古河公方を説得
佐野豊綱は江戸城評定の間に残って、「関東平定協定事項」に従い領地安堵を受ける事を選んだ。
結城政勝と小山高朝は梁田晴助と一緒に古河へ向かう事を選んだ。
武田晴信は俺達(佐渡勢)が江戸城を経つと同時に甲斐に帰った。
もっとも、古河に向かう俺等の動向を探るためだろう、間者っぽい者がついてきていたから、甲斐の三ツ者か北条の風魔かも知れない。
(おそらく両方だろう)
蘆名盛氏は国境が気になるのか、そのまま江戸城に残っていた。
現関東管領が新関東管領の下につくと言ったのだから、まぁ小競り合いはあるだろうが、江戸城の方は概ねオッケーだろう。
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そして、本間高信、泰高、俺と梁田晴助、結城政勝、小山高朝は、それぞれの近習や三ツ者だか風魔だかも紛れた1000人ほどの軍を引き連れて古河へとやって来た。
関東平定軍が攻めて来たかと思った古河公方、足利晴氏は古河城に籠城しようとしていたが、来たのが梁田、結城、小山だとわかり開門した。
そこで俺が古河公方、足利晴氏と嫡男藤氏に江戸城での「関東平定協定事項」の通達の様子を伝え、さらに「古河公方島流しの計」を発表する。
古河城大広間
上座真ん中:足利晴氏
左並び筆頭:足利藤氏
左並び二番目:小山高朝
左並び三番目:結城政勝
右並び筆頭:本間高信
右並び二番目:本間泰高
右並び三番目:梁田晴助
下座真ん中:菱田翔吾(俺)
「かくかくしかじかにて、今頃は新関東管領の下、皆が幕府に忠誠を誓っているでしょう」と俺。
「江戸公方…」と、嫡男の足利藤氏。
「しかし関東管領は、よく承認したものじゃの」と古河公方。
「越後に来られた時から、覚悟しておられたようじゃったと」と本間高信。
「あの河越城攻めが成っておったらのお…」と足利晴氏。
「それで、この者たちは如何なるのか?」と、足利藤氏が小山氏と結城氏と梁田氏の事を聞いてきた。
「お二方(足利晴氏と藤氏)がご協力くだされば悪いようにはいたしません。梁田殿に佐渡(本間家)勢力下に入っていただいて、この辺り一帯を治めてもらおうと思っていたのですが、結城殿と小山殿もこちらに来られましたので、両氏にも同様に佐渡(本間家)勢力下に入っていただき、お二方(足利晴氏と藤氏)の生活の支えになってもらいましょう」と俺。
「佐渡の勢力下に入るとは、如何なるのじゃ?」と小山高朝。
「まずは蔵と帳簿を預からせてもらいます。今よりも間違いなく生活水準が上がりますのでご安心ください。そうすると周りがうらやましがって攻めてこようとしますので、場所を吟味して防衛拠点を作らせてもらいます。佐渡は要塞を設けて守りを固めれば大抵は負けません。あらためて今回の「関東平定協定事項」に恭順する形で、領地の安堵を関東管領に願い出ます。できるだけ領地を確保するようにしますが、今よりも領地が小さくなることはご容認ください」と俺。
「どれくらい小さくなるかの?」と結城政勝。
「そうですね、関宿から古河は何としても守ります。そして、佐渡からの動線を確保したいので利根川を遡って上野との行き来ができるようにします。なので本当は北西に領地が欲しかったのですが、両氏の領地は北東なので、街道沿いの城の周りだけは残して後は北条に任せるとしかことになるでしょう」と俺。
「ぬうぅ…」と唸る結城氏。
「そして一番大切なことなのですが、お二方(足利晴氏と藤氏)には佐渡にお越し願います」と俺。
「佐渡に!?」と藤氏。
「島流しか!?」と晴氏。
「はい、たとえ隠居するとか仏門に入るとか言っても、関東にいてはお命が危ないです。なので佐渡にははお越しください。佐渡は今、どこよりもいい暮らしができるところです。越後も栄えています。能登の七尾城下は京よりも雅な城下町になっています。それもこれも佐渡の文明のおかげです」と俺。
「越後の繁栄も能登への下向の話もよく聞こえてきておる」と晴氏。
「もちろん能登に下向でもいいのですが、体裁として佐渡に島流しの方が北条が安心しましょう」と俺。
「今一度北条と戦うことは叶わぬか?」と晴氏。
「その場合は北条とではなく、関東平定軍と戦うことになります」と俺。
「佐渡は本当にいいところですぞ。まずは一度来てみてはいかがか?」と本間高信。
「ああ、そしたらもう帰りたくなくなりますよ」と本間泰高。
「そう言って幽閉するつもりじゃろう」と晴氏。
「それも世の常か…」とため息をつく藤氏。
最初は倉賀野河岸でも作って、上野の北の方から関東を眺めていようと思っていたのに…
何故か古河から関宿にまで出張ることになってきてしまった… ^^;




