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㋥二つ引き両㋥の旗印

 両陣営から掛け声が響く。


「退け〜! 退却だ〜!」と、温井陣営から。


「武器も具足も捨てて投降しろ〜! 城で飯を食わせてやるぞ! 負傷者は手当てをしてやる! 投降しろ〜!」と、本間陣営から。


 攻め方の温井軍が及び腰で、本間軍は迎撃態勢のため、そこまで両軍入り乱れての戦いとなる前に、温井軍大将の温井総貞が本間軍の伏兵に討たれてしまい、温井軍は「主君の弔い合戦だ〜」とはならず、退却を始めた。

 本間軍は戦闘中にも敵の士気を下げるために声を上げていた、「追い討ちはしない」「負傷者は治療する」「投降しろ」と言う呼びかけを続けた。


 一方その頃、温井軍挙兵の報が届いた七尾城からは、一旦城に入っていた佐渡本間軍が船で輪島に移動をはじめていた。

 まずは助さん丸と格さん丸に沢根賢密(ハルミツ)潟上高康(タカヤス)がそれぞれ20人づつのスコップ隊員を乗せて輪島に向かった。

 一旦佐渡に引き上げていた諜報部門の工作部隊も、指揮者がサブローザからジューローザにかわって、また出動してきて早速輪島に向かっていた。


「佐渡にばかり任せてはおけぬ。儂も出ますぞ」


 と、遊佐秀頼(ゆさひでより)も側近の兵を引き連れ、こちらは陸路で天堂城に向かった。


 〜 〜 〜 ※ 〜 〜 〜 ※ 〜 〜 〜


 輪島から上陸した佐渡の工作部隊と七尾城を出た第一陣、第二陣が天堂城の近くまで来たら、500ほどの軍勢が先に到着していた。

 陸路で来た遊佐軍ではなく、長氏の軍勢のようだ。


 崎山城の攻防の様子を斥候に見張らせていた長続連(ちょうつぐつら)は、温井軍の撤退の報をきいてすぐに、集めていた兵のうちの500を率いて天堂城に向かって進軍を始めた。

 両軍の激突の結果を見てから、崎山城か天堂城かどちらかを攻められないかと見張っていたのだ。


 長軍は天堂城の門前まで迫り、開城を促していた。

 そこに本間軍の先発隊がやってきたのだ。

 先に来ていた軍の旗が長氏のものだと確認すると、渋谷十郎左(ジューローザ)は自らが使番になって「二つ引き両」の旗を掲げて長軍の陣営に向かった。


「能登守護畠山家の官軍を授かっております、佐渡本間家の渋谷十郎左と申します。我ら能登守護様から二つ引き両の旗を預かってきております。こちらは長殿の軍とお見受けしますが、二つ引き両の旗、こちらの陣に掲げますか?」と、ジューローザ。


「二つ引き両」とは将軍足利家の家紋であり、畠山家もこの「二つ引き両」を家紋としている。

 ジューローザは長軍に、畠山家の敵か? 味方か? と問うたのだ。


「これは佐渡よりの援軍、痛み入る。もちろん我ら畠山家の家臣である。こちらに掲げられよ」


 と、内心顔を引き攣らせた長続連が応えた。


「承知つかまっった。ならば我ら、こちらの陣に合流いたす」


 そう言ってジューローザは自軍に戻り、「二つ引き両」の旗とともに長軍に合流した。

 長続連は仕方なく本間軍と連合軍化した。


「二つ引き両」の旗を掲げて、あらためて天堂城に開城を促す。

 天堂城は梨の礫、貝の状態だ。

 しばらく呼びかけていると、陸路の遊佐軍がやってきた。


 天堂城の前の陣に「二つ引き両」と「十六目結」(本間家の旗印)「銭九曜」(長家の旗印)の旗が掲げられているのを見て、自軍も「六葉木瓜」(遊佐家の旗印)の旗の前に「二つ引き両」の旗を掲げて本間家、長家の連合軍に合流した。


 そこに崎山城から撤退してきた温井軍。

 先頭で帰ってきた数十騎の騎馬隊が天堂城の前に陣取る「二つ引き両」と「十六目結」と「銭九曜」と「六葉木瓜」の旗印を見つける。

 連合軍の数はそんなに多くはないが、居並ぶ旗印は大将を討たれて帰ってきた軍の士気を完全に絶望状態にした。


 ハルミツとタカヤスが我先にと突撃しようとしたが、撤退してきた温井軍は早々に連合軍に降伏の意思を表明し、内の一人が籠城中の天堂城に大将(温井総貞)の討ち死にを伝えに行った。

 事ここに至って、城を守っていた温井総貞の弟、温井続基(ぬくいつぐもと)は籠城での抵抗をあきらめ城を明渡した。

こちらでは相変わらず、何千、何百と言ったチマチマとした戦をしておりますが(;´∀`)、関東では何万の戦で北条が河越城を落としております。

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