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令嬢戦記~断罪された侯爵令嬢、妖精戦闘機で天翔けて逆転する~  作者: 奏楽雅


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第46話:お仕置きです

ピューリッツの領都は、湖の西に興された街で、その湖は南北に走る川の通過湖で南北に長い大きな湖だった。


湖を挟んだ反対側には飛行場があり、西と南は平野で農業や牧畜が行われ、北は豊かな森が近づいている。


深更。私たちは領都近郊に来ていた。


「エリオット様、本当に宜しいのですか、根拠の無い私の想像ですよ」


「どうしたんだ怖くなったのか?」

(それはそうです、私の考えで人が命を懸けるのだから…)


「私は貴方の考えに賛同する。責任は全て私がもつ」

エリオット様は優しくそう言って微笑んだ。


「責任とかそういうことでは…」

(私の命が責任でいいなら幾らでも差し出す。でも、それで死んだ人が戻るわけではないから…)


「時間だ、決行しよう」


エリオット様が走り出すと、総勢五十人が続いて走り出す。私もそれに続いた。


◇◇◇


「隊長!でっかい何かが来ます!」

執務室で仮眠を取っていた黒ずくめの下に、別の黒ずくめが扉を開けて、大声で飛び込んできた。

隊長と呼ばれた男はゆっくり瞼を開けて起き上がりると。横手のバルコニーに続く窓を開けた。


日の出か!男はそう思った。


まるで、夜が明けたかのような巨大な光の塊がこちらに向かって迫っていた。


「なんだ!これは!一体何が起こっている!」


バルコニーに飛び出ると、手すりに捕まって叫んだ。


「何故警報も何も鳴らない!高射砲は!対空砲は何をしている!」


「飛行場、司令部が沈黙しています!」


「直ぐにここの警備を固めろ!飛行場の情報も集めるんだ!人質が生命線になるぞ!」


パァン!

  カァン!

隊長は頭を低くする。

銃声だ。

「まさか、既に囲まれているのか!」


◇◇◇


「たぶん、敵は領主館と飛行場の二箇所だけを押さえているはずです」


「人数が少ないからな」


「ミレニアの見積もりは一機40人、ニ機で80人でしたが、倍はいると考えて行動しましょう」


「不測の事態をなくすためにも良いと思う」


「その場合、最大80人がそれぞれいるとします。

たぶんピューリッツ近衛騎士も兵士も、子爵を人質に取られては反抗もできず飛行場に拘束されていると思います」


「領都から離れている方が都合がいいだろうからな」

(一番の心配は、殺されていることだけど、私もエリオットも口にしない)


◇◇◇


「こちらミスティ、翔鶴聞こえますか」


「翔鶴です、報告どうぞ」

ビンセントが直接マイクを握ったようだ。


「司令部は掌握しました」

「被害は?」


「軽症ニ、中傷一です。奇襲成功です」


翔鶴は全艦消灯して、湖の南端に近づくと、高度350メートルで積載艇4隻を順に投下した。纏めた三つの落下傘が花開き艦載艇を一隻ずつ湖上に浮かべる。着水とともに爆発ボルトにより離されたパラシュートを置き去りにして、積載艇はミスティたちを運んだ。


「まさか、湖から来るとは思っていなかったのでしょう、ミスティ良くやってくれた」


背後を突かれた、黒ずくめの部隊は脆かった。ゲートや空には注意を払ったが逆に湖側は想定の範囲外。空を見ていて足下から攻撃を受けたようなものだった。


「奴らは空から、私たちは湖から。

見事な作戦です…お嬢様」

ミスティがこの場にいないスフィアを珍しく褒める。


「ピューリッツの騎士や兵士はどうですか?」


「ほぼ、無事のようです。現場指揮官に再編成をお願いしています」


「人数が多かったのが幸いしたんでしょう。良かった。」

少人数では、無抵抗な相手とはいえ多人数を殺すことはできない。時間的にもリスクマネージメント的に抑えきれなくなるからだ。黒ずくめとしても無力化しただけのほうが安全だった。


「翔鶴。最大戦速!地上からの攻撃はない急げ!お嬢様の援護だ!」

ビンセントが吠えた。


まだ、飛行機が稀なため、有用性も見いだせていない高射砲や対空砲を持っている貴族は少ない。

ピューリッツも空港に高射砲2門、対空砲6門が整備されたばかりだった。


対空火器の心配がなくなった、翔鶴は全照灯に切り替え領都へと舵を切った。


◇◇◇


「ミレニア副長。領主館包囲を完了しました」


積載艇の半分は、領都側に上陸をしていた。夜陰に紛れて領主館を包囲する作戦だった。


「散発的に発砲してください。逃げ道がないようにしてください。それで人質に手は出せなくなります」


「ミスティ様が、応援に来たら正面を押さえます。良いですかみんな怪我しないようにしてください。スフィアお嬢様が悲しみます」

ミレニアは夜に浮かぶ領主館を眺め見た。


「まったく、こんな作戦考えておきながらなんで一番危険な場所に行くのか…後でミスティ様と一緒にお仕置きです……怪我しないでくださいよ」


◇◇◇


「正面に敵多数です!」


「応戦しろ。朝が来れば。王国・ノース連合軍が領境を超える。そうすればピューリッツ軍を降伏させて俺たちの勝ちだ!」


隊長は人質を見る。

最後の手札だ、だがカードを切ることが出来なくなった。

下手に人質に手を出せば、ピューリッツ軍を降伏させることも出来なくなるし。敵がなだれ込んで自分たちの命もない。


完全に孤立だ…


「王国・ノース連合軍に連絡できるか?」

「飛行場の施設でないと無理です!」

「クソ!」


お読みいただき有難う御座います。

少しでも面白いと思っていただけたら、どうか★をお願いいたします。

作者が折れないため是非ご協力ください。

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