23/29
恋の花12
『絶対クズ野郎だってそんな奴』
私にだって友達はいる。
目の前で、クリームブリュレを小さな金属のフォークでチクチクしているのは、お友達のエヌ氏。女の子。
『ミドリはさあ、流されちゃうタイプだからさあ。さみしんぼタイプてゆーの? そのメロメにいーよーに利用されてんだよ。ばか。』
なんだかクリームブリュレて変な名前。
『ちょっと? 聞いてんの? 』
『ブリュレ。て響きが可愛くは無いよね。』
エヌ氏は、ため息をふー。ひとつ。
『セフレだよ? やめなよ。』
『うー……ん?』
エヌ氏は、ため息をふー。ふたつ。
『ズタボロで、粉々になるよ?』
『うー……ん? え? 粉々?』
『都合よく利用されてさあ、ポイ。』
『粉々て綺麗かもしれない』
『なんて?』
『木漏れ日……ちがう。夜だから、月明かり?』
『なんて?』
『月明かりなんて贅沢かもしれないな。
居酒屋の裏口から漏れる灯りかな? 』
『あんたさあ……』
『その野良猫しか知らないような、
たよりない灯りの中を、光の粒が……
さらさらって。』
『粉々だよ。さらさらなんて綺麗なもんじゃなく。て。きったねえやつ。ザラザラの。』
『うー……ん?』
『もうええわ。』
エヌ氏は、
クリームブリュレを
チクチクしながら綺麗に食べ終わる。
会いたいな。
私は、メロメ君を想った。




