三好長慶に押しつける
引き続き二条足利邸広間
「三好殿、伏見まで率いて来られたら兵は京の治安回復とその後の治安維持のための兵ですよね?」と俺。
「む、うむ…」と三好長慶はまたまた生返事を返す。
「我らもいつまでも京に居られませんので、後をお任せできるのは六角殿か畠山殿か、それとも三好殿かと考えております」と俺。
「ぬ…」と六角定頼。
「ほう…」と遊佐長教。
「兵を引かれるのか?」と三好長慶。
「少し俺の話を聞いてください。まず奥州ですが、伊達のお家騒動が落ち着き、小競り合いは続くでしょうが他の地区よりは落ち着きます。我らも日本海側から見守りましょう」と俺。
「よろしく頼むぞ」と義藤公方。
「関東はしばらく争いが続きます。俺は後北条が勢力を広げると考えています」と俺。
「さようか」と義藤公方。
「あっ、そう言えば京の伊勢氏との関係はいかがですか? 良好ならば良いのですが…」と俺。
「又左のことですか?」と義藤公方は奥に控える先代公方義晴の方を振り返った。
「伊勢は貞孝をはじめ、皆、付き従っておる」と先代義晴。
「後でご紹介ください。佐渡式の複式帳簿をお渡しいたしますので…」と俺。
「うむ」と義晴。
「なので上杉様には後北条が、関八州よりさらに北や西に肥大せぬように見張ってもらう必要があります」と俺。
「北条は幕府に敵対してくるのか?」と義藤。
「まだわかりません。畿内をいかに立て直せるかによります」と俺。
「うむ」と義藤。
「さらに甲斐の武田と駿河の今川が西に勢力を伸ばして来ます。これから美濃、三河、尾張が慌ただしくなります」と俺。
「武田には、「北に向かわず西へ向かい、上洛して幕府を助けよ」と言うたの」と義晴。
「はい、ありがとうございます。ただ、まだ信濃を北に攻め入ってくる可能性もあります。これも上杉様に見張っていただく必要があります」と俺。
「うむ」と義藤。
「それから能登の畠山様には加賀が一向一揆を起こさないように、見張っていただきます」と俺。
「一向一揆か…」と朝倉延景。
「はい、朝倉様にも抑えになっていただかなければなりません」と俺。
「うむ」と朝倉延景。
「そして六角様…」と俺は六角定頼にむけて話しをする。
「本当なら六角様が音頭をとって京の復興を進めてもらいたいのですが、なにぶん東から強力な軍勢が続々とやって来ます。幕府に協力的ならば良いのですが、場合によっては幕府を乗っ取りに来るかも知れません」と俺。
「甲斐の武田と駿河の今川か…」と定頼。
「それもそうですが、武田も今川も京に届かないかも知れません」と俺。
「なんと…」と三好長慶。
「俺がいた世界では今川義元は織田信長に桶狭間で敗れます。この世界ではどうなるかはわかりませんが、もしそうなったら、最も要注意なのは織田信長が力をつけた時です」と俺。
「何?!」と定頼。
「信長は誰よりも野心的だと思います。ですがその前に、六角様は浅井との戦にもご用心ください」と俺。
「浅井? 浅井か?」と定頼。
「まぁ、まだ先のことですし、どうなるかもわかりませんが、もしこの先、野良田の辺りで戦になった時には思い出してください」と俺。
「お主は祈祷師だったのか」と義晴先代公方。
「ショーゴは500年後の未来から来た未来人(逆行転移者)じゃ」と本間貞兼。
「京で諍いを続けたら、いずれにせよ畿内の今の実力者はお互いにすり減るだけです。できることなら三好長慶様を中心に皆さんで京を復興させてください」と俺。
「何故、何故儂なのじゃ? 皆が納得せぬじゃろう?」と長慶本人が聞いてきた。
「三好様が協力してくださらないと、京は今後も荒廃する一方で、復興は望めません。三好が皆さんと協力することが京の復興の第一条件なんです」と俺。
「京兆家はいかがしましたかな?」と遊佐長教。
「ああ、そのことではご報告があります。古津殿…」と俺。
「晴元様は亡くなられました」と古津元幸。
「何! 娘婿が…!?」と六角定頼。
確か六角定頼は娘を細川晴元に嫁がせていて、何かと晴元と誰かの和解に尽力しているイメージがあります。




