山名氏がスパイを送り込んで来ている
さて生野銀山だが、その後山名氏との折り合いはついておらず、神屋さんと組屋さんが船を出しては銀鉱石を買い取って来ている。
円山川には十石船から百石船まで、様々な大きさの川船が行き交っている。
銀山の近くの城まで行けるのは、一番小さな十石船だ。
そんなに目一杯積まないが、だいたい銀鉱石を100貫くらい積み込んで、銭二貫文くらいの買い取り価格だ。
石見銀山では表面に銀粒が目立つ銀鉱石は、灰吹法以外に粉砕後に比重選別方式でも銀粒を取り出している。
(この銀粒を取り出した残りをクズ石として佐渡に運んでいる)
それで取り出せる銀粒の買取価格をもとに算出した価格が銀鉱石100貫で銭二貫文だ。
生野銀山でも粉砕比重選別での銀粒選り出しは行っている。
粒は地元但馬の商人や播磨の商人が買い取るので、そこまでは神屋さんも組屋さんも欲張らずにいる。
逆に言うと、地元の商人では鉱石の状態のものは、神屋さん、組屋さんの買取価格では買えない。
以前、生野銀山まで行った時に日本海側ではなく、瀬戸内海側から川を遡って来れないか調べるように指示して、北前船が瀬戸内海に入った時に村上水軍に聞いてみた。
瀬戸内海側からの最寄りの川は市川(飾磨川)だが、船で入れるのは平野部のみだとのことだ。
鉱石のまま運び出すのは非効率的だ。
やはり一番生野銀山を有効に活用するには、銀山の近くで灰吹法施設を作って銀を抽出して堺に売るのがいい。
「円山川の水運全般と生野城、そして銀山を佐渡(本間家)に管理してもらえば、今の倍の運上金をお納めできるようになります。いかがでしょう、ご検討いただけませんか?」
と、組屋さんは鉱石買取の際に度々山名氏にもちかけているのだが、やはりさすがに自領の肝である水運と銀山を他家に任せてしまうことはできないのだろう。
そうなれば、こちらはとにかく灰吹法技術の流出をひたすら防ぐばかりだ。
神屋さんと組屋さんが技術者を連れて来た韓国の吹屋には、諜報部門に手配をさせて「技術が漏れると日本から鉱石がこなくなるぞ」と忠告(流言)しに行ってきた。
実際、石見に技術が流出してから石見の銀は韓国に行かなくなっているので、実感もしているだろう。
それでも目先の金欲しさに流出することはあるだろう。
明にも灰吹法施設はあるらしいし、そちらに行かれたら止められない。
そこまで行かれたら諦めよう。
ただ、石見と佐渡から灰吹法の技術が流出することはないように気をつけよう。
銀山には現地以外に他領からも、職を求めて多くの人がやって来る。
そう言う者は基本、鉱山労働者になる。
よくある、鉱山からでてくる時には真っ裸でケツの穴まで調べられるってやつだ。
その中で働きのいいものは、鉱山労働者兼スコップ部隊員に昇格する。
読み書き算盤ができるものは文官採用もする。
が、灰吹工員はそこからさらに選ばれしエリートだけがなれる技術職人だ。
修行は佐渡の相川で行われるし、そこから石見に派遣される灰吹工員は山吹城主の内藤清兵衛の次席の重臣扱いだ。
山名からは何人も石見銀山に間者が送り込まれてきているが、みんな穴掘りの名手になって帰って行っている。
それでも山名氏は、石見銀山見学の時に見た吹屋を見様見真似で作って、試行錯誤を繰り返しているようだ。
そんな中、山名一族の内紛が激化していく。
西から尼子に脅かされる因幡の山名氏(誠道)と、尼子も毛利も触手を伸ばそうとしてくる備後の山名氏(理興)も、山名家の惣領の座を狙っている。
この年、尼子氏と因幡の山名氏はあちこちで戦っており、その後になんと同盟を結んで但馬の山名氏と対するようになっていく。
灰吹工員は鉛毒のための短命だったとか…
鉱山労働者も何かと命がけの仕事だし、佐渡(本間家)ではできる限りホワイトな職場環境を目指す。
(ケツの穴は調べさせるけど ^^; ^^; ^^;)




