生活水準アップ講習会
「こりゃ、ええだちゃあ」
「ほんに、ほんに」
「ほんで、こうして」
「おお、こうするだか…」
他の村の人たちをこの村に来てもらうようにしてくれと中村様に頼んで任せておいたら、藍原様のご領地だけでなく、河原田様のご領地中から毎日日替わりで村人い、村人ろ、村人は、村人に、村人ほ… がうち(おはまさんとおていさんの家)にやってくるようになった。
干物の作り方を習いに来ているのだが、干物は他の村でも作っていたところはある。
わざわざここに来るのは干物を作る過程の「濃い塩水に漬ける」の、この濃い塩水を作るのに貴重な薪を使わずに流下式塩田モドキで太陽光エネルギーを使っているのをみんなに教えようと言うものだ。
少ない薪で塩を手に入れる方法を領地中に広めよう大作戦である。
さらに、どうせ薪を使うなら、ついでに色々焼けと言うことだ。
ただ、俺がやっていた炭焼きは、とにかく「簡単」「即席」「すぐできる」で始めたものなので、炭を焼きたいのなら「穴掘り焼き」ではなくちゃんと炭窯を作って欲しいので、今は炭焼きは積極的に勧めてはいない。
むしろそれよりもなによりも、どこの家にもあるであろう燃えカスや灰を丸めて再利用する炭団作りを推奨している。
灰はアルカリ性で直接手で丸めたりしたら手の皮に穴があいてしまうと思われるので、木さじや木じゃくなんかで形づくって干していく。
『木工屋の夏弥太さんに木型みたいなのを頼まなきゃな』
最初はみんな、芋を煮出して糊を作らなきゃいけないのを、「もったいない」と思うみたいだが実際に燃やしてみせると、みんな「こりゃええ」と作りたがる。
(みんなすぐに素手で丸めようとするので、「手の皮がむけるぞ」とおどして止める)
そしてみんな、うちの土間には興味津々の様子なので、三和土工法のレクチャーも忘れてはいない。
ご領地の生活水準アップのため、村人いろはに色々教える日々である。
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「ショーゴ殿〜、ショーゴ殿〜、ちょっと一緒に来てくれ〜」
今日も今日とて生活水準アップ講習会を開催していると、河原田の船担当の舟代様が石花様と一緒にやって来た。
「すぐに着替えて来ます」といつものようにリクルートスタイルに着替えて船に行った。
「ショーゴ、緊急評定だ」と石花様。
「もうどこかの商人が来ましたか?」と、俺が期待してきくと、
「いや、分家の沢根様が西三川で羽茂と小競り合いをはじめてしまったみたいだ」とゴローザ。
「ええ!? そんな非生産的なことを… もったいない」と、俺は頭を抱えた。
「あそこは最近ずっときな臭かったですから」とゴローザ。
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河原田城評定の間
お集まりの面々
上座真ん中:河原田貞兼
左並び筆頭:神田照国
左並び二番目:磯田徳之進
左並び三番目:矢馳季直(河原田本間家家臣)
右並び筆頭:沢根本間摂津守賢密(貞兼の弟。河原田本間家分家の沢根領主)
右並び二番目:藍原秀貞
右並び三番目:石花五郎三
下座真ん中:菱田翔吾(俺)
「いや、違うんじゃ。ここんとこ兄やがじゃな、何やら随分人を集めちょるよって、こりゃいよいよ羽茂に仕掛けるのかと思うてな…」
どうやら貞兼様の弟になるらしい、沢根本間家の領主、沢根賢密様が何やら弁解をしていた。
「先走りおって、だちかんがぁ」と、貞兼様。
「だっちゃ、兄やも羽茂に仕掛けようとしちょったら?」と、沢根様。
「今は事情が変わっちょるがね」と、貞兼様。
「あの~…」
兄弟の言い合いに、俺は割って入ってみる。
「今、戦況はどのようになっていますか?と、俺。
「こっちが砂金採りをしちょる羽茂の人足を追いはろうて、西三川を占拠して兄やに増援を頼みに来たら、すぐに引き上げろち言われたから、せっかく占拠してたもんらを引き上げさせたとこじゃ」と、沢根様が説明してくれた。
「被害の具合はいかがですか?」と、俺。
「こっちは無傷じゃ。むこうもそげにたいそうな怪我したもんもおらんじゃろ」と、沢根様。
「それは不幸中の幸いです。では大至急、集められるだけ人を集めて西三川に向かいましょう。あちらもきっと大挙してやってくるでしょう」と、俺。
「さっきから、おぬしは何者じゃ?」と、沢根様。
俺はまたまた例によって例のごとく、沢根様に名刺を渡して自己紹介をした。
毎度お馴染みの、登場人物については、パラレルファンタジーフィクションってことで、ツッコミはナシでお願いします、でございます。




