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御守衛隊は忖度しない

 一方釜石の方はと言うと人口がドンドン増えて、フカヒレ工場を中心に周りが港町になり、佐渡風の繁華街ができてプチ花街もできはじめた。

 治安維持のために御守衛隊の詰め所を作り、佐渡から御守衛隊員を数名派遣した。


 釜石鉄鉱山を仕切っているのは、整備隊の時から引き続き足立義信(アダッチ)だ。

 釜石の鉱山で働いているのは、当初は佐渡から派遣されたスコップ部隊だったが、今ではほとんど現地採用の者ばかりだ。

 アダッチはこの現地採用の人足達を立派なスコップ部隊員に育てていた。

 その中から数名を御守衛隊員に任命して、佐渡から派遣された隊員とともに交代で釜石の町の治安を守っている。


 はっきり言ってこの町は、周りのそこそこ大きな城下町よりも栄えている。

 何より佐渡ナイズされたカルチャーは異次元だ。

 なので、例によって周辺諸国のお偉いさんがちょくちょく遊興においでになる。

 そして、例によって粗相をなさる^^;


 佐渡のスコップ部隊の武器は基本はスコップだが、御守衛隊員は十手や警棒(中にはトンファーや多節棍使いもいる)と捕縛用の投げ網なども持って警らをしている。

 これまでに捕らえた一番の偉いさんは、お忍びの最上義守(最上家十代目当主)様だ。

 鷹巣の温泉街で酔って暴れて、お付きの二人共々捕まって翌日送還された。

 お忍びで来ていたことだし、戯れ言としてむこうも大事にすることなくすんでいる。


 が、今回釜石で暴れていた狼藉者(おバカさん)は葛西晴清で、お付きも五人も引き連れていて、抜刀して暴れて怪我をさせた町人が数人、駆けつけた御守衛隊員が町人を庇って一人斬られて亡くなった。

 葛西晴清を含めた六人は取り押さえて詰め所に監禁したが、これはそのまま帰すわけにはいかない。


 しかし、


「儂を誰じゃと心得る!? 縄を解け! 早うしろ!!」


 と、喚き立てているこの葛西晴清、このご時世にかなりややこしい奴だ。


 葛西晴清(かさいはるきよ)。

 陸奥の牡鹿、石巻の領主。

 伊達稙宗の子で、稙宗の姻戚外交の一環として葛西家に養子に入り、葛西家の家督を無理やり継いだ。


「おのれ、許さんぞ! お主ら全員成敗してくれる!!」


 と、お付きの者どもも騒いでいる。


 しかも現在葛西家は、伊達の天文の乱に巻き込まれており、稙宗派のこの葛西晴清と、義兄で晴宗派の葛西高信(晴胤(はるたね))とが内紛中だ。

(こんな時にお忍で遊びに来てんじゃねえよ(;´∀`)


 どうしたらいいのかわからずに頭を抱える足立義信(アダッチ)。

 とりあえず鉱山の採掘作業を停止し、不測の事態に備えて急遽砦を築きはじめた。

 同時に狐崎城の城主!狐崎玄蕃に事態を報告、佐渡にも伝令を走らせた。

(佐渡までは片道半月かかるけど(;´∀`)


「狼藉者は葛西家の当主だと申しております」とアダッチ。


「葛西のどちら方じゃろ? とにかく大槌の殿に知らせを走らせましょう。攻められてはたまらないので、その者たちは人質として城で預かります」と玄蕃。


「すぐに護送いたします。どちら方と言われますと…?」とアダッチ。


「葛西はいま、伊達から養子に入った方と、元々の葛西家の譜代方とで揉めておりますれば…」と玄蕃。


「なるほど… さようであれば捕らえた側と反対の方に引き渡せば、上手く治められるかも知れませんな」とアダッチ。


 葛西晴清とお付きの者たちは御守衛隊詰め所から狐崎城へ移され、どちら方の葛西なのか、そもそもカタリではないのかと尋問された。

 スコップ部隊はなおも砦を築く。


 大槌の殿様が駆けつけてきた。


「伊達家からの養子の方のようです」と玄蕃。


「ふむ、ならば先代左京大夫の実子方に売ろうぞ」と大槌広政。


 そんなこんなで、元々は伊達家の天文の乱に巻き込まれていなかった大槌氏が、こんなカタチで巻き込まれて行くことになった。

なになに…

葛西晴清と晴胤は同一人物説がある…

とな…

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