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令嬢戦記~断罪された侯爵令嬢、妖精戦闘機で天翔けて逆転する~  作者: 奏楽雅


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第56話:私とは気品が違うわ

私とシルヴィ、J7W1は、キ64を追いかけるように離陸した。


高度2000迄は追いつくどころか引き離されたが、速度の乗ったシルヴィは、高度5000で追い抜くことが出来た。


抜くときに操縦席のフェリシティ嬢が腕を振り上げ怒ってた気がする。

(怒りポイントがプラスされていないことを願うわ)

私は左手で顔を覆った。



高度6000で水平飛行に移行すると

「フェリシティ様、スフィアルイーゼ様、ルールは背後について、射撃可能な位置を5秒維持すれば1ポイントになります。よりポイントが多いほうが勝ちです」

ミレニアから、通信が入った。


「わかったわ」

「はい」

フェリシティ嬢と私は同時に返事した。


「それでは、それぞれ反対方向に向かい反転し、ヘッドオンから交差して試合に入ってください」


「ふふふ。行きますわよ、スフィアルィーゼ!」

「…お手柔らかに…」

フェリシティ嬢の叫びに、情けない私の声が続いた。


背を向けて、飛行を開始する。

お互いに速度を出しながらの右旋回を開始する。

空には8の字の軌跡が描かれている事でしょう。


『この感じだとお互い時速600キロで交差する感じね』

「うん」

『相対速度は音速になるわ、一瞬だから接触に気を付けて。』

「ええ!」


豆粒だったフェリシティ嬢のキ64が、3秒後には目の前から真横を通り過ぎた。


   ――ドン!


爆発のような激しい衝撃がシルヴィを揺さぶる。


「キャーー」


『キ64が切り裂いた狂乱気流を、ダイレクトにプロペラが吸い込んだわ!』


規則正しかった後方のギロギロという低音が、ギャリギャリ、バラバラバラッ言っている。


「舵が効かないわ!」


必死に直進を維持するように、操舵を続けるとギロギロが戻ってきた。


後方を見ると、フェリシティ嬢のキ64は衝撃の影響か、わずかに高度を少し落としているようだった。


私は、右斜め下までロールし、そのまま斜めに下方宙返り。身体が押し付けられる。下腹部と脚に力を込めて意識が飛ぶのを耐える。


フェリシティ嬢に機首を合わせると。フェリシティ嬢は緩やかに上昇を始めていた。


「く、速いわ」

追いかけるが、引き離される。


「この距離でも背後判定してくれないかな」

『2キロも離れてては無理だと思うわ』


フェリシティ嬢が右斜め上に宙返りを始めた。


『まずいわね』


私は左斜めに上昇を開始することにした。


『高度有利が向こうだわ』


「そうね」


と言い右斜め上に舵を変える。


少しだけ、フェリシティ嬢の宙返りの内側に向けて。


『だめ!』


フェリシティ嬢は頂点を超え下降に入った段階で、頭上を通り過ぎていく。私はフライトパス・オーバーシュートしてしまっていた。


速度も失った私に、斜め下方宙返りに繋げて機首を私に向けたフェリシティ嬢が迫る、背面から降下に移るが、機首上げから機首を捻じり込んで降下に移ったフェリシティ嬢に後ろを取られる形になってしまった。


「まだ距離はあるわ」


しかし、右へ左へと機体を振るが躱せない。


「フェリシティ様の1ポイントとします。」

ミレニアの声が響いた。


「そんな…」


「ふふふふふふ。笑いが止まりませんわスフィアルィーゼ!」


『まだ1ポイントよ!』


「第2回目開始して下さい」

ミレニアが二回目を告げる。


私とフェリシティ嬢は、そのままブレイクして、大きな旋回に入った。


「ねえシルヴィ、あの機体、シルヴィより速くない?」


『そ、そんなことないわ!

彼女はエンジンを二個操縦席の前後に置いたマッスルレディなのよ、翼面冷却という冷却方法でエンジンを冷やすキテレツなのよ。私とは気品が違うわ』


(えと、何を比べた評価なのそれ?)


再度の時速600キロでの交差。


私も、フェリシティ嬢も同じく上昇に入った。


高度8000そこからの勢いはシルヴィーが完全に上回った。


『ほら見なさい』

(フフ)

勝ち誇るシルヴィに笑いがこぼれる。


更に上昇旋回し完全に、フェリシティ嬢の上を取る。


フェリシティ嬢はそれを嫌って逸れる機動を取るが、私がそれを上から追いかける。


「やったわ」


上手く背後につく事ができた。

左右に機体を振るフェリシティ嬢も逃さない。


「何!」


フェリシティ嬢は、一瞬機首を上げたかと思うと、そのままトンネルの周りを内側を沿うような機動をとった。


『バレルロールよ!』


「どうすればいいのよ、これ」


私も同じことをしてみる。


『あああ、意味ないから…追うときにしても』


フェリシティ嬢の機体は綺麗に中心を避けて回転する軌跡を見せるが、私とシルヴィの機動は今一歪だし、ときたまプロペラが空気を掴めなくなるみたいで、音が変わる。


「くう…後ろが滑るぅぅぅ」


そのままフェリシティ嬢は離脱し、私は背後につかれてしまった。


「フェリシティ様。1ポイントプラスです。」

無情なミレニアの声が響いた。


お読みいただき有難う御座います。

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