あなたの名前は何ですか?
『私は、メル・ゴートと言います、こっちのドラゴンは父上が付けられた正式名称がとても長いのでボルくんと呼んでいます』
「メルゴートさんにボルくんですね、分かりました」
今…この人はなんと言った?メル・ゴートと言ってたような気がしたけど俺の聞き間違いだよな?こんな危険な所に貴族様なんているわけないよな?よな?繋げてメルゴートでOKだよな?それとなんでか焦ってるけどどうした?
『あ、ゴートは性です』
「マジですか?」
『マジです』
うわ、ノリいいね。ってそうじゃないッ!やっぱりか!!アレはやっぱりフラグだったのか!!(例えばどこかの王族だったり)←アレ。漫画あるあるのやったか!からのやってなかったと同じなのか!?
落ち着け、落ち着くんだ俺。こんな時は円周率を数えながらキュンを撫でるんだ!「キュン召来せよ」(ボソッ)「キュ!」3.141592653589(ナデナデ)もう覚えてない。
よく考えたら冒険者もこんな所までは来れる訳ないか、死神の渓谷って言われるくらいだし。
まずどこから来れるんだ?俺と同じでガマラスゾーンから落ちてきた?それとも他の場所?なんか某怪盗の映画で出てきた城みたいに入口は水を経由してるとか?最後のは論外だ、流石にありえない、よな。
貴方は王族ですか?とか身分を聞いておかないと…でも言いたくないし確認もしたくない、答えがイエスなら厄介事が芋づる式で流れて来るのが確定、ではないが9割以上でやって来るだろう。
よし、正直俺の精神も半分位まで減っているからここは言わないでおこう、厄介事にはもう首を突っ込みたくない。後回しとも言うがちょうどいい機会が来たら聞くつもりだ。今は
「こんなところなので事情諸々は機会があったら聞きます、俺としてもここに人は滅多に来ないどころか来ることがまず無いですから。もう普通の人に出会えたのは二年ぶリなので素直に嬉しがってるんですよ」
それにしても俺敬語下手だな、自分で言ってて違和感しかねぇ…世界の言葉の中でも日本語が難しいと言われる理由が少しわかった気がする。でも嬉しいのは本心だ、だってあそこは楽しくはあったが死人しかいなかったんだぜ?直接触れ合えるアンデット達がいなかったらエレクさんがいても俺は人の道とか色々と外れてたと思う。
『はい、そうしてくださると有難いです』
礼儀が、礼儀がもうさ…この人やっぱり上流階級の人だよ絶対。いや、逆に考えるんだ、曲がりなりにも貴族や王族がこんな奈落の底にいるはずがないと考えるんだ。
それでもかなり、いや凄くキツイがどこかの貴族の三女とかそういう系が冒険者に憧れてここに偶然来たと考えるんだ。それ『あの』なら礼儀正しいことも説明がつくことはつくし服が粗末なことも納得がいく。
例えば親から冒険者にはなる事を許されてはいるがその代わりと『あの』して家とは縁を断ってるとか、異世界あるあるだけどこの人見てたら何か有り得そうって思っちゃうな。
『あの!!』
「ヒャイッ!?」
びっくりした、急に大きな声?出すんだものそりゃビックリするわな。それにしても声が裏返る程ビックリしたのは久しぶりだな…恥ずい。俺何かしちゃったか?
『す、すみません、先程から声をかけていたんですが反応してくださらなかったのでつい…』
「ああ、そうだったんですか。少し考え事をしていまして…こちらこそ申し訳ない事をしてしまいました」
『こちらこそ大声を出してしまい…』
どうやら俺はメルさんの話を聞いていなかったらしい。そりゃ失礼なことしちゃったな…本当に王族だったら俺斬首にでもされてるかもな、そうじゃなくても普通に失礼だし次から気を付けないと。
「ところでその話とは何だったんですか?」
『それなんですけどそういえば私の名前は言ったんですが貴方の名前は聞いてないなと思いまして』
ヤベ、忘れてた。どうするか、俺の本名言っちゃう?それとも偽名で何とかするか?でもこんな純粋な女の子には嘘を付けないよなぁ…
「ヒロナリ・ハナサカってこの世界では言えばいいのかな?とにかくヒロナリと呼んでください」
『ヒロナリ、ですか。とても珍しいお名前なんですね、こちらも詮索はしないでおきます。これからもよろしくお願いしますヒロナリさん』
「は、はい」
ぐぁああああ!!ヤメロ!ヤメロォ!!自分で言っておいて何だけどそんな邪気のない目で見ないでくれぇ!俺は君とドラゴンをちょこっととは言え有効利用する気持ちで助けたんだよぉ!!嗚呼、何か申し訳ない…
でもメルさんゲヘヘヘヘとか笑うようなヤバい奴に助けられなくてよかったな。ここまでの美少女なんだし助けた対価として絶対イロイロとしてくるだろ多分、むしろそういう奴は助けると言っておいてせずにイロイロして来そう。いや、奴隷とかにするかも…とにかく危険だな。
というかこの人これからよろしくお願いしますって、天然だろうけど俺に守ってもらうこと前提か…まあいいけどさ。
仲間にするなら可愛い子がいいし俺の旅にもやはり花と呼べる存在が欲しい、欲しいのだ。それに女の子との会話スキルを磨ておくというのも良いだろう。
渓谷にいた人達はどちらかと言うと会話より拳で語る系の女の人が多かったしそうじゃない人も1日の3分の2を魔術の作成に使う病的なオタクだったりド変態だったりとまともな人がいなかった。だからあそこへ落とされたということかもしれないけど。
こんな俺が可愛い女の子と旅をするってだけでもギルティだろうけど守るんだからせめてそれくらいはさせてくれ。まず女の人とどう付き合ったら良いのかよく分からないし、ウブとも言えるな。
(クー)
ん?なんだ今の音、魔物の鳴き声には似ても似つかないしキュンも近くにはいないけど今の音はかなり近い所からしt「ぐぅー」あー、なるほど…
『す、すいません////』
顔を赤らめて恥ずかしそうに謝るメルさん、その配慮はしてなかった。あんだけ隈もあって弱ってたんだからまずご飯をあげないとダメじゃん。それに俺も腹が減ってるからちょうどいい、飯を作るとするか。
「いえいえ、ちょうどご飯にしようと思っていたところです。俺の方もかなりの無理をなさっていたと分かっていたのに配慮はしていなかったのでこちらこそすいません」
早速作るとしよう。まずバッグからフライパンを取り出して、魔法具系に詳しかった”ウーゴ”さんからやり方を教わって直した火の魔法具をコンロに代わりにし、種入れから栄養満点の「コーライ人参」と自余強壮に効く「ショショウガ」を出して実らせる。ついでにタックルバイソンの肉をみじん切りにして一緒に炒める。
暫くするといい感じの色になってきた。とりあえず魔物の肉は噛む力が弱いと噛み切れない程硬いのが殆どだからみじん切りにしてミンチみたいにしてみたんだけど口に合うかな…
調味料は正直言って胡椒しか無いからな、塩も植物から作れたっちゃ作れたけど量は少ないし素材の味が台無しになるほど不味いから使わない。今回は素材の味を信じて料理をしよう。
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完成、俺的にはいい感じだと思うけどメルさんにはどうかは分からないな。まあ卑屈にならない程度に説明しておこう。
「ひとまずはできました、早めに作ることを意識したので普通に食べれはするだろうと思いますが味の方は期待しないでください」
『大丈夫です、不味い物も食べ慣れてますから』
「…」
お、思った以上にたくましかったぜ…あー、食べてる食べてる。俺が作った簡易的な食器とか使って器用に食べてるよk『不味くなんてないです!むしろ美味しいですよこれ!!』思いのほか好評だったぜ、普通に嬉しい。
目なんてすっごくランランしてるよ。うんうん、元が可愛いから食べてる様も可愛らしい。ああ、ほっぺにショショウガのかけらが…ヤバい萌えすぎる。
そのままメルさんが食べ終わるまでじっと見つめてた俺でしたとさ。
ヒロインは元気っ子!これは譲れない…
今回出てきた新キャラ
メルさん:広成が一目惚れした女の子。可愛い。ボルくんを猟獣として従えており攻撃魔法を名称だけで言えているところを見るとまあまあの上位に入る冒険者のようだ。
ボルくん:ボロボロの羽は小さな魔物の大群に食い散らかされたらしい。ちなみに正式名称はボルトウィング・ゴート・ルトウィック。火を吐けるし体を動かすだけで凶器にもなる。




