防衛戦がぬるっと始まる
石見と釜石で同時期に戦になった。
石見は(第一次)月山富田城の戦いの後、尼子氏が国人領主の引き込みで度々出陣している。
銀山周辺は佐渡(本間家)が砦を築いて支配している。
月山富田城の戦いの後、尼子氏との取り決めで銀山に尼子氏の代官を置いて、運上金を尼子氏に治めている。
その時の取り決めで、銀山周辺の街道を軍で通過する時は、軍旗とともに白旗も掲げて通るように取り決めていた。
佐渡(本間家)が築いた砦は、鞆ヶ浦の港から仁満の津の港とその周辺の町(温泉街を鋭意建設中)、さらに銀山入口までを繋ぐ街道沿いに延々と銀山にまで及んでおり、その砦には本間家の◯に本の旗と白旗と十六目結の旗が交互に掲げられいる。
商人であれ、侍であれ、個人や数人程度で通行する者を止めたりはしないが、軍となっては話が違う。
「軍が銀山周辺の街道を通過する時は、まずは先触れをだし、自軍の軍旗と白旗を掲げて通過するように。白旗を掲げていない軍には、容赦なく攻撃する」
これは、外交部門から周辺領主や大内氏にまで通達した。
そんな中、石見街道を南から、軍旗は掲げずに白旗だけを掲げてやってきた軍があった。
規模は1000人前後だ。
先触れもなく1000人規模の軍が近づいて来たので、砦は厳戒態勢をとった。
「止まれ! 軍旗がないがどこの軍だ?」
佐渡(本間家)石見街道南端の砦の見張りが声をかけるが、その正体不明の軍は止まらず街道を通過しようとした。
「止まれ! 止まらんと射つぞ!」
正体不明の軍は、逆に行軍速度を早めて走り出した。
軍の先頭は街道を少し北に行った銀山の入口を曲がって山吹城の方に向かう。
これは偽装白旗の軍だと判断し、見張りの数人が備え付けのクロスボウを発射する。
ここの備え付けクロスボウは連射式だ。
発射した数だけ足軽兵が倒れた。
先方の兵は走って山吹城に向かい、後続は街道沿いの砦に攻めこもうとした。
砦に取り付こうとした兵を落石が襲う。
さいしょとは別の備え付けクロスボウからもボルトが発射された。
続いて爆発音が響き、街道の兵が数人吹き飛んだ。
焙烙玉攻撃だ。
走って山吹城に向かおうとした先発隊は、銀山入口周辺の砦からの攻撃であえなく全滅した。
進軍してきた正体不明の軍の先頭にいた200人ほどが、あっと言う間に戦闘不能状態に陥った。
出鼻をくじかれた正体不明の軍は、後ろが詰まっている街道からこぼれだして、斜めに逃げはじめた。
正体不明の軍の最後尾には馬に乗った司令官がいた。
騎馬兵は5、6人だ。
例によってここには、街道の左右両側にコンパウンドボウ兵を二人づつ回り込ませた。
要塞砦で迎え撃ち、伏兵が将を狙撃する。
それが佐渡(本間家)の戦い方だ。
(あと、背後から留守の城を落とす)
射程距離まで近づいた4人のコンパウンドボウ兵が、正体不明の騎馬兵を射つ。
1射が将の腕に命中し、1射は馬に当たってしまった。
残りの2射は外れた。
射撃と同時に撤収するコンパウンドボウ隊。
一人の騎兵が街道を外れて逃げるコンパウンドボウ兵を追おうとしたが、振り返ったコンパウンドボウ兵の2射目がその騎兵をかすめると、身の危険を感じた騎兵は街道に戻った。
その後、正体不明のその軍は撤退して行った。
特に追撃は行わなかったが、どこの軍だったのかは後を追わせて調べた。
(まぁ、追わなくても、捕らえた負傷兵を治療していたらわかったけど)
白旗を掲げてやってきた正体不明の軍は、虎視眈々と銀山を狙っている石見小笠原軍だった。
銀山を占拠した大軍が引き上げ、通常運転に戻った銀山なら取り返せないかと出陣してきたようだ。
尼子氏の代官には、事の顛末を尼子氏に報告しておくように指示しておいた。
石見銀山の支配人は、神屋さんのところの山甚と言う者で、佐渡(本間家)からは、内藤清兵衛信貞という者が防衛の指揮官として行っている。




