大丈夫じゃない、問題だ
少しずつですがブクマ登録が増えてきて感無量の私です。
魔族との戦争に全員が(広成たちは場の空気に流されて渋々)参加すると表明した後、広成たちは一度城の大広間に移されていた。
いくら大きな力を持っているとしても所詮は日本人、平和な生活をそれまで送ってきた広成たちにいきなり魔族と戦うのははっきり言って無理、大無理も良いとこである。その為、参加すると言った以上は戦う術を学ばなければいけない。
そのためにまずは広成たちの力を知り、その力に見合った人材を派遣することから始めるそうだ。その力を確認するために”ステータスボード”と呼ばれる異世界での身分証明書のようなものが小型のナイフと共に配給された。
配給した兵士の人曰く「自分の持つスキル、身体能力をそれぞれを数値化してくれる便利なアイテムで、自分の血液を取り込ませるとその人の情報をステータスとして表してくれる」らしい。
他にも2個目は作れない、や慣れ親しんだ人位にしか見せないと言うのも教わった。しかし原理は兵士の人でも不明のようだ。
そして広成は自ら皮膚を切るというのが初めてだったが意を決してナイフで自分の指を切り血を滴らせる、それをステータスボードに擦りつける、すると…
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花咲広成 16歳 ♂ level:1
レアスキル:「死霊術師」
コモンスキル:「植物操作」
派生スキル:「異世界言語理解」
体力:5
魔力:10
筋力:5
守備力:10
俊敏:25
耐性:50
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こう表示された。
ウン、あぁ~そうか。って貧弱過ぎない!?という激しいツッコミが炸裂するが確かに高校に入ってからは通学が殆ど運動と化していたけどさ…と納得もする。他の生徒達も自分のステータスに注目しているようだ。「なんだこれ」や「スキル『忍者』!?キタコレ!!」等の歓喜の声と驚愕の声がチラホラと聞こえてくる。
皆のステータスボードが登録されたのを確認すると顎ヒゲを生やし一際大きい体格の団長っぽい人が説明を始めた。
「全員見たな?私はこの国の騎士団長をしているガブラス・ローグだ。まず最初に君たちに敬語は基本使わない、共に戦場で戦うからには敬語だと語固っ苦しくてかなわんからな、異論は認めん」
いきなり有無を言わさずに敬語は使わないと言うとは漢って感じだな・・・という感情をほとんどの人が抱いていた。
まあゴツイデカ男に敬語で話されたら逆にこっちの方が変に緊張してしまうから別にそれで良いのだが。
「これからステータスの説明に移る。まずは性別と年齢だ。間違ってないよな?それと次にレベル、これは全員が1だと思う、レベルは魔力を持った何かしら、そうだな…大抵は魔物から魔力を得ることで上がり、肉体も成長していく。もちろん日々の鍛錬でも向上していくから安心するといい。お前たちのいた世界はそういう物だと聞いている。
その他には…ああ、レベルの限界値は100だ。つまりレベルが100になっている人物がいたならばその人は自分の限界に達しているということだ。まぁそんな人はなかなかいないと思うがな。私もその100に至れていない一人だ」
ガブラス団長のこんな一言も全員が聞き取り問題のテストの時のように聞いている、一言も漏らしたくないようだ。
「それと魔法の装備を付けることによっても上昇させることもできる。が、私はこっちはあまりオススメはしない。
装備の力に頼ることになって自分の力を過信するようになるし、装備の力を減少、又は無効化されたら一気に身体能力が落ちて死に繋がることもある。過信することによって命を落とすことなんてザラにあるぞ。後で自分にあった武器をあとで選んでもらう。人によって得手不得手があるからな」
ブラットなことをさらっと言うガブラスに軽く引く生徒たちが数名いたが、これにもすぐに慣れねばいけない。
ちなみに広成は内蔵とか大量の血が大の苦手だ、グロいのなんてもってのほかだったが克服しなければ死ぬことになるだろう。
「最後に所有スキル、これは才能のようなものだとでも思ってくれ。スキルにはランクが有り、スペシャル、レア、コモンの順に希少性が高い。
職業系のスキルはその職業に準ずる事が普通の者よりも高い水準で行える。だがこの世界の者は職人系のスキルならば3人に1人はいるが戦闘系ならば10人中1、2人コモンのスキル持ちがいるくらいだ。
複数持ちやレアは100人に一人いればいい方といった感じでスペシャルはそれ以上だな。それだけ貴重なものだと知っていてくれ。
伝説ではかつてこの国を救ってくださった大戦士エレクはスペシャルスキルを2つ所有していたとも言われているが、所詮は伝説だ。まぁ君たちの中にはもしかしたらそんな奴もいるかもしれんがな。」
なら俺スキル2つも持っていんじゃん、しかも1つはレアスキルだし、ヤッター!!と舞い上がった広成だったが、次の生徒の一言でその喜びが一気に下落した。
「俺、スキル2つ持っているんですけど…」
「あっ、俺レアスキル2個持ちじゃん」
「私も」
「…」
(oh…俺だけじゃないのかよ)
なんと、クラスメートの大半がスキルを2つ以上もっていたようだ。しかも勇者の小司に至ってはなんとコモン1つレア2つスペシャル1つの計4つ持っているという。
「さすがは召喚者達だな、これからが楽しみだ」
団長はホクホク顔で笑っているがゴリゴリの漢な団長がやるとどことなく怖い。
「それとお前たちはステータスが今どうなっている?レベルが1だと私たちエクスペルの住人の場合は10~20程だ、まぁお前達の力はその数倍はあると聞いている。羨ましいことだな。
そうだ、ステータスの中で耐性と言う欄があるだろう。それは魔法への耐性のことだ。高いほどに魔法への抵抗力が上がる。これは他のステータスと違い限界は100。さらに鍛えることもできない。だが属性持ちの痛みをある分だけ減らしてくれるものだ、便利だぞ。あと、ステータスの内容は私に伝えてくれ、資料を作って訓練内容の目安にするからな」
「えっ?」と、ものすごく聞き逃してはいけない言葉がローグ騎士団長から放たれ、広成は嫌な汗をダラダラと流し始めた。
(みんなスキル持ってるし、今の話だと俺、耐性と俊敏以外は全部平均以下だよね?いや、耐性はむしろ良いけど、せめて他のもこの世界の人と同じくらいかなって思ってた。俺みたいにこんな数値の人いないのか?)
そのような淡い希望を持ち、周りを見渡せば、広成のように嫌な汗が流れているような奴は1人たりともいない、完全に広成だけステータスがカスなのである。広成は実際にやってはいないが心はorz状態だ。
ローグの呼びかけに小司が前へ出る。そのステータスは
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小司行道17歳 ♂ level1
スペシャルスキル:「英雄」
レアスキル:「勇気あるもの」、「全属性適正」
コモンスキル:「魔力操作」
派生能力:「限界突破」「異世界言語理解」
体力:100
魔力:90
筋力:100
守備力:100
俊敏:80
耐性:80
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まさにチートだった。
「流石に勇者だけあるな、才能の塊だ。既に3桁に達している項目があるとは…派生能力も普通はレベル1ではつかないんだがな…これからが楽しみだ」
「ありがとうございます」
団長の賛辞に照れる小司、今の広成にとっては妬みの象徴だ。
それとローグ団長は42歳でレベルは83、ステータスは600~800ほどでこの世界の実力者の中の一人に入る実力を持っている。しかし小司はレベル1の時点でその約7分の一、成長次第で簡単に抜かせそうなほどの差だ。
ちなみに耐性同じくスキル本体はもう何があったとしても増えることはない。才能が元のとは別にもう一つありましたなんてことは無いからだ。
例外としては先天的なスキルを極めることによって派生能力が発生する事くらいで、簡単に言うならば職人が仕事を何十年も続けるとその技能がより丁寧に、より早くできるようになるようなものだ。
だが発生させるためには戦闘系ならば血のにじむような努力を、職人系ならその作業に年中没頭して極めるしかなく、10歳の少年が派生能力が付くまでに20歳
になることもあるそうなので広成にとってこの話は正直言って聞きたくなかった物だ。
他の連中も小司には劣るがかなり強力なステータスだった(平均50以上)。それに約7割が純戦闘系のスキル…
広成の死霊術師も戦闘系のスキルといえばスキルだが正直どうだろうと首を傾げるのが現状だ。
広成は自分のスキル『死霊術師』を見る、確かに大鎌を持った死神とかスケルトンとか憑依とかがカッコイイなと日本にいたとき思ったことはあるがまさか異世界に来てその小さな願望が叶えられるとは思ってもみなかった。
もう1つのスキル「植物操作」はその名の通り植物を操れるスキルだろうが今の状態では縛る以外で戦闘に使用できるビジョンが見えない。
それに使うにしたらどちらも当然魔力を使用することだろう、その場合広成は一般人程の魔力のため乱発もできない、このままではどちらのスキルもお先真っ暗だ。
そのまま頭を悩ませていると報告の順番が回ってきた。
先程までずっと強力なステータスの生徒たちを見ていたローグ団長は広成のステータスを見ると、目を見開いて顔を驚愕の表情に染め、さらに2度見される。
広成はその後団長から引きつった笑顔で肩を叩かれ
「大丈夫、何とかなるさ、何事もポジティブに考えよう。スキルの方は『晩成型』だが、どちらもなかなかに良いスキルのはずだ。耐性と俊敏は高いから欠点を補う要領で頑張ってくれ」
と、同情が入った説明された。広成は異世界にもポジティブって言葉があるんだなと言う考察とともに自分の肩が落ちるのをひっそりと感じていた。
そんな姿に心配したのか白石と古市が近づいてくる。
「「どうしたんだ?ちょっと見せてくれ」」
ハモった声でそう言う親友達にほら笑えよ、なぁというようにステータスボードを見せる広成。
「おっ、おうこりゃ低いな…そんなステータスで大丈夫か?」
「大問題だよこんちくしょう…耐性しか誇れるもんがねぇよ」
「まぁ努力しろよ。俺はお前より耐性が低いんだぞ」
そう言ってほらっと自分のステータスを見せてくる古市。
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古市高生16歳 ♂ level1
レアスキル:「守護者」
派生能力:「身代わり」「異世界言語理解」
体力:95
魔力:25
筋力:15
守備力:110
俊敏:10
耐性:30
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「嫌味か貴様ァ!!、ホントに耐性だけじゃねえか!!しかも防御力は勇者の小司以上にあるってどういうことだよおいっ!!!」
現段階でも分かる程にタンクとして機能できるステータスを持った古市に対し、半分キレて言う広成、まぁまぁと落ち着ける白石のステータスをおまえのも見せろ!!と奪うようにして見る、白石の場合はこうだ。
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白石高広17歳 ♂ level1
コモンスキル:「観察」、「解析」
派生能力:「弱点視認」「異世界言語理解」
体力:35
魔力:45
筋力:20
守備力:30
俊敏:50
耐性:50
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まだ可愛げのあるステータスにちょっとだけ嬉しくなる広成、しかし、派生能力である弱点視認が気がかりだった。
「いきなり盗んなよ」
「す、すまん、つい…でも弱点視認ってなんなんだ?」
「謝っただけいいか、えぇっと、相手を30秒以上じっと見つめると弱点が目に見えて分かる。でも見ている間は瞬きせずにっていうすごい制限付きで見てる最中に瞬きすると最初からやり直しになるっぽい」
当然のように説明する白石になんでそんなのわかったんだ?と思った広成だが白石によると解析という能力が鍵らしい。
観察で相手を見て解析でそれを分析して弱点とかステータスが見れるスキルだと説明してくれた。ステータスを見るだけなら10秒程度でOKの地味チートだ。
広成は白石、お前もか…という言葉を必死に噛み殺し、白石に鑑定して見てもらった。すると
「えーっと、まず死霊術師の説明文は『死霊を操ることに精通した黒魔術師』だけだな。代表的な能力は『黄泉帰り』っつーやつで、なになに?まず死霊の承諾があると依代を核にして体を形成し、その死霊を入れると自立して動くっぽいぞ。大体レベル50くらいで覚えるらしい」
「ふむふむ、えっ!?50!??」
「うん、50」
50という数字に地味に驚愕するが白石は目のこともあるためあまり気にせず説明を続ける。
「魔物を含むほぼ全ての生物は生前の骨や体に移すと生前より強力になるし、消費する魔力も少なく、依代もそれでいいそうだ、一石三鳥だな。」
「ほう…」
「後はアンデットモンスター召喚があるけど、これはちょっとわからない、こっちもレベル50で覚えるらそしいが、まだ俺のレベルじゃわからないみたいだ。…すまんな。」
「いや、ここまで分かったんだからいい方だろ、俺なんか魔力が低すぎてどんな方法でも死霊術も植物操作もうまくいく気がしないぞ?それに派生能力も無いに等しいし…」
広成も自分で言っててちょっと惨めになるがそこはぐっとこらえる。
「何かこっちが逆に申し訳なくなってくるな…まっ、広成だから色々と工面すればいい感じになるんじゃね?話戻すけど植物操作の方な、こっちの説明は『植物を操作できる』だけか…本当にまんまだな。植物を動かせる範囲なら自由自在に動かせるって感じだ。代表的な能力は”植物の成長速度を早められる”か、良スキルじゃないか?」
さっきから白石の有能っぷりが凄いと内心で感動する広成。先程お前もか…と言っていたのをもう棚に上げている。
「ありがとな、ホントにさ。ここから頑張って強くならないとな」
「あー、そこん所は頑張れよ。大器晩成って言うんだしちょっと時間ををかければ俺たちと一緒のステータスになれるんじゃないか?」
「そうそう、広成って結構面倒くさがりだけどやるときはやれる奴じゃん?努力すればきっと行けるさ」
と白石は肌をポリポリと掻きながら、長谷川には良い笑顔で言われて涙が出てきた。その時の二人の顔は、広成にとってはとても眩しく見えたそうだ。
ここで「あぁその通りだな、お前明らかにハズレだもんな」とか言われたらどうしようと思っていたが、さすがは親友、よくわかってる。これから頑張らないとな…
ちなみに古市のスキルの「守護者」はその名の通りで近くにいる人のの守備力を上昇させてくれるものらしい(大体半径12m位)。
派生能力の身代わりは半径5m以内で味方が攻撃された場合その攻撃を3分の一肩代わりするタンクスキルだ。
後日俺は痛いのが好きというドMではないんだがなぁ…と戦闘訓練中悲しそうな顔をして呟く古市に広成はまぁ…俺よりもすごいんだから頑張れよ…と同じく少し悲しそうな顔をして言うのは蛇足である。
そんなこんなで異世界での一日を終えた広成達は、色々とあった自分に対して乾いた笑みを浮かべながらベットインした。




