鉄はもうちょっとお待ちください。
釜石整備隊の作業は安全第一で進められ、港湾部はバッチリ出来上がった。
フカヒレ工場は干物とかカマボコとか、フカヒレ以外の加工品の作業スペースが日に日に大きくなり、整備隊の住む長屋の並びに工場の作業員の住む長屋もどんどん建てている。
大槌領は元々、米はほとんど穫れない領地だ。
海産物と米以外の雑穀で暮らしていたところなので、飢饉の影響は少ない。
作業員が増えているのは、近隣領地で食い詰めた者たちがフカヒレ工場の噂をきいて流れ着いてきたからだ。
整備隊員の食い扶持は資材やなんかと一緒に、風神号が運んでくる。
工場で作っているフカヒレ以外の加工品は、佐渡に送らず三陸側で消費しているし、それに工場の周りと山間の隙間すきまの土地で、サツマイモをはじめいろいろ栽培していたので食糧に余裕があり、来るもの拒まずで雇っていたら、随分とデカい工場団地が出来てしまった。
工場にはフカヒレだけを売りにくる者もいれば、サメを丸ごと売りにくる者も、サメと他の海産物も一緒に売りにくる者もいる。
持ち込まれるモノは、佐渡の銭で買い取る。
工場では工場で作った加工品を売っているし、栽培しているモノも売っている。
人がだいぶ増えたし、飯屋も始めようか検討中だ。
夏にトマトが随分採れた。
そのままかぶりついて食べてもいいが、釜石整備隊のリーダーの足立義信には、トマトが実ったら磯汁に入れて潰して煮込んで食べるように言ってある。
なんちゃってブイヤベースだ。
試しに普通の磯汁はお椀一杯三文、ブイヤベースは五文で売ってみた。
好奇心からか、意外と皆んなブイヤベースを注文して食べていた。
鉄鉱石の採掘作業はまだ先だ。
大雨のせいで川底攫えを何度も繰り返している。
攫えた土砂は風神号が佐渡に持って帰って、そこからもチョロチョロっと鉄を抽出出来ているし、川砂は三和土に使えるので、悪いことばかりではない。
伐り出した木材も持って帰っているし、フカヒレも博多に持っていけばいい値で売れる。
「いりこ」「干しあわび」「フカヒレ」の江戸時代の俵物3点セットが揃ったのが嬉しい。
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一方蝦夷の方はと言うと、こちらこそ飢饉は関係ない。
年がら年中飢饉みたいなもんだし。
イワナイの高炉の耐火煉瓦の積み上げは出来ており、熱風炉とのガス循環や水車との取り合わせの段階まできている。
年内に試験運転にこぎつけ、来年から本格稼働に持っていければと思っている。
ジャガイモ、トウモロコシの栽培は順調だ。
主食にできるので大きい。
北見孫四郎には、トウモロコシはそのままかぶりついてもいいけど、粉に挽いても使えると教えてある。
大根とかぶ、なばな、からし菜、高菜、ニンニクも育てている。
唐辛子と蜜柑は無理だろうと最初から植えていないが、麻、芥子、ごま、山椒、紫蘇は植えてみた。
ごまと紫蘇は難しそうだが、麻と芥子と山椒はイワナイでも栽培できそうだ。
麻は特に何かと重宝するので、増やせるならドンドン増やして欲しい。
麻と芥子と言えば、朝倉が医師や薬師を数人庇護していたので、麻と芥子を土産に持たせて、富山の薬売り担当の諜報部員を弟子入りさせてもらった。
麻から下剤を、芥子からは下痢止めを作っていた。
アイヌの人達に船と漁具のレンタルをしているが、こちらでも海産物の加工場を作ることにした。
加工場でもアイヌの人達に働いてもらうことになった。
昆布、身欠き鰊、カズノコ、いりこ、干しあわび、そして明太子を作るつもりだ。
高炉はまだ稼働してないが、コークス炉は動いている。
余熱利用で塩を炊きだしているので、塩不足は解消されている。
台東もそうだが、イワナイも飢饉でさまよい流れてきた食い詰め者たちの受け入れ先になれそうだ。
朝倉の薬師のところに明智光秀がいないか聞いてみたけど、見当たらなかった。
いたらスカウトするんだけどなぁ…




