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天文十五年の諸国情勢

 甲斐の武田晴信(信玄)は、上手い具合に北条と今川の仲裁を成し遂げた。

 その後は諏訪を拠点に南信に勢力を広げている。

 上杉越後・庄内守護、畠山越中・能登守護からの毎年の年賀攻勢により、将軍足利義晴は武田晴信(信玄)に甲斐守護と信濃半国守護を与えていた。

 任命にあたり、義晴からは「上杉、畠山両守護からの推挙である」ことが告げられ、「信濃を北に侵攻せずに、西へ勢力を伸ばして上洛を目指せ」と御内書が出されたとのことだ。


 軍記物のつくり話だと揶揄されることもあるが、この世界では今川との和睦を受けて、河越城で北条の夜襲が行われて、史実(軍記)通りか、それ以上の成果をあげたようだ。

 河越城を取り囲んでいた関東管領軍、古川公方軍、その他の諸将連合軍は壊滅状態で逃げ帰り、一説には万を超える戦死者が出たと言う。

 扇谷上杉家の当主、上杉朝定も戦死しており、扇谷上杉家は滅亡に追いやられた。


 伊達家の奥羽を巻き込んだお家騒動は稙宗派が優勢だったが、稙宗派と晴宗派に分かれて対立していた葛西氏が晴宗派でまとまったり、同じ稙宗派だった蘆名氏と田村氏が対立して、蘆名氏が晴宗派にくら替えしたりして、徐々に晴宗派に傾きはじめていた。

 どうも揚北の国人領主達が、蘆名に加担して参戦しようと手ぐすねをひいているようだ。

 まぁ、採算は合わないだろうけど、あえて止めずにいよう。


 加賀では金沢御堂が建立されて、それまでの本願寺の拠点だった越前との境の吉崎御坊から本拠地を移した。

 吉崎御坊は、その立地から水運の拠点とされており、同時に水軍の基地でもある。

 一向一揆さえ起こさなければ、別にこちらから攻め込むつもりはない。

 本吉、宮腰、安宅の港なんかは北前船の航路に入っているし、九谷からは陶石を買っている。

 この世が楽しければあの世で極楽に行こうなんて考えなくなるだろうし、できるだけ楽しく過ごしてくれ。


 尼子氏は出雲と石見はだいたい抑え直して、南は毛利が固めているので、東の伯耆と因幡にチョッカイをかけている。

 伯耆の国人領主である南条氏らが、但馬山名の合力で尼子と戦っていたが、因幡の山名誠道(やまなのぶみち)は但馬の山名祐豊に対抗するために尼子に臣従し、尼子の「久」の字をもらって山名久道と名乗っていた。

 備後では山名理興(やまなただおき)が、大内に与したり尼子に与したりしている。


 北九州では大内と大友が和睦状態にあり、大内は日明勘合貿易に勤しみ、大友は秋月氏、高橋氏、立花氏らとの融和政策をすすめていた。

 そんな中、軍艦島を抑えに来た龍造寺家純が少弐氏の残党との抗争で討たれた。

 その後龍造寺家は例によってお家騒動真っ最中だ。

 神屋さんの話では、軍艦島を実質管理していたのは家臣の鍋島氏で、鍋島氏は没落しそうな龍造寺家から少し距離をとってフカンしているらしい。


 薩摩は島津氏がそろそろ平定して、大隅も納めにかかろうとしている。

 送り届けた甘藷(サツマイモ)は順調に栽培されているようで、島津貴久から「薩摩の港は何時でも何処でも佐渡の船を歓迎する」と感謝の文がきた。

 種子島では伝来した二丁のうちの一丁を解体して、複製に成功している。

(もう一丁は島津家から将軍足利義晴に献上されている)


 そしてこの年、畠山義総が家督を次男で嫡男の義続《よしつぐ》に譲って隠居した。

 史実では義総は去年死んでるはずだが、この世界ではまだ生きている。

 そして、史実では能登は七人衆とかにゴチャゴチャにされるはずだが、この世界ではそうならないように佐渡(本間家)がしっかり見張っていこうと思う。

織田三郎信長が元服したとか…

毛利元就が嫡男の隆元に家督を譲ったとか…

年末には足利義藤(義輝)が将軍に就任したとか…

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