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【10000PV突破】令嬢戦記~断罪された侯爵令嬢、妖精とWW2戦闘機で逆転する~  作者: 奏楽雅


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第84話:この子はティテと殆ど変わらないじゃない

太陽が傾き影が長くなりはじめた頃。

ランツァウ領都に一番近い空港にサウザント紋章の、一〇〇式輸送機が何機も到着した。


「フェリシティお嬢様。第一歩兵旅団所属。工兵大隊指揮官アインエント中尉であります。

第二工兵大隊383名到着致しました」

飛行機から降りたアインエント中尉と整列した工兵部隊員が、迎えに出たフェリシティに敬礼する。

サウザントの精鋭工兵部隊だ。


「ご苦労様ですわ」

フェリシティは答礼も疎かに話し始めた。


「早速だけど、作戦を伝えます」


「はっ!」


「現在、王国軍はランツァウ領境付近に展開、戦車を含む機甲化部隊と断定」


フェリシティは工兵部隊を見渡す。

誰も恐れの目をしていない。精悍な顔つきだった。


「先着のアルマリン工兵隊…嫌がらせ部隊?」


「嫌がらせ?」

精強な工兵部隊に動揺が走る。


「……アルマリン工兵部隊は既に要衝の嫌がらせ任務に就いていますわ」


「…嫌がらせ…?」


「我がサウザント工兵大隊は、これから集結するウィスラー領軍のための野戦飛行場構築と……」


「?」


「…スフィアルィーゼ・アルマリン侯の発案による遅滞作戦の支援を行います…」


「スフィアルイーゼ侯?…王国に悪魔と恐れられている…」


ザワザワ

  ザワザワ


「あ、後はスフィアに聞いてくださいまし…」


「!」

「どんな恐ろしい人物が出てくるんだ?」

「身の丈が3メートルはあると聞いているぞ」

「に、人間じゃないのか…」


(ええ?同盟の仲なのにそういうデマが流れているの?)


「スフィア」


フェリシティの後ろに控えていた私は前に進み出る。


「ごきげんよう」

私はカーテシーで挨拶する。


「ごきげんよう…だと」

「なんだこの美しい令嬢は?」

「フェリシティお嬢様も美しいが…」

「物静かそうな感じが良いな」

「フェリシティ様は気の強そうなところがあるからな」

フェリシティの様子を見るとこめかみがピクピクしている。

「貴方たち…」


(あああ、拙いわ)


「初めましてスフィアルイーゼ・アルマリンです」


「うわぁぁぁぁあああ!」

(な、何?)

「でたーーーー!」

(ちょっと、何が出たの?)

「魔王だーーー!」

(何でよーー!)


「あ、あ、あああ、うちの精強な兵士たちが…」

フェリシティが両手の平を前に出しプルプルと震わせていた。


***


王国の北から進行するつもりのようで、北側に陸上戦力を集結させている。


最も領都に近い方角なのと、王都に続く街道がひかれているからだ。


「偵察機からの情報は入っているか?」

ステファン様が情報将校を見る。

現在は会議室が作戦司令室になっている。


「高高度偵察機爆撃機キ74の報告によると、王国の陸上戦力は、縦列に長く、全集結まで2日は要するとありました」


「航空戦力の動向が気になるところですわ」

一番重要な情報だが、入手しようがない情報だった。


「北の各都市、村や町の避難はどうだ」

「領境付近の退去は、ほぼ終了させましたが…

昨日の今日であり、また一部のものは…」


「…そうか」

ステファンの表情に影が落ちる。


「できるだけ嫌がらせの内側、若しくは西か東に逃げるよう進めて下さい」

私はそう懇願する。


「はい、理解しております。部隊を配し避難を手伝うように言いつけております。


キ84 疾風部隊は、ご命令通り20機編成、4ローテーションで昨日から扇状に哨戒飛行を行っております」


「ありがとうございます。今日にはウィンザーの飛行隊も到着する手筈です。アルマリンは夜になる予定です」


「助かります」


「サウザントの兵士は順次輸送する予定ですけど、輸送機をどんなに回しても時間がかかってしまいますわ。後詰戦力になりますが、追って要衝に向かわせます」


「二人ともありがとう」

ステファンが私たちに頭を下げた。


「ステファン様」


「感謝は全て終わった後でですわ」


「スフィアお嬢様。サウザント工兵隊の準備が整ったと連絡が入りました」

通信施設も会議室に移動させ、床には様々なケーブルも這っていて、ドレスだと危ない状況だった。


「それじゃあ、ステファン行ってきます。地形を変えちゃうけど…」


「そこは気にしないでくれ。ランツァウを守るためだ」


私とフェリシティ、ミレニアは会議室を後にする。


***


「お嬢様本当に大丈夫ですか?」


キ84 疾風の操縦席に座った私にミレニアが心配そうに覗き込んでくる。


「大丈夫よ、この子はティテと殆ど変わらないじゃない」


「そうですが…ティテさんの補助がないんですよ」


「…そうね。でも大丈夫」


私は、そういって計器盤に触れると、明確な声は聞きとれないが、妖精が迎えてくれている感情が伝わってくる。


「うん、大丈夫よ問題ないわ」

私はミレニアに微笑んで問題ないことをアピールする。


「わかりました。いつものように後方で支援いたします」


「スフィア。今日は私が隊長機を務めますわ」


ヘッドセットにフェリシティの声が届く。


「よろしくね、ちゃんとついて行くわ」


キ84 疾風と心を通わす。名前も教えてくれない妖精だけど受け入れてくれているのは伝わる。


キュキュキュキュキュ……ズババババッ! ボウッ! ズド・ド・ド・ド・ド……


エンジンが重厚な音を響かせる。


操縦桿を動かし、主翼尾翼を確認する。ラダーで垂直尾翼を確認。ティテやシルヴィが何時もは教えてくれるが今日はいないので自分でやるしかない。


フェリシティの機体に続いて滑走路へと進む。

後方はミレニアの機体だ。


まだ、翔鶴が来ないのと、フェリシティはそもそもリリスラーの空港に置きっぱなしなので全員、ランツァウのキ84 疾風だ。


ミレニアの後にはランツァウの飛行隊20機が続く。

全員250キロ爆弾を翼下に懸架した爆装である。


フェリシティが速度を上げる。いつもより長めに滑走して緩やかに離陸していく。


それを見て私も同じようにして大空へと舞い上がる。


なんというか。この機体は大きくて安心感はあるが、ティテやシルヴィのように手足のように動かせる気がしなかった。



お読みいただき有難う御座います。

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