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【10000PV突破】令嬢戦記~断罪された侯爵令嬢、妖精とWW2戦闘機で逆転する~  作者: 奏楽雅


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第73話:貴方は知識というよりも。感覚が少しずれていらっしゃるというか…

窓から差し込む月明かり。


飛行機のエンジン音、整備の音、軍靴の音のない静かな夜だった。


「スフィア」


「?」

涙目な私に、フェリシティは静かに名前を呼んでくる。


ドラゴンでも襲ってきたかのような街の非常警戒も領主であるニール伯爵が来てくれたことで騒ぎは収まった。


そのまま、伯爵のお詫びということで伯爵邸に逗留することになった。


街の有志を集めた簡単な歓迎会でもといわれたが、二つの理由から断った。


先ずはお忍びであること。

…この騒ぎで無駄じゃないの?はフェリシティのことば。

次に中立の領主が、反体制軍の中心人物を歓迎するのに問題があるのではという点だった。



「実際、この旅にどんな意味が有りますの?」


「それは…」


リリスラー戦の前に私が思いついてしまった王国の…いえ、ソニアリシルの考え。


思い過ごしと何度も自分にいい聞かせたが、どうしても拭うことはできなかった。


リリスラー戦に勝利したことで、その思いはより強くなっていた。


「ランツァウ公爵家が攻め込まれるのですね」

フェリシティが、言葉の詰まった私を見てそういった。


「えええなんで?」


話したこともないことを言い当てられてしまった。


「貴方の顔に書いてありますわ」

私は、両手で顔を隠した。


「スフィアお嬢様…』

ミレニアに呆れられる。


「……これは、私の想像、予感でしかないわ。だから、この戦時下誰も巻き込みたくなかった」


「別にいいですわよ、私は貴方との旅行のつもりでついて来ているだけですから」


「私は、スフィアお嬢様の身の回りのお世話が仕事でもあり生きがいですので」


なんだろう、凄く嬉しい言葉ばかりが返ってくる。


「明日中にはランツァウ公爵領に入れる予定です」


「旅は楽しいですが、泥だらけと、お尻の痛さはいただけませんので丁度いいですわ…」


フェリシティはそこで一旦言葉を切ると、私を覗き込んできた。


「な、なに?」


「ランツァウといえばステファン様よね?」


「え、え、え?ランツァウ=ステファンみたいないい方だけど。それが常識だったりするの?」


フェリシティとミレニアが困った子を見るような目をする。


(な、なによぅ)


「お嬢様。フェリシティ様はお嬢様がステファン様をどう思っているかをお聞きになっていらしゃいます」


「え?そうなの?

ど、どう思うって…ステファン様は学校時代の同級生で生徒会の仲間でとても良くしていただいたわ」


「ふむふむ、で?」


「で?」

(「で」とはなんでしょう?)


「お嬢様。フェリシティ様はお嬢様がステファン様に好意を抱いているかどうかをお聞きになっていらしゃいます」


「え?そうなの?

好意を抱く?」


好意を抱く=好きか?

………


「めめめめめ滅相もない…ステファン様は公爵嫡男ですよ!」


「あら貴方だって侯爵令嬢じゃない」


「侯爵と公爵には大きな開きがあります。騎士爵と伯爵くらい差があるんじゃないですか?」


フェリシティに怪訝な顔をされる。


「貴方おかしなことをいうわね。私も公爵令嬢だし。そもそも貴方はこの国の王子と婚約してたのでしょう?それに学校に通う貴族令嬢など爵位関係なく良い殿方探しをしているのではなくて」


「え……?」


(あれ?)

王子との婚約は8歳のときで、あまり深く考えることもなく受け入れていたような……


そういえば、婚約者のいない令嬢はよく王子やステファン様の周りに来られていたような……


ああ

なるほど…


「あのときの令嬢たちは王子やステファン様に見初められるために…」


何を今さらという顔で、フェリシティもミレニアもみている。


「ミレニアさん、この方どうなってますの?」


「申し訳ございません。何というか子供のまま育ってしまいまして…」


「し、失礼ね私王妃教育でちゃんと色々学んでます。殿方の立て方とか…夜のこととか…」

顔が熱くなる。


「スフィア。貴方は知識というよりも。感覚が少しずれていらっしゃるというか…

貴方まだ人を好きになったことがないんじゃなくて?」


「え?好き?」

はて?好きとは?


「やっぱり」


「私だって好きになったことはあるわ?」


「なんで語尾が疑問なんですの?

王子のことはどうだったの」


「今聞かれるのもモヤモヤするけど、好きでした」


「アルマリン候のことは?」


「お父様?もちろん好きよ」


「私やミレニアさんは?」


「好きに決まってるじゃない」


何?二人で顔を見合わせて…


「ジュリアンさんは?」


「幼馴染だもの仲が良いわ」


「ルーシャン卿は?」


「物静かで素敵な方よ」


「エリオット様」


「大人よねいい人だわ」


だから何?二人で顔を見合わせて…


「…じゃあステファン様は?」


「え、す、すき……素敵な人よ」


なんで、二人して胸を撫で下ろしているのよ。


「スフィア。顔が赤いわよ」


!



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