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第78話:海編開幕!道産子スタイルの海水浴

いつも応援ありがとうございます、武徳丸です。


いよいよ海編がスタートしました!

今回は愛美のお母さんも参戦し、賑やかな海水浴です。


女の子の参加で波乱の予感が漂っております。

北海道ならではの「海水浴の常識」にも注目してお読みください!


「美沙さん、今日は本当にありがとうございます。すいません、りゅーたんと一緒に僕まで乗せてもらっちゃって」

「いいのよムツくん。ミヤくんもよろしくね」


 ミニバンの運転席から、愛美の母・美沙さんがバックミラー越しに優しく微笑む。



 俺たちは今、羽幌方面の海水浴場を目指して国道を走っている。

 車内は冷房が効いているが、窓の外から差し込む日差しはすでに「夏」そのものだ。


 アスファルトは陽炎でゆらぎ、ミーンミーンと北海道の短い夏を命短しと騒ぐ蝉たちの声が、閉め切った窓越しにも聞こえてくる。



「なあに、楓くんもムツくんも来年は受験生でしょ? 羽を伸ばせるのは今年くらいなんだから、思いっきり遊びなさい」

「ありがとうございます……」



 美沙さんの包容力のある言葉に、俺とムツは揃って頭を下げる。

 だが、助手席でシートベルトをいじっていた愛美が、頬を膨らませて振り返った。



「ちょっと! お母さんにばっかりお礼言って、私には無いの? この海行きを企画したの、私なんだからね!」

「はいはい、愛美様ありがとうございます」

「心がこもってなーい! ぶー!」



 愛美が騒ぐたびに車内が揺れる。

 今回のメンバーは、美沙さんの運転する車に、愛美、俺、ムツ、そしてミヤと愛美の妹の萌奈美の六人だ。


 ミヤは「俺も海で遊びたい」としつこかったので声をかけたのだが、正直少し不安だった。

 こいつは語彙の八割が下ネタで構成されているような男だ。

 大人の目がある車内なら、さすがに自重するだろうと思っていたのだが……。



「……おい、竜胆。お前、愛美ちゃんも美沙さんもなまら美人だな。つーか、遺伝子レベルで胸なまらデカくないか? 爆弾積んでんのかよ」

「……」



 隣でボソッと呟かれた最低な感想に、俺はこめかみを押さえた。

 やっぱり連れてくるんじゃなかった。


 一方で、後部座席のムツは、愛美の妹の萌奈美と中学の話題で盛り上がっている。

 萌奈美は中学三年生だが、大人びた顔立ちとスタイルの良さは、すでに高校生を凌駕している。



「萌奈美ちゃん、あの大人しそうなムツと仲良くしてるの意外だな。……つーか、中三でその完成度はヤベーだろ。竜胆、俺ちょっと中学生に戻ってく――」


「ミヤ、ここで降ろされたいか? ここの地名は三毛別(サンケベツ)って言うんだぞ」


「マジか……」



 俺の優しい(脅し)言葉に、ミヤはやっと口を閉じた。



     



 現地に到着すると、すでに別の車が一台停まっていた。吉川の親が出してくれた車だ。

 向こうのメンバーは、吉川、皆ちゃん、皆ちゃんの彼女である小野寺(オノデラ)ゆきさん。

 そして彼女の友達である逢坂亜沙子(オウサカアサコ)さんと藤原里奈(フジワラリナ)さんの五人。



 小野寺さん、逢坂さんに藤原さんは、校内でも有名な「カリテス(美と優雅を司る三女神)」と呼ばれる知的美人グループのメンバーだ。


 黒髪ベリーショートがよく似合うスレンダーな小野寺さんは、キリッとしたクールビューティー。

 茶色がかったストレートロングで色白の逢坂さんは、明るく優しい癒やし系。

 そして、ツインお団子ヘアーで小柄な藤原さんは、誰とでもすぐ仲良くなる元気な社交系。


 派手なギャル系ではない、いわゆる正統派の美少女三人衆である。


挿絵(By みてみん)


「あ、楓くん! 今日はよろしくね!」

「おー、来たな竜胆!」



 合流した彼女たちは、驚くほど上機嫌だった。

 どうやら道中、吉川が持ち前の口八丁で車内を相当盛り上げたらしい。

 皆ちゃんがこっそり俺に寄ってきて、安堵の溜息をつく。



「助かったよ、吉川がいてくれて。実は彼女のゆきとは話せるんだけど、逢坂さんと藤原さんとはまだ少し緊張しちゃってさ。吉川がずっと笑わせてくれてたんだ」



 吉川。

 普段は救いようのないクズで、隙あらば女子の連絡先を聞き出そうとする男だが、こういう「現場」での盛り上げ能力と、仲間のピンチを救うフォロー力だけは異常に高い。


 だからこそ、俺たちはアイツがクズだと知りながら、仲がいいんだ。

 本当に、クズだけど。



 さて、海を前にして、まずやるべきことは一つだ。



「よし、まずはテントを張るぞ」



 吉川のお父さんの号令でテントの準備をする。



 えっ、テント? キャンプするの?

 いや、泊まらないよ。

 じゃあ、なんでテント……?



 北海道外の方の疑問は無理もない。

 だが、北海道の海水浴において、砂浜に「テント」を建てるのは常識中の常識なのだ。

 日差しを避けるのはもちろん、着替えの場所を確保し、ジンギスカンを焼く拠点を固める。これが道民スタイルだ。



 吉川の親が用意してくれた大型のワンタッチテントと、本格的なタープ。

「サクサクいくぞ」

 俺は手慣れた手つきでペグを打ち込み、フレームを組み上げていく。



「楓くん、すごい! 手慣れてるね!」

「まあ、ソロキャンプによく行くからな。慣れだよ」



 感心する女子たちの前で作業を続けていると、愛美が背中にぴったりとくっついてきた。



「ねーねー楓くん、これ重いー。手伝ってー」

「愛美、くっつきすぎ。邪魔」

「ひどーい! せっかく二人っきり(気分)なのにー!」

「みんないるだろ。あと、その距離感で作業するのは無理だ」



 俺が愛美をあしらっている間、視界の端でミヤの様子が変わっていることに気づいた。


 「カリテス」の逢坂さんと藤原さんに「ミヤくん、荷物運んでくれてありがとう!」と笑顔で声をかけられた瞬間、さっきまで下品なことを抜かしていた男が、

「あ、あふ、う、うっす……あざす……」

 と、茹で上がったタコのような顔で硬直している。



 ……挙動がおかしい。

 あいつ、リアルな美少女を前にするとまともに喋れなくなるタイプだったのか。

 変な下ネタをぶちまけて空気を凍らせないだけマシだが、あの様子だと別の意味で心配だ。



 照りつける太陽の下、潮の香りが強くなる。

 北海道の短い夏、そのメインイベントがいよいよ幕を開けた。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


作中で楓がミヤを黙らせた「三毛別サンケベツ」という地名。

北海道民ならピンとくる方も多いかと思いますが、実は大正時代に発生した、日本史上最悪と言われる巨大ヒグマによる獣害事件の現場です。


そんな恐ろしい名前を「優しい脅し」に使うあたり、楓もなかなか性格が悪いですね(笑)。


さて、拠点の「家」も建ち、いよいよ海を満喫……と思いきや、あのミヤがまさかのフリーズ!?

次回、水着の美少女たちを前に、男たちの真価が問われます!


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