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【10000PV突破】令嬢戦記~断罪された侯爵令嬢、妖精とWW2戦闘機で逆転する~  作者: 奏楽雅


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第76話:優秀な女性陣ばかりだね…

「フェリシティお嬢様。ステファン卿とのアポイントの申し入れが受け入れられました」


「わかりましたわ」

フェリシティがそう返すと、領事館の女性職員は部屋を出ていった。


領事館に到着した私たちは、既に手配されていたのか、何のやりとりもなく賓客用の部屋に通されて、疲れ切った身体を休ませていた。


フェリシティが出立前に全ての手配を済ませてくれていたらしい。


「ありがとう。フェリシティ」


「どういたしましてですわ」


「お嬢様。ここまでできるようになって常識をご主張ください」


(うぅぅ)

反論のしようがなかった…


「訪問は明日の午前に決まりましたわ。

今夜は泥と煤を落とし、食事を摂ってゆっくり英気を養いましょう」


心から賛成した。


***


領事館には湯殿は無かったが。別施設に湯浴みの出来るバスタブのお風呂があり。それを順番にいただいた。

もちろんミレニアは一人で入ることを許してくれなかったが……


そこから部屋に戻ったときに、私は驚きが隠せなかった。


部屋の扉を開けて貰い中に入ると、フェリシティと男性がソファーに向かい合って座っていた。


「お帰りなさいスフィア」


「こんばんわ、スフィア嬢」


「………」


「スフィアお嬢様…」


「ご、ごめんなさい…

こんばんわ、ステファン様」


そう、そこにいたのはステファン様だった。


「ピューリッツの戦後交渉以来だね」


「はい」

旅程で来ていたドロドロのレザージャケットにパンツルックでなく、ハウス・ドレスで良かったと胸を撫で下ろす。


「こんな時間に女性の部屋へというのは失礼だと思ったんだけど…」


「ロビーまでいらしていたので、部屋に来ていただきましたわ。

単なる逢引きくらいでこんな真似をされる方でもないのはわかっていますから」


「フェリシティ嬢。相変わらず君は優秀だね、それにとても綺麗に成長された」


フェリシティとステファン様の信頼のある会話…

幼馴染のような気の許せる感じが見て取れる。


胸をおさえる…

あれ、なんだろう…何か苦しい。


「ステファン。褒めるべきは私ではないのではなくて?」

紅くなった、フェリシティ。


「…スフィア嬢」

逡巡したステファン様が私に向き直る。


「は、はい」

私は居住まいを正す。

おかしいところはないかしら?

自分の姿を見下ろす。


「何故ここ(ランツァウ)に来たんだ」


(……)


?


え?


?


「スフィアお嬢様!」


「スフィア!」


え?


あ、え、あ、ああ。


えーと


そう


そうそう


「ランツァウが、ランツァウがたぶん危ない…危ないんです」


息を吸い込むと、唇が震える。


ダメ、心を落ち着けて…


「す、すまない。スフィア嬢。いい方が悪かった。

たのむ、泣かないでくれ」


(泣く?誰が?)


誰か泣いてるの?


フェリシティ?


ミレニア?


順番に顔を見る。


ん?


心配そうな顔を向けられる。


ステファン様が立ち上がり、ハンカチーフを私に差し出した。


?


なんで?


理由がわからないけど、それを受け取り胸元で握りしめる。


「今のランツァウは危険なんだ。

その上、君は今では王国最大の敵になっている。

君は命を狙われているんだ。いつ襲撃されてもおかしくない」


「……」


「君を失うことは耐えられない。

君が婚約破棄され王都にいないことを聞かされたときのような喪失感は…もう味わいたくないんだ」


「ステファン。気持ちはわかるけどいい方が悪すぎますわ」


「すまない、いくらでも謝罪する

だが、出来れば直ぐにでも自領に帰って欲しい」


ハンカチーフを握った手に、冷たいものが落ちる。


何?雨?室内で?


「だから、ステファン。いい方を考えてくださいません?」


そういって、フェリシティは私のもとに来て、握りしめた手からステファン様のハンカチーフを取って私の頬を拭ってくれる。


え?

あ?

泣いてるの私?

婚約破棄をされた時も泣かなかったのに?


「今日ここに来たのも、明日城で会うのは危険だと思ったからだ…

危険なんだよ……今のランツァウは」


「ステファン。

スフィアだって…

そんなことは理解したうえで来てますのよ…たぶん。

追い返すにしても、スフィアの話を聞いてからでも良いのではなくて?」


「……ああ、ああ、そうだね。

その通りだ。

すまない」


「スフィア、貴方も泣いてないでしっかりしなさい。

話すべきことを話しなさい。

そのために来たのでしょう?

ステファンだって、貴方の身を案じるから来ているのよ。

たぶん…貴方も狙われているのでしょう?ステファン」

ステファンは、フェリシティの言葉に驚きの表情を見せる。


「優秀な女性陣ばかりだね…」


「女だからと舐めないでいただきたいわ」


「そうだね、すまない」


フェリシティとミレニアに肩を支えられソファーに着く。

私が落ち着くまで、みんなが言葉もなく待ってくれている。


なんで、なんで私泣いてるのかしら?

そう思うと少し落ち着けた。


「すん…

王国はランツァウを奪うため攻撃を仕掛けてくると思います。

たぶん、そんなに時間がない。

……私のせいです」


私は、そう話し始めた。



お読みいただき有難う御座います。

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