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歪んだ妹の話
第三話ですどうぞ
妹は何より兄を大切にしていた。器用で気前もよく、この時代では稀な、聖人のような女性だった。兄もそんな妹が大好きだった。
このまま生きていれば、あるいは平和に生きられたのかもしれない。しかし現実は甘くない。幸せな場所にこそ、神は爆弾を落とす。
母親の死。そして二人を心配するがゆえに母親が遺した、純粋な「毒」。
兄が始めた執筆活動。その物語を読むことで、妹の中の母を失った悲しみは少しだけ和らいだ。いつしか彼女の中で、兄と兄の作品は唯一無二の心の支えとなった。
執筆をやめてほしくない。この暗闇から明かりを取り上げられたら、自分はもう生きられない。
それは世で言う「依存」だった。彼女の世界には、母の教えと、兄と、その作品しか残っていなかった。
読んでくれてありがとうございます。




