世の中には色んな人がいるよねって話
優しい優しいおばあちゃまがテレビを観て言いました。
「動物を殺すなんて可哀想。自分の子供が同じ目にあったらどう思うのかしら」
やぁね、おばあちゃま。
今日の夕食は鶏肉の唐揚げとほっけの塩焼きだったでしょう?
美味しい美味しいと言っていたじゃない。
「私はね、可哀想だと思うから食べるの。だって人間が殺したものは食べないと可哀想じゃない」
あらあら。
おばあちゃまはとっても優しいのね。
そんな優しいおばあちゃまが心を痛めてまで食事をするなんて申し訳ないから今度から肉は買ってこなくても大丈夫よ?
そんなことを言ったって次の日には肉やら魚やらを沢山買ってくる。
ほら、美味しそうでしょう?なんて言いながら。
「これ生きているみたいなの。私は殺したくないからあなたが殺してくれない?」
そう言って冷凍の帆立を見せてくる。
優しいおばあちゃまはその手を汚したくないらしい。
「人間は自分勝手よね。熊を射殺するなんて。誘導して逃せばいいのに。私は優しいからきっと可哀想に思ってご飯をあげるわ」
そう言ってテレビの中の人を批判する。
優しいおばあちゃまはその熊によって人が亡くなった事実が見えていないらしい。
もし、もしね?
この家の近くに熊が出て、私が殺されたらどう思う?
同じことが言える?
そう諭すように言えばおばあちゃまは顔を顰めた。
「そうなる前に山に帰るよう誘導するわよ」
その誘導は誰がするの?
「それは市の役員に決まっているでしょう?高い給料を貰っているんだから」
お金で価値を計るおばあちゃま。
お金を貰っている人は苦労すべきって考え方、少し怖いわ。
夜、おばあちゃまが急に針占いを始めた。
全く当たらないその占いで涙ながらに占う。
「私はいつ死にますか?早く死にたいのです」
私に聞こえるようにそう言うおばあちゃま。
けれど自殺は嫌なんだって。
病気で死にたいんだって。
「90前には死ぬでしょう?病気になるでしょう?もう疲れたんです」
優しいおばあちゃまはきっと、私が言ったことを間に受けて傷ついているのでしょう。
動物が殺される場面を見て嘆くから現実を。
熊が殺されるのを見て怒るから問いただけ。
それだけでおばあちゃまは傷ついてしまったらしい。
そうね、私が意地悪だったわ。




