庄内平野平定
引き続き砂越城前会談場
「我が方にうまみがあまりないようじゃが…」と土佐林禅行。
「そうですね、大宝寺城の復旧も佐渡で差配しましょうか」と俺。
「おお、それは良いのぉ」と大宝寺晴時。
「年貢については心配めされるな。来年からは今より間違いなく増える」と藍原秀貞。
「まことか?」と来生由昇。
「それは、もう、稲穂の実りが違いますぞ」と長楽寺玄光。
「して、殿はどうなる?」と安保則正。
「切腹か? 出家して蟄居か?」と矢口氏真。
「嫡男の房丸様はまだ二歳じゃ」と遊佐善雄。
「儂らが後見してやらねば…」と安保則正。
『あれ、話がおかしな方向に行っているぞ』
「ちょっと、ちょっと、待ってください。砂越様は隠居とかしなくても、ましてや腹など切らなくても結構ですよ。新しい砂越城に当主として入ってください」と俺。
「何?!」と矢口。
「何じゃと?」と遊佐。
「それでは…」と安保。
「砂越城明け渡しの条件に砂越様の切腹なんて入ってませんよ。隠居もしなくてもいいですし、人質もいりません」と俺。
「そのまま新しい砂越城に移るだけでいいのか?」と矢口氏真。
「はい」と俺。
「いやいや、それでは… そのような… これは砂越家に対する侮辱じゃな」と矢口氏真。
「そ、そうじゃ、そのような条件は受け入れられん! 交渉決裂じゃ!」と遊佐善雄。
「徹底抗戦じゃ! 城に戻るぞ!」と矢口氏真。
『なんだ? なんだ? なんだ?』
砂越家の三人はとっとと砂越城に帰っていってしまった。
キョロキョロと周りの皆んなを見る俺。
「あれは、どうやらあれですな…」とクロード。
「当主に切腹させて、嫡男を傀儡当主にして自分たちが好き勝手やろうと思っておったようじゃな」とフサナガ。
「えっ?! そうなんですか?」と俺。
「おお、それはあり得る」と土佐林禅行。
『あり得るのか (;´∀`)』
「では、城に戻ってどうするつもりでしょうか?」と俺。
「籠城して、攻められて、もはやこれまでと当主が切腹して他の者の助命嘆願じゃな」とアリヤス。
「いや、切腹しなくてもみんな新しい砂越城に移ってくれさえすれば…」と俺。
「あの様子じゃこの場の話をそのまま伝えんじゃろうな」とフサナガ。
「でしょうな。捻じ曲げて伝えて「徹底抗戦じゃ」とか言ってそうですな」と長楽寺玄光。
「じゃあ、こっちがずっと攻めなければどうでしょうか?」と俺。
「む?」フサナガ。
「ずっと」アリヤス。
「攻めん?」ババさん。
「それは困りよるでしょうな」とクロード。
「そうしましょう。別にこちらとしては「本間家が三十六人衆に入るからヨロシクね」と挨拶だけして、つきましてはこんなこと、そんなこととオイシイ話ばっかり持ってきてるだけなのに、そんなことでお家騒動に巻き込まれたくないですよ」と俺。
「では、ずっとここに陣を張って兵糧攻めにするのか?」と大島清繁。
「そんなこともしません。すぐに平常に戻りましょう。ここらはこれから最上川の河川整備を始めますし、酒田港は北岸開発で人手を集めます。大宝寺様の方の新田開発と城の復旧も進めましょう」と俺。
「向こうが攻め出てきたらどうする?」とフサナガ。
「それは迎え討てばいいじゃろう」とアリヤス。
「そうじゃの、庄内中でスコップ部隊が作業しておったら、どこを攻められても大丈夫じゃろ」とクロード。
「はい、ただ夜襲は警戒していた方がいいかも知れませんね」と俺。
「いっそ新しい砂越城もつくり始めたらどうじゃ?」と大宝寺晴時。
「それは良いのぉ」とクロード。
「なに!? 戯れのつもりで言うたのに…」とハルトキ。
「とりあえず、陣を解いて東禅寺城に戻りましょう。せっかくですから砂越家は抜きになりますが、本間家、本庄家、大宝寺家で会食を…」と俺。
こうして、砂越城を放置したまま、酒田港と庄内平野の一大都市開発計画が始まった。
ひと月と待たずに砂越城から使者が来て、再度会談を持ってくれと言ってきたので、当主本人の出席を条件に会談の場を設けた。




