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恋の花5



『踏まれても踏まれても。

アスファルトを突き破る力強い生命力。

太陽に向かって手を伸ばそう。』


メロメ君が、油の煙の中で語る。


扇風機は壊れていて動かない。

とても淀んだ空気の中。暑いし。


前髪がうねる。

可愛くしたかったのに。


『なんだか良い詩だね。』


私は、アスパラベーコン巻きを食べるのに苦戦していた。歯に挟まらないでと願う。


『ありがとう。でもね、魂の一言みたいな言葉をね、僕はまだ見つけられていないんだ』


『なにそれ?』


『みんなをさ。みんなの心にさあ……

みんなの心の疲れや汚れや悲しみを。

洗い流してくれるようなさあ……』


『ふうん。便利だね。』


『ミドリちゃん……』


それまで遠くを見つめていた、メロメ君が、

やっと私を見てくれた。


『便利とか、そんな、便利とか言うものがね、

本当に僕たちにとって大切なものなのかなあ?』


まっすぐに私を見つめながら言った。


『便利さが、人の心をね、貧しくしたのかもしれないよね。考えてみて。宿題。』


メロメ君はキラキラした笑顔で、

居酒屋の汚れたトイレのカレンダーに

書いてあった言葉を、宿題にしてくれた。


小さくうなずいた私は、

アスパラベーコン巻きを


上手に可愛く食べることができた。











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