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彼の物語の話
四話です。どうぞ。
「人は、他人が死んだらその話題に食いつく。エドガー・アラン・ポーやフランツ・カフカもそうだ。なぜだろう。人は死を恐れているのに、同時に死に執着する。人は気づくのが遅い。懺悔も、幸福も、興味も。それほど人間は、生きている間は無関心なのだ。自分にも、他人にも。そして死ぬ直前にやっと真理の根っこにたどり着く。自己中なんて言葉はまだ浅い。自分が一番可愛いと言いつつ、だ」
これは、彼の物語の冒頭である。これを見て頷く者など存在するだろうか。
「頭のネジが外れている」「狂気」「痛いやつ」。そう思われるのが関の山だ。
二人は首を傾げた。
「本当のことを言っているだけなのに」と。
ただ、二人は気づかない。教えてくれる人もいない。
口に出さないほうが幸せなこともあるのだということに。
孤独で哀れで愛おしい兄妹。
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