船が造りたい
羽茂城客間
石花様と一緒に西三川の砂金採掘場から羽茂城について行った。
船大工は羽茂領の小木港や雑太領の両津港にもいるが、まとめているのは松ヶ崎の久万吉と言う男らしい。
城に着くと高季様が、早速その久万吉に登城するように使いを出そうとしたので、
「できればこちらから行きたい」と、俺が願うと、
「ならば三河守、お主も一緒に行け」と高季様は嫡男の高信様に言われた。
「では、明日、船で共に参ろう。そのように先触れを出せ」と、今度は高信様が使いを出した。
「主ら、齢も近かろう。これからのことじゃ。儂より三河守、主がそのショーゴとやらから、いろいろ話を聞いておけ」
そう言って高季様は高信様を部屋に残して行った。
羽茂城の客間に俺、石花様、高信様が残って話をする。
「最初にひとつお尋ねしてもよろしいですか?」と、俺。
「何じゃ、言ってみよ」と、高信様。
「羽茂様は確か、越後の長尾様と姻戚関係であったかと…」と、俺は気になっていたことを確認した。
「そうじゃ、儂が越後の長尾から室を貰ろうとる」と、高信様。
「そうでしたか。ではまず、俺が知っている越後のこれからのことを話します。ただ、俺が逆行転移してきたために俺の知っている歴史の通りにはならない可能性もありますが…」と、俺が言うと、
「それは大いに興味があるが、先に聞かせてくれ。先ほどの話で気になって仕方がないことがあるのじゃ」と、高信様が言ってきた。
「それは、どうぞ、お聞きになってください」と、俺。
「これから手に入る銀で羽茂は船を造る。それはいい。船が大事なこともわかる。心配なのは河原田じゃ。河原田は手に入る銀で銭雇いの兵にもなる部隊を集めるのじゃろ?これは儂らにとっては脅威じゃ。心配でならん。今日でもそうじゃ。儂らは勝手に攻めてきた沢根の奴らをたたき出してやろうと行けば、河原田が出てきてこっちより大人数で、それで「銀をやるから許せ」などと言われたら黙って従うしかなくなってしまう。これから河原田に1000人もの兵が集まると思うと心配でたまらんわ」
と、高信様の吐露が出た。
『なるほど、羽茂にとって河原田は味方ではなく敵対関係にあるから、こんな考えになるのか…』
「俺は佐渡全体の防衛のことしか考えてませんでした。河原田のシャベル部隊の人数が増えれば増えるほど、頼りになると考えるものだとばっかり思ってました。ただ、船は羽茂、部隊は河原田と分担する方が何かと効率が良いのです。今後、申しました通り、まずは河原田家、羽茂家を大いに繁栄させて、他の本間様にも呼びかけて全員お味方になってもらって、佐渡を金銀あふれる島にしますので、互いに信じて力を合せて欲しいのです」
俺がそう言うと、一緒にいた石花様が、
「ショーゴ、おぬしのやりたいことを三河守殿にも全部聞かせて差し上げたらどうだ」と言ってきた。
「そうですね」と言って俺は、
◯俺のやりたいこと の解説をするのであった。
・船が造りたい
「まず、一番にやりたいことは、何より船が造りたいのです。これは北から南へ、南から北へ。佐渡を中心とした日本海の通商を確立するために。商船と水軍、どちらにしても必ず船が必要になります。佐渡と越後の間くらいは一日に何度も往復するのが当たり前にしたいですね。それから北前船の先駆けをやります。北前船とは堺から瀬戸内海を抜けて、関門海峡を通り、途中の沿岸の街町に寄港しながら蝦夷まで行って、また戻ってを繰り返す船の事です。行って帰るだけで一年くらいかかると思います。なので一隻ではなく何隻も、護衛の船も必要です。蝦夷では昆布やニシンだけでなく砂金も採れます。それも集めます。そうだ、明太子も作りましょう。明太子とは鱈のハラコを唐辛子で漬け込んで日持ちするようにしたものです。唐辛子は博多に伝来しているはずです。石炭も掘ります。石炭は燃える石です。越後には燃える水もあるはずです。燃える水と言えば、外洋にも出られるような船ができれば、蝦夷のさらに北、樺太の一番北の辺りのオハ油田もおさえたいですね。しかし、まずは北よりも南へ出たい。琉球でも台湾(高砂国)でも、サトウキビと綿花を安定的に供給できるようにしたい」
俺は船造りへのロマンを語った。
◯俺のやりたいこと 続き
・水車をあちこちに造りたい
・窯をあちこちに造りたい
・とにかく人手を集めてシャベル部隊を造りたい




