秋のぬいぬい。宿命。吉備団子。オッケー。
《いつか君に届くまで。》 8話。
秋。葉隠学園、ぬいぬい部。
3年生、部長の
吉備津彦命は、
不器用ながらも、熱心にぬいぬいを致す、
柳生新左衛門宗厳(やぎゅう しんざえもん むね
よし)。
に声をかけた。
『ヤギューちゃん。そろそろ休憩しよっか。』
『あ。はい。ミコト先輩。』
ぬいぬいに熱中するあまり、
凝り固まった背中、肩、首、目。
柳生新左衛門宗厳(やぎゅう しんざえもん むね
よし)。
は、立ち上がり、うーんと背中を伸ばした。
武士の所作が美しい。
『やれやれ。手元の作業にあまりにも熱中するあまりに、あまりにも。前傾姿勢。昨今、問題視されているストレートネック、またはスマホ首。そういったものには注意した方がいいぜ。お前の事が好き。伝われ、この想い。やれやれ。湯船で体を温めたのち、就寝前にはストレッチをおすすめします。寝る前のお前は、リラックスした姿、形なのだろうか。想像するだけで、好きが溢れでてしまう。もう隠せない、隠すつもりもない。やれやれ。どうしよう。
お前、ほんと、不器用だな。そんなとこ好き。』
と、クールにやれやれしたのは、
ぬいぬいする姿がクールでとてもイケてる。
魚みてえな細く美しい指。
伊藤一刀斎景久(いとういっとうさいかげひさ
)。
であった。
『もー。うるさいな。不器用とか言わないでよ』
柳生新左衛門宗厳(やぎゅう しんざえもん むね
よし)。
は、ほっぺを、ぷくりとふくらませ、
不満を表明、しかし、そこまでの本気度は無い。
をしてみせた。
『ははは。本当の事だろ。やれやれ。お前は、子供の頃から不器用。それは運命。それを血の滲むような修行、決して諦めない折れない強靭な精神。不屈の魂で、剣聖と呼ばれるまでに成った。大好き。窓の外は雨。とてもロマンチック、このうえない。オレの心はそういったものに敏感に反応してしまう、好き。お前のことが。もう一度言う。お前の事が、大好き。やれやれ。もう一度くらいは言いたいが、今回はやめとく。超好き。』
以上のやり取りを、
ミコト部長は、黙って見ていた。
その胸中は、いかばかりか。
今度の冬の、ぬいぬい全国大会までに、
部員をあと
ふたり。集めなきゃ、
このぬいぬい部は廃部を言い渡されてしまう。
なぜ?
知らぬ。
誰か、あとふたり。
入部してくれる人はいないかなあ。
犬、猿、キジ?
あはは、まさかね笑
という胸中であった。
その時、部室のドアが希望の音とともに
オープンした。
『入部希望です!
佐々木小次郎! です!』
『入部させやがれ。オレは天下無双を目指す
宮本武蔵(みやもとむさし。)だ。』
オッケー!




