唐丹は佐渡が領有します
佐渡から援軍の船が来た。
「風斬丸」と名付けられた風神タイプの船で、船首にカタパルト、左右前方には連射式クロスボウ、左右後方にはバリスタが配備された、最新鋭の戦艦だ。
兵は少数精鋭で100人の部隊だが、その分兵糧や矢弾、補給物資を多めに積んできている。
風斬丸が着く前に風神号がいつも通りに来て、いつも通りに帰って行った。
それはまだ街道で葛西軍同士がガッチャンコする前の段階だが、まぁ、それまでの経緯は風神号を通じて佐渡に伝えられた。
釜石は町も賑わっており、鉄鉱石の採掘事業も順調だったが、今のところ先行投資が全然回収できていない。
それに防衛戦にかまけて採掘が滞ってしまったら、イワナイの高炉が止まってしまい、大赤字の大惨事を招くことになる。
唐丹がどれくらいのポテンシャルがある村なのかわからないが、ここは佐渡(本間家)が領有して防衛のための原資稼ぎの村にしないと採算があわない。
外交部門に唐丹を佐渡(本間家)が領有するための交渉を大槌氏とするようにと指示した。
さらに防衛よりも鉄鉱石採掘を優先するようにとの伝言も持たせて、ハーモタイプ二艘で本間有泰を唐丹領有隊長として派遣した。
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さて、両葛西家だが、石巻(晴清方)は伊達稙宗に現状報告をした。
「馬鹿もん! すぐに銭を払って解放させて、その後に全軍で攻めよ」
と、稙宗は怒りながら指示をした。
「それが、銭が足りません」と、柏山明吉。
「ええい、情けない。貸してやるから晴清を取り戻して、すぐに取り戻して来い! 唐丹だけじゃなく、釜石も大槌も攻め獲って来い!」と稙宗。
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一方、登米(晴胤方)は、
「釜石が栄えていることは聞いているが、大槌にそんな力があるのか?」と葛西晴胤。
「変わった形の弓を持った兵が砦を固めており、突破するのは難しいかと…」と黒沢繁道。
「大原重信が射たれて大怪我をさせられました」と大原胤重。
「それで、こちらの出した条件の唐丹を占拠した上に、さらに銭を要求しておるのじゃな」と晴胤。
「はい、晴清めの引渡金が100貫文、それに富澤殿の身代金が10貫文だと…」と黒沢繁道。
「富澤を捕らえておる理由は何じゃ?」と晴胤。
「交渉の場で刀に手を掛けたからだと…」と黒沢繁道。
「大槌を下に見て交渉をするなと、礼節を持って対等な立場で交渉しろと言っておりました」と三田重明。
「石巻はどう出るかの?」と晴胤。
「おそらく、一旦銭を払って晴清を解放させて、その後は怒りにまかせて攻め込んで行くでしょう」と三田重明。
「先に攻めさせて、様子をみるか」と晴胤。
「そうですな。ただ、富澤殿の身代金は払った方が…」と黒沢繁道。
「ふむ、晴清をたたいてくれるのじゃから、それくらいは払ってやるか」と晴胤。
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そして、タイミングがいいんだか悪いんだか、同じ日に両葛西家からの人質解放の使者が来た。
先に来たのは登米(晴胤方)の黒沢繁道。
十騎の騎馬隊で唐丹の砦前の交渉用陣幕にやってきた。
陣幕内で10貫文を受け取り、狐崎城に幽閉されていた富澤義綱の身柄を引き渡した。
唐丹と狐崎城の移動で時間がかかっている内に、石巻(晴清方)の使者もやって来た。
こちらは海路、10人づつくらいの兵を乗せた五艘の小早で釜石の港に乗り付けてきた。
この辺りには水軍らしい水軍はないのだが、晴清と一緒に捕らえていた熊谷直宗は気仙沼では少々船を手配できる立場なのだとか…
「海からなら唐丹の砦を通らなくても攻められるぞ」と言う威嚇のつもりもあったのだろうが、乗り付けた先に佐渡からの援軍の風斬丸が居たもんだから、逆に威嚇されてしまったようではあった。
まぁ、船で来てくれたおかげで、唐丹でのニアミスは起こらなかった。
船の乗組員はほとんど下船させず、交渉人として来た柏山明吉と他数人だけを狐崎城に案内して、身代金110貫文を受け取り、葛西晴清と熊谷直宗を引き渡した。
葛西晴清と熊谷直宗、それと富澤義綱にも、身柄引き渡しの途中に一言でも悪態をついたら交渉は決裂として処刑すると告げていたので、双方ともつつがなく身柄引き渡しは行われた。
アリヤスが乗っていった二艘のハーモタイプの船は、その後「アイアン号」「ラガー号」と名付けられて、唐丹の船として使われることとなる。




