他力本願は無理ですた
開始早々俺の目の前に広がるのは夢へと繋がる修羅の道で怨念や憎悪、悲しみなどの負の感情の塊だった。冗談じゃなく、本当にそんな感じ。
100を軽く超える数の幽霊達が岩場に鉄格子をはめたような所で絶え間なくすすり泣いていたり恨みがこもった声でオォォォォォォ…って大合唱しているから俺の良心が、SAN値が、精神が、凄まじい勢いで磨り減っている。もはや攻撃だなこれ。
日本のお化け屋敷は結構レベルが高いとか言われているけどこんな実物には100%敵わない。本当に怨念や悲しみを持った人じゃないとこんな声は絶対に出せないと思う。
今では歩くたびに凄い嫌悪感が俺を襲う。これは正直言ってヤバい、エレクさんのところに帰りたい。あの厳しくもなんだかんだ言って楽しかったあの場所へ、一刻も早く。
でもダメだ、俺の目標のためにも行かねば。けどこのままここにいたら俺の精神がガリガリ削れて廃人になるかもしれない。もう少し発想が可笑しくなり始めてるかもだ…そうだ!ここを迂回すればいいんじゃん!!俺、あったま良いィ~!
…そう思っていた時期が僕にもありました。そういやここ等辺って一本道だったZE☆周りに道がないか探してみたけどそんなのは無かった。あー欝…どうしても行かなきゃいけないの?
さて、そうこう悩んでいるうちにやって来てしまいました絶叫道(俺命名)。相も変わらず俺のネーミングセンスは上達しないと感じる。
走ろうか、もうそれしかない(遠い目)シュバッ!!と行こうかシュバッ!!t「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」しゅばっ、と…ね…
名も無きゴーレムよ、ここを疾風のごとく通り抜けたい俺の邪魔をするんじゃない!
「ゴゴッ」
うおっ、なぎ払いか、結構早い。エレクさんのゴーレムの3分の2程度か?あの人最初の方ホントは手加減してたのを思い出す。その時の速さはこれよりも遅かった位だ。
ある日突然普通に殺り合ってたのに「ギアを上げるぞ」と言われて次の瞬間いきなり勢いが増したハンマーの直撃を受けて2日間意識を取り戻さなかったのはイイ思い出だ。決して良い思い出じゃない、イイ思い出だ。意識を戻してすぐに飛び起きた途端「ル〇ィかよ!!」と叫んだ俺は悪くない。
おっといけない、また俺の負の思い出が顔を出したようだ。抑えるようにはしてるんだけどふとした拍子にスイッチが入ってどんどん出てきてしまう。悪い癖だ、直さないと。
エレクさんのよりもリーチやらなんやらは大きいけどこいつら倒してさっさとここ通り抜けよう。悲鳴のせいで精神も結構やばいし。
さて、そろそろこいつらを俺達で殺りますか。
「『ホーディ』、『レッド』召来せよ」
その言葉と共に俺の前に2つの魔法陣が出現し、中から3メートルほどの骨と2メートル弱程の骨が現れる。一方は長い角が特徴的な獣型の骨、もう一方は赤いペンキにでも漬けたような赤色をした爬虫類型の骨だ。どちらも太いツタのような物を体に絡ませている。
俺だってこの二年間で成長はした。俺のフードに常時隠れてるキュンは別としてちゃんと「黄泉帰り」を含め死霊術、植物操作の練習もしていのだ。何度か寄り代を別の魔物の核にしたら蘇るなり暴走したことや動く植物を操作しようとして腕丸々食われそうになったことなどはあったな…
ステータスはわからないのに頭の中に突然「黄泉帰り」の呪文が浮かんできた時はびっくりしたっけ。
一個が今さっき言った召喚するときの、もう一個は蘇らせる時に使うのだ。本当は召来せよの前に色々付くんだが詠唱省略をゲットしてから短くなったな。
ちなみに暴走した個体にはベンブーの魂にギャルバンの核を使っていたが核の属性が違うと馴染まないようで一頻り暴れたあと何処かへ逃げ去っていった。今頃は何処かで死んでるか?管理下から外れたからどうなってるか分からん。
管理下関連で言うと死霊術の効果範囲が結構広いことは認知済み、巨漢なエレクさんが小指くらいに見える程に遠くでもキュンはバリバリ元気に動いてた。また補足で言うが目も原住民族並みに強くなった。夜目もまた然りだ。
さて、岩巨人達はアンデットたちに任せて俺は高みの見物と行きましょうかね「ギガゴゴゴ・・・」、とは行かなそうだな…なんか一際大きいのがギガゴゴ言いながら出てきたよ…
おい、俺の親玉引く率高すぎない?何かどことなくベンブー戦を思い出すな、うわぁ懐かしい。だが容赦なくやるとしよう、余計な情けは俺を殺す。
「レッドは右の、ホーディは左の巨人を任せる、真ん中は俺がやるから、OK?」
「「わかった(ワカッタ)」」
俺の指示で二手に分かれるレッドとホーディ。俺のお気に入りたちがあの二匹だ。死霊干渉を使った時の最初の印象が良かったっけな。干渉するとき言葉が通じる様になって最初は驚いたけどキュンは分からなかった、どうやらある程度の知力がないと会話が出来ないらしい。
当時の俺の速さと同格だったホーディに死霊干渉した最初の一言がまさかの「力量を測れなかった私の負けか、敗者は勝者に従うのが魔物の掟、どうしても構わない」だぞ?どんだけ厳しい縦社会だよ。
いや、俺の常識から言ってるだけだから魔物では当たり前なのかな?ここの常識って日本と似ているようでかけ離れてるし。でも凄い理知的なこと言ってる奴の見た目はスラッとした長角が生えたデカイ狼だぞ。
でもレッドの時は「オレ、負ケタ。オマエノ好キニシテイイ」とかなりカタコトで、これが知力の差なのかと感じた。
ちなみに骨なのに赤いのは俺の血だ。いつもの如くエレクさんにコテンパンにされて動けない時に運搬する係になってから流れ出た血がこいつを少しずつ色付けていって今では全身真っ赤。
俺が気づいた時にはもう普通に洗ったんじゃ落ちないレベルになっていた。間抜けだろ?でもあいつはこっちの方がカッコイイ(本音)と言ってくれた。
あとそいつらが今岩巨人を圧倒している件。
まあスケルトンになった時点で身体能力は引き上がるし俺の魔力をたっぷりあげているから強化魔法を使った効果くらいはある。さらに燃やされたら水が滲み出るツタを巻いて防御面も強化してあるしもうここらの奴らなら殆んど完全無敵。
ただ毒袋とか火炎袋とかそういうのを生成する所は本当にものすごく量の魔力を使わないと再現できないのでそういう攻撃はなくなっているけど心強いことに変わりはない。
さあ、レッドとホーディも戦ってることだし俺も殺りますか。
-大体10分後-
終わったぜ、いや~仲間がいると楽で仕方がない。俺もまあちゃんと倒したけど。一体一は良いな。でもこの岩巨人は仲間入りはできないか?デカイから魔力消費量が高そうだし…
死霊術は対象が大きくなる程に消費魔力量は増えるからそんなに大きいのには使いたくない。むしろ核がそこそこに良いから何かしらの媒体に使おうかね。
媒体で思い出したけどボスベンブーの魔石は未だに取ってある。だって綺麗だし暖かいから持っててデメリットがない、精々がスペースを取るくらいだった。
それも旅支度の時にそれまで話しかけてもくれなかった幽霊の一人、「クロップ」さんから生前使っていたという魔法のバッグなるものを戴いたから無問題になった。
これはネット小説でよくある異次元倉庫に近く、入れたものは念じれば出せるし、バッグに入る大きさのものならどんな物でも入れられる万能とはいかないけどすごい道具だ。でも忘れたら取り出せなくなるっていう結構なデメリット付き。
一応そこらへんも話してくれてたから今は忘れないように魔石、少量の便利道具やらをここに入れてある。
なんでクロップさんがいきなりコレをくれたのかは俺の努力が見ていて痛々しく、しかも弱音を吐くことなくやり続けたその姿勢に賞賛がしたかったらしい。
でもスイマセン、俺心の中でヤバイ量の愚痴とか不満言いまくってました。そ、それもこれもエレクさんが俺を必要以上に虐めてくるからだ!!俺は悪くないッ!!
話を180度変えるけど白石、古市、長谷川の三人は俺を待っていてくれるだろうか、それとも恋人とか作ってキャッキャウフフでもしてるのか。
まあ、どちらにせよこの二年という歳月の中で探しに来てくれなかったんだ、それ相応の事は覚悟していてくれよ。
実は俺は密かに二年前のフラグとも言えるあの一言の回収を企んでいるのだ。あの約束を果たしにな…いや、もちろんゾンビにはしないが。
戦闘シーンをもっと濃密にしたほうがいいのかな?
前々から言っておりますが意見があるならコメントをば




