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【10000PV突破】令嬢戦記~断罪された侯爵令嬢、妖精とWW2戦闘機で逆転する~  作者: 奏楽雅


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85/85

第85話:いつか翼を並べましょう

高度1600メートル。

晴天に恵まれた空のもと、山々に囲まれた、肥沃な農作地をもつランツァウの鮮烈な菜の花の黄色と新緑をどこまでも一望できた。


「この辺かしら?」


というフェリシティの問いが投げかけられる。


「目印の煙が見えます、目的の場所です」


ミレニアの報告。


「フェリシティより全機に、速度370。高度を1200に。横列で作戦通りに!横に合わせて!」


緩やかに機首を下げると、遠くに街道を横切るように煙が並べられているのが見えた。


縦列から横列に作戦通りに編隊を組み替えていく。


自機の主翼が隣の主翼と20メートルも離れていない。

ちょっとした乱流で衝突しかねない。


それなのに。


(流石ね、ステファン様が自信をもって送り出した精鋭だけのことがあるわ)


ランツァウのパイロットは一糸乱れぬ機動をみせていた。


(ま、負けられないわ)


「投下安全装置解除!」


フェリシティの通信に従い電装パネルの投下安全器のトグルを安全から火打に切り替える。


「投下準備!」


スロットルレバー側にある投下用押しボタンに親指を添える。


緊張の一瞬。


自分の呼吸する音だけが良く聞こえる。


「全機投下!」


フェリシティの号令。


投下用押しボタンを力強く押し込む。


ガコン

 ガコン


左右の翼に懸架されていた250キロ爆弾が切り離された音と振動。機体が軽くなり浮き上がった感覚と速度が上昇した。


疾風部隊は一機ごとに直進と、緩上昇に分かれ安全に横列の編隊を解いていく。


私は緩上昇組なので斜め後方を確認できた。


横一線に並んだ23機の疾風から、一糸乱れず投下された爆弾は、黒い影となって風を切り。慣性に従い斜め下へと吸い込まれていった。


予定では15秒後に地上に到達する。


自分で15を数える。


5、4、3、2、1、0…


地上に着弾。


……


1、2、3…


後方で黒い壁が数百メートルに渡って空へと舞い上がった。


総計11.5トンの爆弾が遅延信管によって土の中で爆発。


ド、ド、ド、ド、ドドン!ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴォオォオォオォオオオオオオォォーーーーン!!


ビリビリ!


機体が上下に揺れる。


「キィャアァァァァァァァァーーー!」


距離で1.5キロ、高度で1500メートルは離れているのにも関わらず、音と振動が空飛ぶ疾風にも伝わり機体を震わせた。


編隊を縦陣に組み直し旋回して、爆撃跡を確認する。


綺麗とはいかないが縦に長いクレーターが街道を塞ぐように大きく抉れ黒い姿を晒している。


暫くすると、サウザントの工兵が集まり、仕上げをするための工事に入るのが確認できた。


「帰投しますわ」


フェリシティは旋回を終わらせるとランツァウ領都に機首を向けた。


「了解!」


今日はこれを、王国軍の進路になりそうな街道全てに行う予定であった。


***


「え、え、え、何これ。降りれない」


午前中に3箇所の街道を封鎖して飛行場へ戻ったところで、上空と滑走路がひしめき合っていた。


「翼の紋章はウィンザーだわ」


「来てくれたのね…でも拙いわ」


管制も誘導も困難になりつつあった。

(こんな状態で急襲を受けたらひとたまりもないわ)


「サウザント工兵による臨時飛行場への誘導もされているみたいですが…」

ミレニアが管制の通信を拾ってくれている。


「スフィアお嬢様。東の街道も使って良いそうです。駐機には気をつけろと」


「…了解?街道?」


東の街道は真っ直ぐで、兵士が通行を規制することで簡易な飛行場として使われ始めたようだった。

こういう方法もあるのね。


***


疾風を街道脇に駐機する。


キャノピーを開け、ゴーグルと飛行帽を外しながら立ち上がると、士官が敬礼しながら向かって来た。


答礼をすると、士官が叫んだ。


「フェリシティ・ド・サウザント嬢、スフィアルィーゼ・アルマリン侯、ミレニア卿。ステファン卿より城に戻って頂きたいとのことです」


私たちは士官の前で顔を見合わせると頷きを返す。


「ランツァウ飛行隊の方々、申し訳ありませんが昼食後引き続き爆撃をお願いします」


「了解致しました!引き続きサウザント工兵隊と連携し継続いたします!

実戦を経験されている御三方と翼を並べられたことはとても良い経験になりました!

ありがとうございました」


私たちより全然年長の男性、たぶん騎士さんたちだとおもうのに、そういって敬礼してくれた。


「こちらこそ練度の高い飛行。参考になりました。またいつか翼を並べましょう」

私たちは、カーテシーで答礼をした。


私たちはランツァウの飛行隊にそういうと、士官の用意した車へと向かった。


***


城の会議室に入ると喧騒に満ちていた。


「な、何かありましたか?」

私は、ステファンを見つけると走り寄った。


「スフィア嬢。作戦中に申し訳ない」


「何があったんですの?」


「…東にも王国軍が集まり始めているのが、偵察機からの報告でわかった」



お読みいただき有難う御座います。

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