表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令嬢戦記~断罪された侯爵令嬢、妖精戦闘機で天翔けて逆転する~  作者: 奏楽雅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/71

第60話:ソニアリシルがいるからです

あの姿はまさか…


「スフィアどうしましたの?」

「スフィア様?」


私は走り出していた。


学生時代の最大の心残り。


私の親友…


「ミランダ様!」


フワッとした赤毛のメイドは、来訪する貴族の案内役ガイド・アッシャーの一人として立っていた。


声を掛けた私に、気づいてくれたのか私を見ると、目を見開いて驚きの顔を見せたあと悲しい表情になった。


「ミランダ様?」


「ごめんなさい」と近くの案内役に言い残すと、ミランダ様は屋敷の中に駆けて行ってしまった。


(え、ど、どうしたの?)


「お嬢様。私がご案内させて頂きます」

年配の案内役が私にお辞儀していた。


「スフィア様…」

「いったい、どうしたんですの?」

ミレニアとフェリシティが横に立って心配そうにしていた。


「彼女は親友なのです。学校でずっと一緒だったのです」

二人にそう言うと


「申し訳ありません、彼女のことを、ミランダのことを教えてください」

私は、案内役のメイドに深々と頭を下げていた。


「スフィア様」


「ちょっとスフィア!」


入り口付近のことだ、騒ぎになって伝播してしまった。


「何だ、どこぞの令嬢方がメイドに頭を下げているぞ」

「あれは、サウザントの姫君フェリシティ様ではないのか」

「実際頭を下げられたのは、アルマリンのスフィアルィーゼ嬢ではないか」

「戦姫の?」

「ノース公の4万の軍勢を一蹴したという」

「一キロ先の敵機の尾翼を狙って撃ち抜くそうだぞ」

「なんだそれは、神か悪魔か…」

「女神?」

「悪魔姫?」


「お、お、おおおおおお、お止めください、頭をお上げください」


案内役のメイドさんが悲鳴を上げられてしまったし、あのフェリシティ嬢すら人々の視線に一歩引かれている。


***


「…昨年夏前でしたか、不明瞭な理由でご実家の家門が没収お取り潰しとなられたみたいで…

それ以来、こちらで働かれております」


時期的に、学園を去られた時期だわ…


「何方なのですか?」


「ミランダ子爵令嬢。私の学校時代の親友です、入学時からダイアナ嬢とともに親友でした」


「何かおありになられたのですか?スフィア様」


「私のために、ソニアリシル嬢に抗議をして下さったのですが…」


「ソニア…今の王妃ですわね」


「はい、抗議して下さった翌日に突然学校から去られたのです」


「去った?」

フェリシティもミレニアも顔を見合わせて怪訝な表情を浮かべる。


「はい、そう先生には聞かされました」

(ずっと胸につかえていた、悲しい引っ掛かり)

その彼女が、ここにいる。


家門没収、取り潰しって何?

何が起こったの?


「如何されました、スフィア候」

「子爵…」

リッツ子爵は今日のため、昨日のうちにこちらに移動されていた。


「申し訳ありません、子爵にお願いが…」


***


人数が多ければ多いほど会議とは決まらないものらしい。


会議は紛糾した。


「まあ、予想通りだよ」

別室での休憩中、ウィンザー公がそう言う。


「最終的にはトップで決めることになるんだ。参加した。意見を述べた。が彼奴には大事なんだ」

とサウザント公。

(時間の無駄より、見栄が何より大事らしい)


サウザント公とは、何度か王城でお会いしている。普段は温和そうだが、お怒りになると手がつけられないと聞き及んでいる。

流石はフェリシティ嬢のお父様ということなのかな。


「さて、君のことだ、発言を求められない限り、どうせ自分からは発言はしないだろう。だから、今聞くよどんな考えを持っている?」

ウィンザー公の突然の切り出しに驚いてしまう。

サウザント公を見ても興味深そうに見ている。


「ではお言葉に甘えまして…まず、退位させられた陛下を救出したいと思います」


「だが、陛下の所在は秘匿され不明だよ」

ウィンザー公が私の発言に腕を組む。


「あくまで予感で申し訳ないのですが、陛下は王都からそう離れていない場所にいらっしゃる気がします」


「ほう、何故だい?」


「フランツ王子の性格です」

公爵二人は私を見る。


「各公爵は新王ではなく、旧陛下による統治を望んで今の状態に入りましたよね」


「新王のやり方は異常に見えたからな、国内に理由もなく派兵など許せるものではない」

他国に対してだってやってはダメですよ…と思うのだけど。今は置いておきます。


「そのため、陛下の救出が行動目的に入っています」


公爵二人は頷く。


「心配性の、フランツ…新王は陛下を目の届くところで軟禁していると思います」


私は一拍置くと続ける。


「王城から何らかの、定期的に近い形で、人の流れがあると思われます、公爵の王都にいる連絡員に見張って貰えないでしょうか」


「ほう、知っていたのか?王都にいるものを」


「いえ、予想だけです」


「なるほどな、面白いお嬢さんだ」


「陛下に関しては、序盤の今しか助け出せるチャンスがないと思っています」


「それは、どうして?」


「ソニア、ソニアリシルがいるからです」


「「?」」


「確証はないのですが…このアルマリン進攻、王位簒奪全て彼女の掌の上のような気がしています」


「王妃が?」


「それと、サウザント公。お願いがあります」


***


会議は恙無く何事も決まらずに終わった。

(決まらないことが予定通りなんて、もう)


結局、トップ持ち帰りで、決定事項だけが通達される運びになるそうだ。


多くの貴族が、子爵領に留まり明日帰る予定で山間の街が賑やかに彩られている。


「夜間飛行は危険だからね、近場の貴族は帰るけど、殆んどが朝ここを出る予定だよ」


その近場の貴族の離陸を見ていると、リッツ子爵がやってきて説明してくれた。


子爵の横には、ミランダ子爵令嬢が立っていた。

戸惑いと悲しみと喜びと怒りとを混ぜ合わせたような表情をして…


私は、子爵に、ミランダに会いたいとお願いしてしまった。


それは、ミランダがどう思うかを考える余裕もなく、兎に角会いたくて仕方がなかった。


私は、一歩。ミランダに近づくと、涙が止まらなくなり蹲ってしまった。


「な、なんで。なんでスフィア様が泣くんですか!」


「ごめんなさい、ごめんなさい」

彼女は私のために行動し、負わなくてよい悲しみを被った親友。


私が行動しなかったことで最初に大きな大きな傷を負った最初の被害者。


どれだけ償っても償いきれない……


「泣かないでください、お願いスフィア様」

ミランダが私を抱きしめて、泣いているのが伝わる。


リッツ子爵が静かに離れていく気配とともに、遠くで見ていたらしいミレニアとフェリシティが私とミランダの肩に手を置いてくれた気配がする。


山合に陽が隠れ、暗くなるまで私が泣き止むのをみんなが待ってくれた。


お読みいただき有難う御座います。

評価・ブックマーク・感想・レビューなどアクション頂けると励みになります。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ