表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令嬢戦記~断罪された侯爵令嬢、妖精戦闘機で天翔けて逆転する~  作者: 奏楽雅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/54

第48話:800キロ爆弾です

地平線が白み始めた。


どこまでも地平線で、どこが領境かもわからない。

風化した境界石が立てられ、それが領境を示していた。

このような土地は同じ国に所属する貴族同士でも諍いが起きやすく、有効に利用できない場所。


そこに両軍は対峙していた。


王国・ノース連合軍4万、ピューリッツ子爵軍4000。


兵力差は10倍。


質においても、子爵軍は王国国境に展開するウィンザー連合軍に主戦力を派兵していて、掻き集められた兵は農民と市民の集団であった。


しかも、力勝負となる平野…


指揮官は瞑目していた…


各地で招集された兵士もここを目指し、ウィンザー軍も来てくれる予定だが、とうてい間に合いはしない…


当然だが悲壮感が軍内には満ちていた。


「前線を下げて遅滞戦にしませんか?」


「今日明日で、兵力が勝るなら意味があるが、現状では戦うか撤退かしか手は残ってないだろう…」


ヴァァァァヴァヴァァァァァン…

  ヴァァァァヴァヴァァァァァン…

 ヴァァァァヴァヴァァァァァン…


空を翔けていく、戦闘機が見える。


「唯一駆けつけてくれた彼らに逃げる姿は晒したくないな」


空には、高高度と低高度に分かれて100機近いアルマリン紋章の戦闘機が、王国・ノース連合軍に睨みを効かせていた。


◇◇◇


「時間だ、進軍を開始せよ!」


伝令の馬が全歩兵部隊へと散っていく。

王国・ノース連合軍が、甲冑を身に纏った王国将軍の命令によって進軍を開始する。


「五月蝿いトンボが飛び回ってますね」

ピューリッツが布陣する空を見上げ、部下が将軍に声を掛ける。


「どんなに航空兵力があろうと関係ない」

将軍は鼻で笑うように、いや実際に笑っていた。


「既に我軍の勝利は決まっている。領境を超えれば、敵は降伏する。全ては計画通りだ」

既にピューリッツ領都に配した特殊部隊…傭兵から昨日準備万端と連絡は受けていた


「こんな楽な戦争は、人類史上初めてでしょう」


「歴史に残るかもしれんな」


「普通に戦っても勝てる、踏み潰せる戦力差ですからね」


「まあ、ウィンザー公との戦いの序盤戦だからな、兵力は傷つけたくない」


パァーン

  パァーン

 パァーン パァーン

パァーン


距離400メートルにて、三八式歩兵銃部隊50名による射撃が開始される。

「一斉射のみだ。

こんな序盤で貴重な弾を浪費するわけにはいかないからな。怯ませれば良い」


「敵が隊列を下げていきます」


「ピューリッツ子爵軍よ、できるだけ生き残ってくれよ。直ぐにお前らを我軍に組み込んでやるからな」

将軍は戦闘中にもかかわらず、とても機嫌が良かった。


実際、王国・ノース連合軍は戦場を散歩するかのごとく悠然と歩を進めている。


どうやら、上空の戦闘機は領境を越えるまでは攻撃の意思が無いように見えた。


「領境を越えれば全て終わりなのに、馬鹿な奴らだ」


「あと100メートルです」


ピューリッツ軍はこちらの進行速度に合わせ後退を行っているように見える。

まあ、あたり前だ、この地形で10倍の戦力にどう抗えるというのか。


「あと20メートル!」


将軍は口角をあげ、笑いを堪えるのに必死だった。


「あと5メートル」


「ゼロ!越えました!」


「ハハハハハ!勝った…ぁぁああ」


その時、視界に映る兵士たちが光に飲み込まれた。

「なぁんだぁあ?」

将軍は自分の声がスローモーションのように思えた。


ズゥゥウウゥゥウゥゥゥゥゥゥゥウゥゥウゥゥゥゥゥン!


将軍は音のした後方に振り返る。

そこには火の柱が立ち上り、その後に大地から舞い上がった土砂が巨大な黒いカーテンとなって空を覆い隠すのを見た。


「うううぅぅぅぅううううわああああぁぁぁぁっぁ」

地面が波打ち…


バリバリバリ!バリバリバリバリバリバリ!という空気が震える音がした。

吹き付ける熱い風が頬を焼き、土砂が嵐のように襲ってくる。


後方から通り過ぎた熱風が今度は前から襲ってきた。


馬は嘶き、騎士を置き去りに駆け回り、兵士は立っていられず倒れるか吹き飛ばされていた。


また、閃光が横手で光ると、火柱が立ち上り黒いカーテンと風が、隊列をずたずたにしていく。


「な、なにがおこっている?」


部下は頭を抱え蹲り、四つん這いで逃げ惑う兵士が見える。


「な、なんだこれは…」


再度、光が瞬く。


風が唸り、風と風がぶつかり、地面は揺れ続ける。


「お、おぃ。な…フ、フフフフ」


土砂の中、誰がどこにいるのかもわからない、精強な軍の兵士が怯え、悲鳴を上げ、祈りをあげている。


空には自分たちを囲うように覆いかぶさる白い雲が空に立ち上っていた。


王国・ノース連合軍は、一瞬のうちに敗北をした。


◇◇◇


「ミ、ミレニア?何これ…」


私は、子爵を伴い領境の戦場まで来ていた。近隣の野戦飛行場まで飛び、飛行場の九七式四輪正式貨車で到着したばかりだ。



「800キロ爆弾です。B6N天山に懸架した爆弾を投下いたしました。

三発ほど…」


子爵も、エリオットも言葉を無くし口を開けている…


かく言う私も似たようなものだった。


「し、子爵ご命令を、今なら敵を降伏させられます」

私は、子爵を見るとそう言って促した。


「あ、あぁ。そ、そうだね…行ってくる」


「怖い時代になったね…」


エリオット様が私にそう言った。


「今回は敵に当てず、一キロ離れた場所で爆発させました…

ですが、直接当てていたら…」

私は自分の手で身体を抱いていた。


「君なら大丈夫だと思っているよ」

そう言ってエリオット様は私に笑いかける。


「ありがとうございます。エリオット・ピューリッツ様」


お読みいただき有難う御座います。

少しでも面白いと思っていただけたら、どうか★をお願いいたします。

作者が折れないため是非ご協力ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ