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作家の兄の話
第二話ですどうぞ。
兄は作家だった。
幼い頃の彼の楽しみは本を読むことだった。本は彼をあらゆる場所へと連れて行った。神話の世界、宇宙、そして深海。いつしか彼は、自分の思う世界を描きたいと願い、執筆を始めた。
兄は自らの物語に、現代への皮肉を練り込んだ。しかし、それが仇となった。上の者を否定することは、彼らの世界では大罪に等しかった。それでも彼は書き続け、応募し続けた。
ある時、兄は叔母に自分の物語を読ませてみた。沈黙の後に飛んできたのは、怒号と平手打ちだった。
しかし、妹だけは違った。
「いいと思います、兄さま。それに立場の上の者に逆らったら大罪に等しいなんて、そんなの法律には載っていません。ただ人々が勝手に作り上げ、勝手に恐れたお話ではありませんか。私は兄さまを支えますよ。たとえ石を投げられ、罵倒されようとも。約束します」
いつしか彼の執筆部屋は、兄と妹だけの小さな王国、小さな舞台と化していった。
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