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鼻いぼ姫  作者: チャロ吉
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4 旅の途中

私の名前は、シャルロット・レイクシャー。

男爵の娘だった。

これから北の領地を治めるフォグリッジ公爵のところまで行かねばならない。

私のお父様が治めていた領地は王都の側だった。

小さくて領民も少なかったけど、何とか上手く運営していた。

だけどそれは、泉の精霊が魔法で加護を与えてくれていたお陰だと、お父様は仰っていた。

あの変な叔父様は、泉の精霊にお祈りなんてしないだろう。

これからは大変な領地経営になるはず。


お金は結構持っている。着替えは少しだけ。だって重くて持てないもの。

お金はエリー先生から受取っていた。

お父様から預かっていたものだと言っていたけど……本当のところは分からない。

十三歳の少女は馬鹿にされて足下を見られるはずだ。

私は男の子の姿に変装して、歩きでフォグリッジを目指している。

髪は短く切った。どうせ鼻いぼがあるし、男の子だと思ってもらえた方が、周りの目が刺さらないのだ。

鼻いぼ……モンモは二人きりの時は、私の頭の上にぺたんと寝そべって、話しかけてくる。

《ロット、しばらく人はいない。このまままっすぐ行けば村がある》

「うん、ありがとう」

すごく助かっている。モンモは人の気配に敏感だし、水も出せるし、手も器用だ。なんていい妖精だろう。

でも、またあの精霊が余計なことをしたみたいだった。


私の肩には、もう一匹の妖精が居座っていた。

今度は九官鳥の妖精だ。

《馬鹿かお前は! 途中に野盗が隠れているのが分からんとは……嘆かわしい》

なんか、じいさんみたいな話し方をする、偉そうな妖精だった。

今回は、恥ずかしがりではないので、人がいてもずっと私の肩に乗っている。

問題は、ジイの口の悪さだ。

じいさんみたいだから、ジイと名付けたらジイは、

《儂は生まれて間もない妖精じゃぞ! もっと可愛い名はないのカァ!》

と言っているが、無視する。

ジイのせいで、途中の村で大変な目にあったのだ。

太った女将さんに向かって堂々と《デブ》と言ったり、まずそうな食事に平気で《こんな物食えるカァ!》と言ってしまうのだから。

私は農家の女将さんに平謝りして、急いでその場から立ち去らなければならなかった。

でも、ジイが野盗がいると言ったのは本当だった。

道を進むと、二人の男たちが、前を塞ぐように飛び出してきたのだ。


――ジイは索敵に特化した妖精?


「おい、くそガキ。金持ってんだろう。出しな」

「へ、へ。金がなかったら、お前をとっ捕まえて売り飛ばす。どうだ、分かったらさっさと出せ」


モンモは私の鼻にささっと隠れてしまって役に立たない。

《儂に任せておけ! ほら、ほら、ほーらっ!》

ジイは、口から刃物を飛ばし、野盗を切り刻んでしまった。

「こ、これぇー! ど、どうすんの。死んでる!」

目の前には、野盗だったものの残骸が、気味悪く散らばっていた。

私は、その残骸から遠ざかり、大回りをして先に進む。


急いでいたので、後ろにジイが落っこちていたのに気付かなかった。

「え? ジイどこ行った?」

《あそこに死んでる……》

「エエーッ!」

急いで、来た道を戻ると、ジイがこてんと横になっていた。

「ジイ! 死んじゃった」

《馬鹿者! 死んでなんぞおらん……マナ切れじゃ》



*****


鼻いぼ姫の旅は、一筋縄ではいかないようですね。

意地悪な妖精の加護も……何で、素直になれないんでしょうかしら。

ひねった加護ばかりで。

姫様、これから面倒ごとに巻き込まれないといいですね。

とっても心配です。

あら、本当に心配していますとも……ふ、ふふふ。


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