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鼻いぼ姫  作者: チャロ吉
8/19

8 従者の仕事

王子の従者になって二ヶ月が経った。

王子は意外と早起きだ。

だから私は、ジイに起こしてもらい、少しでも王子より早く起きようと頑張った。

自分の身支度を終え、王子が寝ている間に、厨房へ走って行き、お湯をもらってくる。

ウオッシュスタンドに、水差しと洗面器を置きフカフカの布も忘れずに用意しておく。

ベッドの上に起き上がった王子に絞ったタオルを差し出す。

王子は早起きだけど寝起きが悪いのだ。

不機嫌そうな顔は、ちょっとだけ怖い。

熱いタオルで顔を覆いフーッと息を吐き出せば、いつもの穏やかな顔に戻っている。

ガウンを着せて椅子に座らせ髭を当てる。

初めは怖かったけど、ちょっと傷がついても王子は平気そうにしてくれたので、今は髭を当てるのは得意になった。

その後、着替えを済ませた王子に厨房から持ってきた朝食を出す。

朝食を済ませた王子は執務室へ向かう。

私はご不浄の処理モンモがやってくれると部屋の片付けを済ませ、王子のいる執務室へ向かうのだ。


領主もいる執務室では、男たちが大勢いて、カリカリと書き物をしていたり、小声で相談したりしている。

私はすることがないので、王子の後ろに控えているだけだ。

以前の従者の仕事よりは全然楽だけど、することがないのも辛いものだ。

ジイは、たまに王子の傍へ飛んでいき、書き物を覗いたりしている。

王子は気にしていないようだが、周りの男たちがしかめっ面をする。

私が慌ててジイを掴もうとすると王子は、

「気にせずともよい」

と、ぼそりと言うのだ。

周りにいる男たちはそれを見て、訳知り顔をする。

――何で?

私には意味が分からなかったが、王子は決まり悪そうにするのだ。

――あとで聞いて見るしかないか……。

王子の必要になった資料を取りに書庫へ入って行くと、書記官たちがコソコソ話をしていた。


「鼻いぼは、ずいぶん王子に気に入られている」

「具合がいいんだろうさ。鼻を見なけりゃ可愛い顔をしているしな」

「しかし、この分ではいつまで経っても奥方が来ないのでは?」

「蛮族から女を連れてくるより、余程増しではないか」

「それはそうだな」


そう言ってクスクスと笑っているのだ。

私はそこで、やっと察した。

――王子と私が……。

何と言うこと。話には聞いていた。高貴な身分の方々は、そういう処理を御小姓に求めることがあると。

男なら子供ができる心配がない。そして、そういう趣味の人もいるのだ。

私は一気に青ざめてしまった。


「王子様って、そういうご趣味の方だったの……」


それからの毎日はいつも気を張りっぱなしだった。

王子を起こす時も、髭を当てるときも異常に意識して距離を取るようになった。


――だって、もしそんな場面になったら、私が女性だとバレてしまう。


*****


心配することが、そっち?

まあまあ、まだおぼこい鼻いぼ姫ですねぇ。

でも王子が勘違いされて可哀想ですねぇ。

早く安心させて上げて欲しいです。ほんと、気を揉みます。うふっ!


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