↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/212

ひと当てしないと気がすまない

 若狭の内乱の一番の張本人は武田家の重臣の粟屋氏だ。

 今の若狭守護の武田信豊が家督を継ぐ時も、粟屋元隆が信豊の叔父だか従弟だかの武田信孝を支援して家督争いをさせた。

 この時に逸見氏や熊谷氏は粟屋氏と同様に信孝側についていた。

 結局、信豊側が勝利し信孝と粟屋氏を若狭から追い出したが、その後も逸見氏や熊谷氏は、逃げた粟屋氏も含めて、虎視眈々と武田守護家のお家転覆の機会を窺っている。


 逸見氏、熊谷氏、それに武藤氏などは、普段は武田信豊守護が登城を命じても、のらりくらりと躱したりしていたが、今回のように「若狭平定」の御内書を持った官軍が来たとあっては、さすがに皆、参集してきた。

(逃げた粟屋氏は来ていないが…)


 平定軍が陣に帰った後、主にこの逸見氏、熊谷氏、武藤氏らが平定軍を追い返す方向に話を持って行こうとした。

 平定軍と一緒に登城して、そのまま残っていた沼田氏は、


「儂は朝敵になるつもりはない」


 と言って席を立ち、平定軍の陣に帰って行った。


 その後は、


「ひと当てもせずに軍門に下っては武士の名折れ」との意見が勝ち、


「あれは官軍などではなく、朝倉が若狭に侵略してきた侵略軍だ」と言って、挙兵して平定軍を討ち滅ぼすことに決定した。


 それぞれ居城に戻り徴兵を開始する。

 時は天文十七年秋、収穫の真っ最中である。

 農民兵の集まりは悪い。

 平定軍は2000人と規模は小さい。

 収穫の真っ最中のため、朝倉軍が1000人にも満たないためだ。


 この「若狭平定」にあたり朝倉延景には、佐渡(こちら)(本間家)でなんとかするから、朝倉家は名目だけの兵を立ててくれと言ってある。

 名目だけでも収穫の時期に1000人近くも出兵させるあたりは、さすが朝倉家だ。


 若狭諸将は徴兵を続け、大飯の逸見氏、武藤氏や三方の熊谷氏、松宮氏のところでは収穫を終えた者から徐々に兵が集まってきた。

 しかし、小浜周辺では、諸将が徴兵を開始したのを見て、平定軍も声を大にして「第十三代征夷大将軍の御内書を携えた軍」「錦の御旗を掲げる官軍」として兵を募っているものだから、後瀬山城には兵は集まらず、平定軍が張った港から丸山にかけての陣の方に、みんな集まってきた。


 朝敵になる気はないと退席した沼田氏は、平定軍の陣に戻りそのまま平定軍側に参陣し続け、兵数も増やしている。

 平定軍が陣を張る丸山のすぐ裏手を拠点とする内藤氏なんかは、早々に平定軍側に与すると内通してきた。

(また兵糧を差し入れてきた)


 そんな中、平定軍の陣に山県秀政と名乗る者が来た。

 陣にいた沼田氏にきくと、追放された粟屋氏に代わって小浜の代官をしている者らしい。


「先だっての登城の際には居られませんでしたが、山県様は武田家の家臣ではないのですか?」と、俺が沼田氏にきくと、


「いやいや、武田様が若狭の守護になられた時からの、譜代の重臣です。秀政殿は武田家から山県家に継嗣として養子に出された方です」と沼田氏。


 とりあえずは、会って話をしてみる。

 何やかやと挨拶を交わして、


「小浜を自治都市とされるということだが、この軍は今後も繋留されるのですか」と山県秀政。


「港に建設している施設に佐渡(本間家)の御守衛部隊が常駐いたします」と俺。


「後瀬山城から矢銭の催促が来ておりましてな。しかし、小浜の町衆達は、後瀬山ではなく平定軍をこそ支援すべきじゃと言うております」と山県秀政。


「それは、是非そう願いたいですね」と俺。


「佐渡のことは小浜の町衆からよく聞いております。儂は武田家の譜代の家臣として、武田家のためになるように身を振りたく思おとります」と山県秀政。


「そうですか。でしたら安心して平定軍(こちら)をご支援ください。それが武田家のためです」と俺。

山県秀政は先々代若狭守護の武田元信の子で、山県家に継嗣として養子に出されたらしい。(諸説あり(;´∀`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。