性の場合は4というなり、今までからしたらとても嬉しいこととなった。けれど今の広成では3発も放てば直ぐにガス欠状態になってしまう。そしてダメ押しにと闇には視界潰しとちょっと目にしみると言う地味な効果しかなかった。顔面に当てる専用の技でしかないのだ。

 ちなみにこの世界にも自然にある魔力を使い、一度術者が魔力を通すだけで継続的に使えるという魔法陣と呼べる代物はある。

 魔法陣は大抵のものには刻み込めるため、鉱石や紙、布などに刻み込まれ、市民の生活に役立っており、この城で見かけた調理場の、日本で言うならコンロのようなところや広場の噴水で水が流れ出る瓶を持つ守護神ゼナド像にもコレは使われていた。

 ただデメリットももちろんあり、魔法陣は術者が直接魔力を注いでいない為に消費する魔力量が高い、正確に魔法式を書かなければ使えない、最低でも20センチ程の大きさが無ければまともに機能しない、単純に値段が高いというそこそこに大きなデメリットがある。

 5センチほどの小さな魔法陣を付けた武器も存在はするがそれは宝箱か古代の何かしらからのもので、人間が作るものは最低でも幅広の大剣や重鎧サイズの得物が必要であり、そんな物を付けていられる者は身体強化魔法を使ってもあまりいない。


 それらの理由でベルラーラの魔法機関も様々な魔法陣を提供しているが広成の戦闘の仕方に合うような魔法陣は見つからなかった。

 という訳で、広成は接近戦はステータス的にほぼ無理、魔法は闇魔法のみ、最後の砦であるスキルは死霊を見るだけと植物を8倍の速さで栽培できて、ウネウネと操ることができるくらい。

 操作は植物の杖を装備すれば10倍の速さ栽培でき、鞭のように俊敏な速度で動かせる程になる程度。しかし鞭といっても肉を抉る程の威力はなく、上手くいって痣を作るほど。


 つまり自分一人では殆んど何もできないバリバリの後方支援型である。

 

 落ち込む度合いも半端なく、もうここから何処かへ行こうかな?とも考え、実際「この国を出させろぉ!」と叫んだことさえあった。

 しかしその度に親友たちがもう少し頑張れと励ますので行くに行けず、現実的にも一人旅は今の広成には不可能であったため実行には移せなかった。

 それでも行きたいのは亜人と獣人の国「デミフルス」だ。広成は奴隷じゃない生き生きとした亜人や獣人を見たかった。


 補足だがエクスペルでは奴隷制度が存在する、広成達は元の世界でも昔はあり、ここは日本の常識が当てはまらない異世界だということもあったためそれほど驚きはしなかった。

 広成は前に見たネット小説でまさかの召喚した勇者を本格的な奴隷として利用していたケースもあり、広成は自分が奴隷にされないか最初の1週間は毎日ひやひやしていた。今はそんな事ないとわかってはいる。


 そして奴隷として差別されている亜人が何故戦争や革命等のことを起こさないのか、それは亜人がただただ基礎能力が強いだけで、魔法もスキルを持っていないからだ。

 基礎能力はその獣の特性によって長所短所が激しいが基本的に人間の1.5~3倍程の身体能力は所有している。魔力も所有しているのだが何故か魔法が使えない。そういう種族である。

 獣人は身体能力は人の二倍程でスキルを使えるが魔法は使えず、尚且つ見た目がまんま動物を人間の形に無理矢理しただけで性格も荒いものが多く虐げられている。わかりやすく言えば人狼ワーウルフだろうか。


 まず大前提としてエクスペルでは、スキルと魔法を神々からの贈り物と信じている。スキルを持っていなくとも魔法の才能があったために大成してきた人はいるし、逆に魔法をあまり使えずともスキルを駆使して大成してきた人もいる。

 その為、魔法もスキルも持ち合わせていない亜人たちは神から見放された種族として日々虐げられて、獣人がスキルを使えるのは汚らわしい魔物との忌み子であるからだとして蔑んだ目で見られているのである。

 だが、スキルも魔法も使える個体もいる魔物はあくまでただの害獣とみなされていて、神からの恩恵を受けるに値するとは考えられていない。魔族もまた然りだ。

 今のところ可能性が限りなく低いがもし亜人の国へ行くとすると『魔宮ダンジョン』と呼ばれるこの世界の危険地帯を通らねばならない。

 ダンジョンでは地上で暮らす魔物よりも強いものが際限なく出現し、中には希少な鉱石や宝箱があるが数多くのトラップも待ち構えている。先程の魔法陣が刻まれた武具もダンジョンの産物の一つである。つまりは危険有り財宝ありの宝くじのようなものだ。


 ちなみにこの世界のダンジョンは古文の通りだと全部で12個あるはずなのだが、可笑しい事に全部で11個しかなく、現在も捜索が続けられている。

 その見つかったダンジョンさえも完全にクリアされたものは未だに無く、奥底には一体何があるのか、何がいるのか、果たして底はあるのかと様々な議論が交わされている。

 このベルラーラにも一つダンジョンがあり、日夜冒険者等が潜っているという。その名も「ウォルタ」だ。広成は調べ物をしている最中に出てきたためダンジョンの名前は全て覚えていた。


 魔物がすぐ近くにいる状態なのにそんなのほほんとしてて大丈夫なのか?と盛大にツッコミみたいがダンジョンからは基本的に出る魔物はおらず、たまに出てくるとすれば人間たちにほとんど害を出せないほどに弱い魔物位だけだ。

 こんな楽しい妄想を繰り広げているうちにそろそろ訓練の時間がやってきた。ここに来たのが午前8時で訓練が始まるのは午前10時からなので広成は実に2時間も時間、妄想と調べ物をしていた。

 楽しい時間は終りを告げて、キツイ訓練の時間が始まる。だるさの原因は自分の無能さ9割と異世界に来てからちょくちょく広成にちょっかいを出すチートどもの存在1割だった。

 最近は雲行きが怪しくなって来ているので、毎日汗水流して頑張っているがステータスは全く答えてくれない。まぁ朝昼晩にちゃんと素振りや打ち込みをしていても3週間で人間は劇的に変わるはずはないとは思うが…

 異世界に来る前の行いとかでも決まる、広成は日本ではそこそこの善人だったためオープンオタクでも特に風当たりが強かった訳ではなかった。

 しかしこれがキモオタで普段の態度もかなり悪かった奴だったならばどうだ?、瞬く間に何らかの対応がなされるだろう。

 人間は欲が深く、力を持つと態度が変わる生き物だ。「昔はいい人だったのに」はどこにでも起こりうる。さらに正義に黙認されれば泣き寝入りするしかない。

 日本にいた時からこんなことは世の中で少なからずあった。世界一平和な国と言われている日本でこれなのだから異世界に来て戦争させるような奴らやらない訳が無い。偉くなりたかったら強くなれ、強くなりたければ偉くなれ、しかしそのための力がなければ強くも偉くもなれない、今の広成の状況はまさにそうだった。


 そんなことを考えていた広成だったがもうあと10分ほどで訓練が始まってしまう時間になってしまった。ここに来るのに5分もかからなかったが、念の為にと急ぎ足で向かう。

 その道中、小さな子供が走り回り、親らしい人がその近くを微笑みながら歩き、そのすぐ横で商人が露店を開いて果物や小さな装飾品等のセールストークをしている。実に平和な風景だ。


(何もなさそうだから今すぐ返してもらいたいです、ハイ。)


 広成が確実にそうなることのないとわかっていながらそんな事を考えてしまうのも、全ては仕方のないことだった。


================================

 

 その後、遅れることなく訓練に参加した広成はスキル使用可の模擬戦や不思議と自分に一番しっくりくる武器であるレイピアの稽古などをするなりして、4時間に渡る午前の訓練が終了した。それぞれがいつもどおりなら昼食を町や食堂で食べるために行こうとする所、団長からの知らせがあると引き止められる。


 何だ何だと注目を集めた団長からは


「昼食前に悪いが、明日は実戦訓練としてダンジョンウォルタに行き、30階層までのレベルの魔物と戦ってもらう。今までの訓練の成果を知るためだが、ここいらにいた魔物とはレベルが違うから心して取り組め。私からの話以上だ、では各自昼食を食べに行ってくれ、解散!」と太い声で告げられた。


 そうですかそうですかじゃあ俺は城に引き篭もって皆の帰りを待ってます、頑張ってください。

 えっ?お前も来るんだよ。何してんだ? 俺も行くんですか?そうですか、はい、非常に遺憾ですが…頑張ります。

 広成は本当に嫌そうな苦笑いを浮かべ(俺、生きて帰れるのかな)と思わずにはいられなかった。

 




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