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関東東海大震災(富士山噴火説もあり)

 天文十八年春、甲斐を震源とする大きな地震が発生した。

 まさに甲斐・相模・駿河の三国同盟(まだ結んでないが…)の領地が甚大な被害を受けた。

 武田は信濃で、北条は関東で、今川は三河で、いずれも領地拡大の侵攻中だったが、この地震により一時的に侵攻は停滞した。


 北条氏康は被災地が広範囲なため、復興事業の開始に遅れたが、翌年には大規模な徳政令や税の引き下げを行った。

 武田晴信は逆に臨時課税をし、村落の修復などに充てた。

 ついでとばかりに、後に「信玄堤」と呼ばれる進行中だった河川整備事業のための仕組みも盛り込んだ。

 今川義元は、街道周辺の整備を中心に復興に力を入れながらも三河を攻め続けた。


 一方、関東管領上杉憲政の領地である上野も、この地震で大きな被害を受けた。

 しかし上杉憲政は何も具体的な対策を打つことができなかった。

 上杉憲政は河越城での敗戦以降、北条氏康にじわりじわりと北に追いやられ、この頃は平井城に追い詰められていた。

 地震により北条の追撃は一時的に弱まったが、この地震に何も対策を打てなかったことが、ますます山内上杉家への信頼の低下を招き、家臣や周辺領主の出奔や寝返りに拍車をかけ、領民は土地を捨てて逃げ出してしまった。


 元々幼くして関東管領に担ぎ上げられ、周りの老中どもの傀儡にされていた上杉憲政だが、この頃には一端の大人になっている。

 それでも老中どもがピーチクパーチクと喚き立てるが、そんな散々なざん言を押しきって、上杉憲政は上田長尾家と上条上杉家に支援を求めてきた。


 これまでは関東管領として、


「北条を討つ兵を出せ」


 とか、上から命令してきていたので、


「今度、こんな態度をとったら山内上杉家を攻め滅ぼすぞ」


 と、長尾晴景から脅しをかけていた。

 しかし今回は、使者をたてずに、自ら三国峠を越えて上田長尾家までやって来た。


 上田長尾家は長尾房長から嫡男の政景が家督を継いでいる。

 史実ではこの政景も上杉謙信と対立して反乱とか起こしているが、こちらの世界線では「魚沼産コシヒカリ」プロジェクトのリーダーとして、米の品質改良に日々精をだしでいる。


 上杉憲政は、その長尾政景と伴に上条上杉家へ。

 上条上杉家で隠居をしていた上杉定実も伴って、春日山城下の上杉館までやって来た。


 出迎えたのは長尾晴景越後守護代と上杉定虎越後庄内信濃半国守護兄弟だ。

 上杉憲政関東管領は、下座から山内上杉家の存続の支援を請おた。

 そこで俺(菱田省吾)にお呼びがかかり、本間高信と本間泰高とともに越後府中までやって来た。


 上杉館広間


 上座左奥:上杉定実

 上座右奥:長尾晴景

 上座真ん中:上杉定虎

 左並び筆頭:本間高信

 左並び二番目:本間泰高

 右並び筆頭:上杉憲政

 右並び二番目:長尾政景

 下座真ん中:菱田翔吾(俺)


「我々が介入するとなると、戦ではなく北条との話し合いになります」と俺。


「話し合いでなんとかなるものか?」と長尾晴景。


「その話し合いに際して、北条氏康を関東管領にすることが第一条件です」と俺。


「戦わずに北条に臣従しろと言うことか?」上杉憲政。


「はい、関東管領北条氏康をご承認いただけるのであれば、京の公方も巻き込んで、関八州の体制を再構築いたしましょう」と俺。


「認められぬと言ったら…」と上杉憲政。


「数年後に平井城で討ち死にするか、平井城を明け渡して、再び三国峠を越えてこちらに逃げてくることになります」と俺。


「ぬぅ…」と上杉憲政。


「北条と戦っては勝てぬか?」と長尾晴景。


「十年以上前に、俺が言ったことを覚えてますか?

 北条と戦って、北条を小田原まで追い返すことはできるでしょう。

 しかし、そうしているうちにおそらく武田が信濃を攻め上がってきます。

 武田を押し戻していると、今度はまた北条が関東を攻めてきます。

 越後は負けはしませんが、延々と疲弊していくことになります」


「確かに、ショーゴは昔からそのようなことを言うておったの」と本間高信。


「そうなると、加賀でも一向一揆が起こります。悪い方に悪い方に転がっていきます。北条を関東管領に据えて関東平定に乗り出すなら、山内上杉家は上野守護としてお家を残せるでしょう」と俺。

日本人は昔から大自然の恵みを享受しつつ、大自然の脅威にさらされて暮らしているのですね…


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