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崎山城占拠

 越中椎名領は黒部川の北東側、要するに一番越後寄りのエリアの新田開発が今年中には終わりそうだ。

 まだ開発の余地はあるっちゃあるが、来年からは川を越えて手つかずの南西側を開発する方が効率的だ。

 椎名領全体の種籾は塩水選で選んだ種籾だし、新田以外の元々の田んぼでも正条植えを行っている。

 佐渡で新田開発を行っている領地には佐渡開発の農機具も貸し出しており、それらの効果は明らかで椎名氏としては万々歳だ。


 佐渡が椎名領の新田開発を始めてから、越中では一揆らしい一揆は起こっていない。

 西の神保領側から、いつ一揆が起こるか気が気じゃない。

 滑川の海岸に港湾施設(要塞)を作ったので、一揆がきたらこの辺までは絶対に守るつもりではいる。

 なので、佐渡が開発費用を貸し出して新田開発するのは、ここくらいまでにする。


 能登は畠山氏が居城の七尾城の周りはいい具合に治めている。

 (みやこ)風の文化を広げ、佐渡も全面的に協力している。


 しかしこの頃の能登は国人領主同士が常に小競り合いをしており、それは国力を弱める元だと、畠山義総(よしふさ)に「領地安堵令」を出させて、現状領地を安堵するかわりに、今後国人領主が他領へ侵攻することを禁じさせた。

 輪島は佐渡と敦賀、小浜の行き来が頻繁で、寄港地としてかなりの賑わいを見せている。

 この辺を畠山氏から任されている温井氏が、もし「領地安堵令」を犯して長谷部(長)氏や遊佐氏とかと揉め事を起こしたら、介入して勢力下に置いてやるつもりだ。


 と画策していたら、温井氏が仕掛ける側ではなく仕掛けられた側になった。

 相手は長谷部(長)氏でも遊佐氏でもなく、どちらかと言うと温井氏寄りかと思っていた三宅氏だった。


 三宅筑前守(みやけちくぜんのかみ)総広(ふさひろ) VS 温井兵庫助(ぬくいひょうごのすけ)総貞(ふささだ)


 三宅氏も温井氏も、自領とは別に七尾城下に館を持っている。

 温井総貞が七尾城下の館にいる間に、三宅総広は居城の崎山城で挙兵し、輪島の天堂城に向けて進軍を始めた。

 三宅軍の進軍は極めてゆっくりで、温井総貞は七尾城下から天堂城に戻って城内で三宅軍を迎え撃つことができた。

 三宅軍が天堂城を包囲し、多少の矢の射掛け合いなどがあり、両軍は早々に和睦をした。

 和睦の条件は、温井氏と三宅氏の領地の間にある「柳田村」を三宅氏の領地とすることで合意した。


 この情報は輪島の猪口酒屋からすぐに佐渡に届いた。

 戦評定(軍議)を開いて、お得意の「出兵して手薄になっている三宅氏の居城、崎山城を奪取して帰って来る三宅軍を城に入れずに降参させよう」作戦を実行しようと言うことになった。


 すぐに外交・諜報部門から七尾城に「領地安堵令」を犯した三宅氏を討伐すると伝令を出した。

 そして佐渡から、まずは諜報部門から渋谷三郎左(サブローザ)率いる50人の工作部隊が、続いて日本海御守衛隊長(にほんかいごしゅえい)沢根本間賢密(たいちょうハルミツ)率いる100人のスコップ部隊が、そして何故かいつも出撃したがる日本海大膳(にほんかいだいぜん)潟上本間高康(タカヤス)も急遽あちこちからスコップ部隊を300人集めてきて出陣していった。


 能登半島の北東の先の方にある海辺の城、崎山城は先発隊の工作部隊とハルミツ部隊で呆気なく占拠され、追ってきたタカヤス部隊も招き入れて三宅軍の帰りを待った。

 その様子を聞いた三宅総広は急いで天堂城に伝令を出し、こともあろうに温井総貞に援軍を頼んだ。

 ついさっきまで争っていて和睦したばかりの温井氏が援軍を出すはずもなく、三宅軍は崎山城からの威嚇のスリングとクロスボウ攻撃にさらされて間もなく降参した。

温井総貞「何が領地安堵令じゃ! あんなもん、なし崩しにしてやるぞ」

三宅総広「いかがいたす?」

温井総貞「お主が儂の領内に攻め入ってこい。城を囲んだところで手打ちにして、そうじゃな、松波の柳田村をお主の領地にするとして和睦しよう」

三宅総広「ハハ、勝手に攻めて、勝手に和睦して、勝手に他人の領地を自領にするのか」

温井総貞「そうじゃ。それで何も言ってこんかったら令はご破算じゃ」

三宅総広「ハハハハハ」

温井総貞「ハハハハハ」

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