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【10000PV突破】令嬢戦記~断罪された侯爵令嬢、妖精とWW2戦闘機で逆転する~  作者: 奏楽雅


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第72話:心配はそっち?

「リリスラー領が落ちただと?」


「半日?半日だと信じられん」


「正確な情報を集めろ!」


ブライドル王国、軍事運用部門の軍令部は騒然となっていた。


「どういうことなんだ…」


逆に作戦立案の参謀本部は言葉が少なかった。


「アルマリンに空母が有るのは知っていたが…」


参謀本部の空母の評価は、移動する飛行場くらいの認識であった。

攻撃能力は戦闘機に依存するため、陸上の飛行場で十分対応出来ると結論づけていた 。


しかし、戦場から戻った戦闘機隊隊長の報告は参謀本部をお通夜にするに十分だった。


「山を吹き飛ばし、カルデラ湖の水で津波、洪水をつくり、リリスラー軍を水中に没したなど…」


「まるで神話の話だな」


「元王妃候補スフィアルィーゼは神か魔王だったのか?」


室内に沈黙が落ちる。


現実主義の参謀たちが、思考を停止してしまう。


「このままでは勝てないぞ…」


「ソニアリシル王妃殿下はなんといわれている?」


「「だから、アルマリンの確保は最優先といったはずです」と」


「ソニアリシル王妃殿下は全て知っておられたのか?」


「そして「ランツァウ領を確保しなさい」とおっしゃられました」


「しかしランツァウ領は陛下の許可が下りないぞ、それにランツァウに何があるというんだ」


「他にもこれを…」

そういって王国の地図を広げる。


地図には幾つかの赤いバツ印がつけられていた。


「これは」


「「陸上兵器は対等にしましょう」と…」


◇◇◇


リリスラー子爵領を版図に加えた後、王国軍の攻勢が現在は止んでいる。


旧リリスラー軍…現アルマリン軍、ウィンザー軍、サウザント軍、リッツ軍は統合して再編成が行われ。


サウザント公爵は好機と捉えて、東部の王国と接した前線を押し上げていた。


「んー

なんか王国はわざと前線を下げてる気がしないでもないのよね」


ガタン ガタン ガタ


「なんのためにそんなんことをする必要がありますの?」


ガタ ガタ


「何か、待ってるんじゃないかな」


「待つ?」


「うん、兵器を」


「兵器ィーー!」

ウワァアアウン

   ドスン

  ガタ ガタガタ ガタ


「スフィアお嬢様も、フェリシティ様も、話していると舌を噛みますよ」


「ムー」フェリシティが口元を押さえている。

噛んだようだった。

うう、私まで痛い気がする。


陸王VFD1200側車付き92式機関銃装備。

横に人が乗れるタイヤ付きの箱をつけた二輪車。


ミレニアの運転で、私は荷台、フェリシティは側車に乗って爆走している。


私は懸念事項を解消したくて、今のタイミングで一時戦線を離れることにした。


何よりサウザント領の一部が、中立貴族連合の境界に接したのが大きい。


中立貴族連合とは、一貴族が中立を訴えたところで認められる訳もないため。ランツァウ公爵家を中心にして集まった貴族連合だった。


これでランツァウ公爵領まで地続き…王国領を通らず…に行けるようになった。


「ところでフェリシティ。私について来て良かったの?ミレニアもだけど」


「「放っておけません」わ!」

声を揃えられた。


「貴女を放っておくと帰ってきたときには、婚約や結婚させられてたりしてそうですわ」


「え、心配はそっち?」


「スフィアお嬢様は無防備過ぎます!」


「でも、女の子だけの三人旅って危険よ」

この時代女の子の三人旅ってどうなんだろうと考えなくもない。


「一人で行こうとしたお嬢様がそれをいう資格はありません」


「だいたい、一人で何が出来ると思いましたの?自分の身分も証明できませんわよ」


「お嬢様はもう少し常識を持って下さい」


「…私、常識はあると思うわ」


「「……」」


「なんで黙るのよ!」


「お嬢様、今夜はニール伯爵領で宿泊に致します。

思ったより進めませんでした」


「わかったわ。任せます」


ニール伯爵領領都に入ったときには既に日が落ちていた。


中立領とはいえ、周り中が戦争状態。

城塞都市ではないが街道は三人の衛兵によって封鎖されていた。


そんなときは、貴族の紋章入りのシグネットリング(紋章指輪)が身分証になる。


「私だって知ってるんだから」

そうミレニアたちにいって衛兵に見せる。

「スフィアルィーゼ・アルマリンです。ランツァウ領へ向かっております」


衛兵が、私の姿や陸王を見て首を傾げる。


「………」

見つめ合う、私と衛兵。


なんか、ジロジロと見られる。


(き、貴族令嬢に失礼だと思うわ)


そこで、ふと自分の姿に思いいたる。


長時間のバイク旅、服はおろか頬っぺたから何から何まで泥だらけの煤だらけ。顔の泥は乾いてひび割れている。ゴーグルをしていた目の周りだけが白く残っている姿。


誰が貴族令嬢だと思うだろうか…

私なら思わない。


私と衛兵はダラダラと汗を流し始めた。


衛兵にしても貴族には見えないが、こんな物に乗って自信満々に指輪を見せる相手。追い払った後で本者でしたでは、物理的に首が飛ぶ。


私も、信じて貰えるか自信がない。




「もう!何してますの!」


「サウザント公爵からの私たちに関する身分と通行に関する書状です」


「失礼ですが、貴女は?」

「フェリシティ・ド・サウザントですわ」


「サウザント公爵令嬢!

失礼いたしました

そ、そ、そ、そそれでは、こちらのご令嬢は…

アルマリンの魔王!」


「魔王?え!」


   どすん


衛兵が尻もちをつく。


カンカンカンカン


物見の塔から、敵に攻められたり緊急事態を知らせる鐘が鳴り響く。


「え、え、え。何事なの」


「お嬢様……」


「え、私のせいなの?なんで」



お読みいただき有難う御座います。

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